【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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■ *Play with dolls/オマケ的SS 12

温和のおねだり(1)

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「俺さ、今度の誕生日、音芽おとめにしてもらいてぇことがあんだけど」

 5月10日の温和はるまさの誕生日を数日後に控えた初夏の夕方。
 当の温和はるまさが、仕事帰りの車中で助手席に座る音芽こいびとへ唐突にそう切り出した。

「して、もらいたいこと?」

 前方を見つめてハンドルを握ったままの温和はるまさの端正な横顔を見つめながら、音芽が彼の言葉を復唱して小首をかしげる。

「そ。別に難しいことじゃねえよ。お前はただ俺のそばにいてくれりゃーいい」

 それは「してもらいたいこと」を実行できていることになるんだろうか?

 音芽がふと疑問に思ったのも無理はない。

「そばにいるだけなのに、何かしてあげてることになるの?」

 温和はるまさの真意が掴めないから、音芽は段々不安になってきた。

 大抵こんな風に秘密めいた物言いをする時の温和はるまさは、ハッキリと意思表示をするときよりタチが悪いと相場が決まっているからだ。

 戸惑いに揺れる瞳で温和はるまさをじっと見つめた音芽おとめだったけれど、温和はるまさはまるでその視線に気づかないみたいに彼女の方を見ようともしない。

 それはもう運転中なことを差し引いても不自然なほどで。

「あの、はる、まさ?」

 そっとハンドルを握る温和はるまさの腕に触れた音芽は、着痩せするんだろうか。見た目よりはるかに筋肉質で〝男〟を感じさせる温和はるまさのたくましい腕の感触にドキッとする。

「とりあえずアレコレ考えねぇで『はい』でいいんじゃね?」

 まるでそれが最終通告だとでも言わんばかりに温和はるまさが有無を言わせぬ口調でそう言って。

 温和はるまさに強く出られることに弱い音芽は、半ば強引に押し切られる形で「はい」と言わされていた。
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