【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

文字の大きさ
上 下
341 / 409
■*Merry Christmas/Xmas企画

はい。おと……め、です

しおりを挟む
「め、めりぃ……くりすます……っ」

 玄関先、モジモジとしながら歯切れの悪い物言いをする、が立っていた。

「お、とめ?」

 ……だとは思う。
 体型も小柄だし、そもそも音芽の部屋にアイツ以外が居たらこえーし。


「……はい。おと……め、です」

 名乗るのも何だか恥ずかしそうにして……こいつは何をやっているんだろう。

「何でそんな格好」

 多分トナカイ……の着ぐるみ、なんだと思う。

 全身茶色、顔にも鹿みたいな被り物をして、立派な角だって生えている。

 首にカウベルみたいな鈴がぶら下がっていて、音芽おとめ?が動くたびにカラカラと音が鳴った。

「か、佳乃花かのかがっ」
「朝日さんが……なに?」
「く、クリスマスにをしたら……男の人は喜ぶって」

 ゴニョゴニョと口ごもる鹿……じゃなくてトナカイを見て、いつもにまして声がくぐもってて聞こえづれぇな、と冷静に観察してみたり。

「う、れしい?」

 きっと顔は見えないけれど、着ぐるみん中で上目遣いをして俺を見てるんだろうな。

「あんな、音芽おとめ。朝日さんが言ったのってきっと、ミニスカのサンタコスとか……そういうのだと思うぞ?」

 言いながら角に手をかけてスポッと抜く。


 と、中からちょっぴり汗ばんだ可愛い音芽が顔を出した。

 ほんのり蒸気した頬を見ていたら、暖房の効いた部屋で、こいつはいつからこんな格好で俺を待ち構えていたんだろう?と、言いようのない愛しさが込み上げる。


 後ろ手に玄関ドアのロックを掛けると、着ぐるみに包まれた音芽の手を引っ張ってリビングを抜けた。


 テーブルの上にはローストチキンやミートローフ、サラダなんかが並べられていて。

 音芽おとめ、俺のために頑張ってくれたんだなと嬉しくなる。

 けど、すまん。あっちのご馳走はちょっと後回しだ。
 先にこっちの可愛いのを食っちまわぇと。

 トナカイ音芽おとめをベッドサイドに立たせて、「こんなん着てたら暑いだろ?」とかもっともらしいことを言いながら、背後のファスナーを下ろしていく。

 と――。


「ちょっ、おまっ、コレ……」


 着ぐるみの下から出てきたのは、今まで見たことのないようなセクシーランジェリーを身につけた音芽で。


「は、恥ずかしい……のでっ、余り見ないで……ください」

 真っ赤な顔をして俺から視線をそらすんだ。


「なぁ音芽。これも朝日さんの入れ知恵?」

 スケスケの布地を留める肩紐をいじりながら問いかければ、うつむいたまま音芽がうなずいた。

「――朝日さんの指示、コスプレ込みだった?」

 聞くと「――っ」と言葉に詰まるんだ。


 ああ、きっと、朝日さんからはこの下着で俺を出迎えろって言われてたな?

 着ぐるみは恥ずかしさから、音芽が勝手に追加したに違いない。


 けどな、音芽。
 こういうの、なんて言うか知ってるか?
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?

すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。 「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」 家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。 「私は母親じゃない・・・!」 そう言って家を飛び出した。 夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。 「何があった?送ってく。」 それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。 「俺と・・・結婚してほしい。」 「!?」 突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。 かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。 そんな彼に、私は想いを返したい。 「俺に・・・全てを見せて。」 苦手意識の強かった『営み』。 彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。 「いあぁぁぁっ・・!!」 「感じやすいんだな・・・。」 ※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。 ※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。 ※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 それではお楽しみください。すずなり。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

社長室の蜜月

ゆる
恋愛
内容紹介: 若き社長・西園寺蓮の秘書に抜擢された相沢結衣は、突然の異動に戸惑いながらも、彼の完璧主義に応えるため懸命に働く日々を送る。冷徹で近寄りがたい蓮のもとで奮闘する中、結衣は彼の意外な一面や、秘められた孤独を知り、次第に特別な絆を築いていく。 一方で、同期の嫉妬や社内の噂、さらには会社を揺るがす陰謀に巻き込まれる結衣。それでも、蓮との信頼関係を深めながら、二人は困難を乗り越えようとする。 仕事のパートナーから始まる二人の関係は、やがて揺るぎない愛情へと発展していく――。オフィスラブならではの緊張感と温かさ、そして心揺さぶるロマンティックな展開が詰まった、大人の純愛ストーリー。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

処理中です...