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■*Merry Christmas/Xmas企画
はい。おと……め、です
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「め、めりぃ……くりすます……っ」
玄関先、モジモジとしながら歯切れの悪い物言いをする、茶色いのが立っていた。
「お、とめ?」
……だとは思う。
体型も小柄だし、そもそも音芽の部屋にアイツ以外が居たら怖ーし。
「……はい。おと……め、です」
名乗るのも何だか恥ずかしそうにして……こいつは何をやっているんだろう。
「何でそんな格好」
多分トナカイ……の着ぐるみ、なんだと思う。
全身茶色、顔にも鹿みたいな被り物をして、立派な角だって生えている。
首にカウベルみたいな鈴がぶら下がっていて、音芽?が動くたびにカラカラと音が鳴った。
「か、佳乃花がっ」
「朝日さんが……なに?」
「く、クリスマスにいつもと違う格好をしたら……男の人は喜ぶって」
ゴニョゴニョと口ごもる鹿……じゃなくてトナカイを見て、いつもにまして声がくぐもってて聞こえづれぇな、と冷静に観察してみたり。
「う、れしい?」
きっと顔は見えないけれど、着ぐるみん中で上目遣いをして俺を見てるんだろうな。
「あんな、音芽。朝日さんが言ったのってきっと、ミニスカのサンタコスとか……そういうのだと思うぞ?」
言いながら角に手をかけてスポッと抜く。
と、中からちょっぴり汗ばんだ可愛い音芽が顔を出した。
ほんのり蒸気した頬を見ていたら、暖房の効いた部屋で、こいつはいつからこんな格好で俺を待ち構えていたんだろう?と、言いようのない愛しさが込み上げる。
後ろ手に玄関ドアのロックを掛けると、着ぐるみに包まれた音芽の手を引っ張ってリビングを抜けた。
テーブルの上にはローストチキンやミートローフ、サラダなんかが並べられていて。
音芽、俺のために頑張ってくれたんだなと嬉しくなる。
けど、すまん。あっちのご馳走はちょっと後回しだ。
先にこっちの可愛いのを食っちまわぇと。
トナカイ音芽をベッドサイドに立たせて、「こんなん着てたら暑いだろ?」とかもっともらしいことを言いながら、背後のファスナーを下ろしていく。
と――。
「ちょっ、おまっ、コレ……」
着ぐるみの下から出てきたのは、今まで見たことのないようなセクシーランジェリーを身につけた音芽で。
「は、恥ずかしい……のでっ、余り見ないで……ください」
真っ赤な顔をして俺から視線をそらすんだ。
「なぁ音芽。これも朝日さんの入れ知恵?」
スケスケの布地を留める肩紐をいじりながら問いかければ、うつむいたまま音芽がうなずいた。
「――朝日さんの指示、コスプレ込みだった?」
聞くと「――っ」と言葉に詰まるんだ。
ああ、きっと、朝日さんからはこの下着で俺を出迎えろって言われてたな?
着ぐるみは恥ずかしさから、音芽が勝手に追加したに違いない。
けどな、音芽。
こういうの、なんて言うか知ってるか?
玄関先、モジモジとしながら歯切れの悪い物言いをする、茶色いのが立っていた。
「お、とめ?」
……だとは思う。
体型も小柄だし、そもそも音芽の部屋にアイツ以外が居たら怖ーし。
「……はい。おと……め、です」
名乗るのも何だか恥ずかしそうにして……こいつは何をやっているんだろう。
「何でそんな格好」
多分トナカイ……の着ぐるみ、なんだと思う。
全身茶色、顔にも鹿みたいな被り物をして、立派な角だって生えている。
首にカウベルみたいな鈴がぶら下がっていて、音芽?が動くたびにカラカラと音が鳴った。
「か、佳乃花がっ」
「朝日さんが……なに?」
「く、クリスマスにいつもと違う格好をしたら……男の人は喜ぶって」
ゴニョゴニョと口ごもる鹿……じゃなくてトナカイを見て、いつもにまして声がくぐもってて聞こえづれぇな、と冷静に観察してみたり。
「う、れしい?」
きっと顔は見えないけれど、着ぐるみん中で上目遣いをして俺を見てるんだろうな。
「あんな、音芽。朝日さんが言ったのってきっと、ミニスカのサンタコスとか……そういうのだと思うぞ?」
言いながら角に手をかけてスポッと抜く。
と、中からちょっぴり汗ばんだ可愛い音芽が顔を出した。
ほんのり蒸気した頬を見ていたら、暖房の効いた部屋で、こいつはいつからこんな格好で俺を待ち構えていたんだろう?と、言いようのない愛しさが込み上げる。
後ろ手に玄関ドアのロックを掛けると、着ぐるみに包まれた音芽の手を引っ張ってリビングを抜けた。
テーブルの上にはローストチキンやミートローフ、サラダなんかが並べられていて。
音芽、俺のために頑張ってくれたんだなと嬉しくなる。
けど、すまん。あっちのご馳走はちょっと後回しだ。
先にこっちの可愛いのを食っちまわぇと。
トナカイ音芽をベッドサイドに立たせて、「こんなん着てたら暑いだろ?」とかもっともらしいことを言いながら、背後のファスナーを下ろしていく。
と――。
「ちょっ、おまっ、コレ……」
着ぐるみの下から出てきたのは、今まで見たことのないようなセクシーランジェリーを身につけた音芽で。
「は、恥ずかしい……のでっ、余り見ないで……ください」
真っ赤な顔をして俺から視線をそらすんだ。
「なぁ音芽。これも朝日さんの入れ知恵?」
スケスケの布地を留める肩紐をいじりながら問いかければ、うつむいたまま音芽がうなずいた。
「――朝日さんの指示、コスプレ込みだった?」
聞くと「――っ」と言葉に詰まるんだ。
ああ、きっと、朝日さんからはこの下着で俺を出迎えろって言われてたな?
着ぐるみは恥ずかしさから、音芽が勝手に追加したに違いない。
けどな、音芽。
こういうの、なんて言うか知ってるか?
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