【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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■*Merry Christmas/Xmas企画

はい。おと……め、です

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「め、めりぃ……くりすます……っ」

 玄関先、モジモジとしながら歯切れの悪い物言いをする、が立っていた。

「お、とめ?」

 ……だとは思う。
 体型も小柄だし、そもそも音芽の部屋にアイツ以外が居たらこえーし。


「……はい。おと……め、です」

 名乗るのも何だか恥ずかしそうにして……こいつは何をやっているんだろう。

「何でそんな格好」

 多分トナカイ……の着ぐるみ、なんだと思う。

 全身茶色、顔にも鹿みたいな被り物をして、立派な角だって生えている。

 首にカウベルみたいな鈴がぶら下がっていて、音芽おとめ?が動くたびにカラカラと音が鳴った。

「か、佳乃花かのかがっ」
「朝日さんが……なに?」
「く、クリスマスにをしたら……男の人は喜ぶって」

 ゴニョゴニョと口ごもる鹿……じゃなくてトナカイを見て、いつもにまして声がくぐもってて聞こえづれぇな、と冷静に観察してみたり。

「う、れしい?」

 きっと顔は見えないけれど、着ぐるみん中で上目遣いをして俺を見てるんだろうな。

「あんな、音芽おとめ。朝日さんが言ったのってきっと、ミニスカのサンタコスとか……そういうのだと思うぞ?」

 言いながら角に手をかけてスポッと抜く。


 と、中からちょっぴり汗ばんだ可愛い音芽が顔を出した。

 ほんのり蒸気した頬を見ていたら、暖房の効いた部屋で、こいつはいつからこんな格好で俺を待ち構えていたんだろう?と、言いようのない愛しさが込み上げる。


 後ろ手に玄関ドアのロックを掛けると、着ぐるみに包まれた音芽の手を引っ張ってリビングを抜けた。


 テーブルの上にはローストチキンやミートローフ、サラダなんかが並べられていて。

 音芽おとめ、俺のために頑張ってくれたんだなと嬉しくなる。

 けど、すまん。あっちのご馳走はちょっと後回しだ。
 先にこっちの可愛いのを食っちまわぇと。

 トナカイ音芽おとめをベッドサイドに立たせて、「こんなん着てたら暑いだろ?」とかもっともらしいことを言いながら、背後のファスナーを下ろしていく。

 と――。


「ちょっ、おまっ、コレ……」


 着ぐるみの下から出てきたのは、今まで見たことのないようなセクシーランジェリーを身につけた音芽で。


「は、恥ずかしい……のでっ、余り見ないで……ください」

 真っ赤な顔をして俺から視線をそらすんだ。


「なぁ音芽。これも朝日さんの入れ知恵?」

 スケスケの布地を留める肩紐をいじりながら問いかければ、うつむいたまま音芽がうなずいた。

「――朝日さんの指示、コスプレ込みだった?」

 聞くと「――っ」と言葉に詰まるんだ。


 ああ、きっと、朝日さんからはこの下着で俺を出迎えろって言われてたな?

 着ぐるみは恥ずかしさから、音芽が勝手に追加したに違いない。


 けどな、音芽。
 こういうの、なんて言うか知ってるか?
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