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(5)事実は小説よりも波乱万丈?
ちりも積もれば山となる
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心の中、(カードが使える病院で良かったぁぁぁ)と思っているのも顔には出さなかったつもりだけれど。
「患者さんの記憶が戻られて保険証が出てきたらお金、戻ってきますから。その際この明細書と領収書が必要になりますから絶対なくさないようにしておいて下さいね」
さすがに十割負担ともなると検査費用など高額になってしまう。
受付スタッフにニコッと微笑まれて、日和美は「はい」と返事をしてお会計を済ませながら、(もしや顔が引きつってたのがバレてた?)とソワソワする。
受付の人にも分かったと言う事は、そばにいる不破にも高額請求にひるんだことがバレバレだったかも知れないではないか。
高額な請求額のお陰で涙が引っ込んでよかったと思う反面、カードの請求が来るまでに払い戻しの手続きが出来ますように、と思って。
「さぁ、行きましょう」
言いながら何事もなかったように微笑んだつもりだったけど、そこでふと、(でもそうすると不破さんの記憶が戻っていることが前提なんだよね)と気が付いて、複雑な思いに眉根を寄せてしまう。
「日和美さん、すみません僕のせいで」
そんな日和美を見て不破が心底申し訳なさそうに泣きそうな顔をするから。
日和美は慌ててフルフルと首を振った。
「病院は嫌だって言ってた不破さんを無理矢理連れてきたのは私です! なので不破さんは気になさらないで下さい!」
「でも……」
気にするなと言われても、そりゃあ気になるだろう。
日和美が不破の立場だってきっと、申し訳なさにいたたまれなくなるはずだ。
日和美は不破に変な愁いを与えてしまった自分の財力のなさを恨みがましく思って。
「大丈夫です! 私も来週の今頃は立派な社会人ですから! 大富豪もびっくりなくらい稼ぎまくるのでドンウォーリーです!」
わざと下手な発音の英語を織り交ぜて滅茶苦茶大袈裟に言ってみたけれど、不破はそれでも暗い顔のままだ。
「僕、一日も早く記憶を取り戻しますね」
ややして決意したようにそう言われて。
さすがに『いや、でも……それでは私との記憶が消えてしまうかも知れませんよ⁉︎』とは言えなかった日和美だ。
あちらを立てればこちらが立たず。
本当に事実は小説よりも波乱万丈だよぅ!と思ってしまった。
***
通院の後、恐縮しまくる不破を説得した日和美は、『ファッションセンターしまむた』や家具と雑貨が安い『INEA』にも寄って、彼のための生活必需品を買い揃えた。
『しまむた』で、着たきりスズメ状態の不破に普段の着替えや夜用の部屋着と言った諸々を見繕ったら、いくらファストファッションのお店と言えども万札がヒラヒラと羽を生やして飛んで行って。
ひとつひとつは安価でも、ちりも積もれば山となる。
例え数千円前後の商品でも、五点も買えば一万円を超すのなんていとも簡単なことだと思い知った。
商品がレジを通るたび、目の前でどんどん増えていく金額表示画面を見詰めながら、日和美はお財布のお札を数えながら心の中で一人、『足りるの? ねぇこれ、足りるの!?』と顔には出さず声にならない悲鳴を上げた。
『INEA』に移動してからも、食器類に加えて枕や布団カバーを新調したので、こちらでも結構な出費。
『ガストン』と『しまむた』への支払いでお財布の中に入れていた資金をほぼ使い果たしたので、『INEA』ではしれっとカード払いに切り替えた日和美だったけれど、病院の検査費用と合わせると、後々の請求書に戦々恐々間違いなし!
「患者さんの記憶が戻られて保険証が出てきたらお金、戻ってきますから。その際この明細書と領収書が必要になりますから絶対なくさないようにしておいて下さいね」
さすがに十割負担ともなると検査費用など高額になってしまう。
受付スタッフにニコッと微笑まれて、日和美は「はい」と返事をしてお会計を済ませながら、(もしや顔が引きつってたのがバレてた?)とソワソワする。
受付の人にも分かったと言う事は、そばにいる不破にも高額請求にひるんだことがバレバレだったかも知れないではないか。
高額な請求額のお陰で涙が引っ込んでよかったと思う反面、カードの請求が来るまでに払い戻しの手続きが出来ますように、と思って。
「さぁ、行きましょう」
言いながら何事もなかったように微笑んだつもりだったけど、そこでふと、(でもそうすると不破さんの記憶が戻っていることが前提なんだよね)と気が付いて、複雑な思いに眉根を寄せてしまう。
「日和美さん、すみません僕のせいで」
そんな日和美を見て不破が心底申し訳なさそうに泣きそうな顔をするから。
日和美は慌ててフルフルと首を振った。
「病院は嫌だって言ってた不破さんを無理矢理連れてきたのは私です! なので不破さんは気になさらないで下さい!」
「でも……」
気にするなと言われても、そりゃあ気になるだろう。
日和美が不破の立場だってきっと、申し訳なさにいたたまれなくなるはずだ。
日和美は不破に変な愁いを与えてしまった自分の財力のなさを恨みがましく思って。
「大丈夫です! 私も来週の今頃は立派な社会人ですから! 大富豪もびっくりなくらい稼ぎまくるのでドンウォーリーです!」
わざと下手な発音の英語を織り交ぜて滅茶苦茶大袈裟に言ってみたけれど、不破はそれでも暗い顔のままだ。
「僕、一日も早く記憶を取り戻しますね」
ややして決意したようにそう言われて。
さすがに『いや、でも……それでは私との記憶が消えてしまうかも知れませんよ⁉︎』とは言えなかった日和美だ。
あちらを立てればこちらが立たず。
本当に事実は小説よりも波乱万丈だよぅ!と思ってしまった。
***
通院の後、恐縮しまくる不破を説得した日和美は、『ファッションセンターしまむた』や家具と雑貨が安い『INEA』にも寄って、彼のための生活必需品を買い揃えた。
『しまむた』で、着たきりスズメ状態の不破に普段の着替えや夜用の部屋着と言った諸々を見繕ったら、いくらファストファッションのお店と言えども万札がヒラヒラと羽を生やして飛んで行って。
ひとつひとつは安価でも、ちりも積もれば山となる。
例え数千円前後の商品でも、五点も買えば一万円を超すのなんていとも簡単なことだと思い知った。
商品がレジを通るたび、目の前でどんどん増えていく金額表示画面を見詰めながら、日和美はお財布のお札を数えながら心の中で一人、『足りるの? ねぇこれ、足りるの!?』と顔には出さず声にならない悲鳴を上げた。
『INEA』に移動してからも、食器類に加えて枕や布団カバーを新調したので、こちらでも結構な出費。
『ガストン』と『しまむた』への支払いでお財布の中に入れていた資金をほぼ使い果たしたので、『INEA』ではしれっとカード払いに切り替えた日和美だったけれど、病院の検査費用と合わせると、後々の請求書に戦々恐々間違いなし!
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