【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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⑥『Eight years later』

兄の想い人3

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 お店に入ってすぐ、素直にそう言ったら、
音芽おとめちゃんは昔っから鳥飼アニキに関しては結構シビアな評価だよね」
 って、温和はるまさと一緒になってクスクス笑うの。

 何だかそんな風に言われてしまうと、私だけお兄ちゃんをちゃんと理解できてないみたいで、ちょっぴり悔しくて。

 でも、学年がふたつ上で……在学中はほとんど接点のなかったはずの雨宮さんにも私、認知されていたってことは……ふたりが言うように、お兄ちゃん、私を周りが分かるほどに可愛がってくれていたのかな?とも思って。

 う~ん。やっぱりぴんと来ない――。

 だって。

「兄は……私に対してはただひたすらに意地悪だった記憶しかないんです……」

 恐る恐るそう言ったら、「鳥飼とりかいは愛情表現が下手だからな」って……。
 そこで雨宮あまみやさんは苦笑まじりに温和はるまさを見ると、「まぁそれは霧島きりしまも同じだったか」と付け加えていらして。
 後半は納得しつつも、やはり前半は嘘でしょ?と思ってしまう。

 お兄ちゃん、あんなに好き勝手やる人なのに?

 私を前にすると嫌がらせばかりしてきてたお兄ちゃんが、私を陰でいつも守ってくれていたって……本当の話ですか?

 温和はるまさが、「俺の件はともかく……奏芽かなめに関しては俺と奏芽あいつ、結構いいコンビだったんだから、間違いねぇって保証してやるよ」って言うんだけど……うーん。

 そもそも、2人は私を“何から”守ってくれていたのかしら? 学生生活ってそんなに危険に溢れてた?
 さっぱり分からないのです。

 眉根を寄せる私を見て、雨宮あまみやさんが、「音芽おとめちゃん、男どもの間で“鳥飼とりかい妹は可愛いのにガードが甘めで狙いやすそう”って有名だったの、知らないだろ? そんななのに悪い虫に悪戯されなかったのはさ、鳥飼とりかい霧島きりしまのおかげだって断言してやるよ」とつぶやいた。

 悪い虫――。

 うー。私、鈍感だという自覚はあったけど……それに加えてそんなに隙だらけだったの?
 眉根を寄せる私に、「男の前で転んでパンツ見せるような女、隙だらけに決まってんだろ」とかっ!
 パンダちゃん事件はいい加減忘れてくださいっ! さすがにもうあのショーツはないんだし!
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