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(1)真夜中の通販

万年床バンザイ!

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***

 深夜のテンションそのままについお買い上げしてしまったふわふわな布団のセット二つ+モフモフの毛布二枚。

 冷静になって考えてみれば一人暮らしの自分に、二セットも寝具はいらないわけで。

(あーん、また無駄遣いしちゃったぁ~!)

 と思いはしたものの、せっかくだから二つ並べて敷いて~。ごろごろ転がりながら寝るのもありかもぉ~!などと訳の変わらないことを考えてニンマリする。


 要するに日和美ひなみ。返品するつもりは皆無だ。

「問題は……」


 二組の掛け敷き布団と毛布を見て、日和美ひなみは形の良い眉をハの字に下げた。

「なんで枕が付いてないのよぉぉぉー!」

 寝具に枕は必需品でしょう!?とガックリと項垂うなだれる日和美ひなみ。実はそういうところが、歴代の彼氏たちを呆れさせてきたのだと気付けないのが彼女の残念なところだった。

***

 今日は、風こそ少し冷たいけれど、雲ひとつない真っ青な空が広がったいいお天気。

 枕のことはともかくとして、これは届いたばかりの布団をお日様に当てなさいという天啓てんけいかも知れない。

 ポジティブシンキングでそんなことを思った日和美ひなみは、ペッタンコに圧縮されて届いた布団の梱包にエイヤ!と切り込みを入れた。

 途端プシューッと中に空気が入って、ふわふわモコモコのお布団が!と思ったのだけれど。

「あれ?」

 思ったほど膨らまなくてガッカリしてしまう。

 テレビショッピングではもっとフワッフワに見えていたのに。

 天日干ししたら少しは変わるかも?

 そんな淡い期待を込めて布団を持ち上げたら、結構重くてよろめいた。

「何これ何これ何これぇ~。何でこんなに重いの!」

 敷布団がやたら重い。

 それだけしっかり中身が詰まっていると言うことだろうか。

 そう言えば実演販売士のおじさんが、『最近少しレアかも⁉︎な天然コットン百パーセントのお布団です!』と謳っていたっけ。

 前に父方の祖母が、「木綿の布団は丈夫で保温力も吸湿性もええ上に打ち直しがきくけん最高なんじゃけど……ちぃーとばかり重いのが難点なんよねぇ」と言っていたのを思い出した日和美ひなみだ。

 祖父母宅へお泊まりに行くと、布団の上げ下げに苦労したのを思い出す。

「そうそう。正にこの感じ……」

 恐る恐るスマートフォンで「木綿」を検索したら「コットン」と書かれていて思わず「ヒッ」と声が出た。

(コットン=木綿だなんて、知りませんでした、すみません!)

「おばあちゃんの言った通り、木綿のお布団重いよぅ!」

 とはいえ、掛け布団はともかく、敷布団は一度敷いてしまえばそう滅多に動かすものではない。

「何せ我が家は二部屋ふたへやもあるものぉ~♪」

 一人暮らしの日和美は、一室をリビングに、一室を寝室にしている。
 そちら側の部屋は、布団と大好きな本がみっちり詰まった本棚がずらりと並んでいるだけだ。
 一人暮らしだし、祖父母宅と違って、寝起きのたびに押し入れに布団を出し入れなくてもいいだろうからきっと何とかなる!

 万年床まんねんどこバンザイ!
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