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■くだらねぇこと気にすんな/エブ200万ページビュー達成のお礼♥

それもこれも、可愛すぎるお前が悪い

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「……はい。私は……温和はるまさのものです」

  消え入りそうな声でそうつぶやいたら、

「だったらくだらねぇこと気にすんな。お前は黙って俺に溺れてりゃいいんだよ」

 言うなり噛み付くような口付けを落とされる。


 エレベーターの時と違って、周りに遮蔽物しゃへいぶつのない開けた場所。

 もしも誰かが来たならば、今度こそ簡単に見られてしまう。

 ねっとりと口の中をかき混ぜられるようなキスをされながら、音芽は涙目で懸命に温和はるまさにしがみついた。

 ややして唇を解いてくれた温和はるまさが満足そうに微笑んで、「帰るぞ。和音かずねが待ってる」と、音芽の唇を濡らす唾液を指先で軽く拭う。

 その感触でさえも、音芽にはたまらない刺激になると温和はるまさは知っているんだろうか?


***


 先程と同じようにエレベーターに乗り込むと、わざと聞こえよがしに「エレベーターってさ」とつぶやく温和はるまさ


「――?」

 操作パネルの「1」階ボタンと、「閉」ボタンを押す彼を見つめながら、続くはずのその先を音芽おとめは大人しく待った。


 温和はるまさはそんな音芽にニヤリと意地悪く微笑むと、天井を指さしながら

「監視カメラ付いてるよな」

 言って、音芽の瞳を見開かさせる。


「さっきの箱内ここでのキスも、実は誰かに見られてたかもな?」

 さも、そうであったらいいと言う風に聞こえる言い方をする温和はるまさに、音芽は真っ赤になって瞳を潤ませた。


「たまにさ、『お前は俺のだ!』って誰彼構わず叫びたくなるんだよ」

 ギュッと音芽をその腕に抱き寄せると、

「それもこれも、可愛すぎるお前が悪い」

 温和はるまさは音芽の耳元で、声を低めてそうささやいた。

 ――誰かに見られるとか恥ずかしくて絶対に嫌なのに。

 なのにその一言だけで何もかも許せてしまう気持ちになってしまう音芽は、温和はるまさから多分一生離れられない。

 離れる気なんて元よりないのだけれど、そんな風に自覚させられると、公共の場だと言うのに、キュンと下腹部が切なくうずいて、音芽は自分が身も心も温和はるまさのものなのだと実感させられる。


温和はるまさの、バカ……」

 今この瞬間も、誰かに見られているかもしれないと思うと、恥ずかしくてたまらないのに……。

 音芽は温和はるまさの腕を振り解くことが出来ない。


 そんな音芽の頭の中、先程屋上庭園で温和はるまさから言われた、「くだらねぇこと気にすんな」という低音ボイスが、何度も何度もこだました。




   END(2021/05/14-5/15)
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