【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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幾久しく

私たち、どちらも相手に負けず劣らず独占欲が強いみたいです

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 それでも、カラードレスを試着した私の横に変わらない衣装のまま立つ温和はるまさを見て、思わず「温和はるまさは違うのにしないの?」って聞いたら、「俺が着替えるぐらいならお前にもう1着選ぶ」とか。

 温和はるまさならやりかねないって思って、私、慌てて口を閉ざしたの。

 でも、本音言うと私、大好きな温和はるまさのファッションショーも見たかったんだよ?


***


 そういえば挙式では外したけれど、写真の前撮りではふたりで和装の写真も撮りました。

 白無垢しろむく綿帽子わたぼうしの私の横に、黒五つ紋付もんつ羽織袴はおりはかま姿の温和はるまさが立って……。

 はっきり言って、見慣れた洋装より和装のほうがくらくらするぐらいかっこよかったです。

 何だかそんな温和はるまさをみんなに見せびらかしたいって思うのと同時に、やっぱり他の人には見せたくないって思ってしまったというか。

「ねぇ温和はるまさ、やっぱり和装は……」
 やめておこう?って言おうとしたら、「コレは式ではなしにしよう」って温和はるまさが物凄くソワソワした様子で言ってきて。
 その顔が微かに赤らんでいるのを見て、もしかして温和はるまさも同じ気持ち?って思ってしまったの。

 私たち、どちらも相手に負けず劣らず独占欲が強いみたいです。


***


 結婚式は沢山の人に囲まれて、とてもなごやかに進んで。

 バージンロードを父に手を引かれて歩いたときは、お父さんが緊張しすぎて転んでしまうんじゃないかとソワソワしてしまった。

 打ち合わせのときからすごくガチガチになってるな?とは思っていたけれど、あれほどとは思わなくて……。

 後からカナにいが、「俺が親父の代わりに手ぇ引いてやればよかったな」って冗談めかして言ったけど、そっちの方が安心だったかもしれないとか思う程度には、お父さん、グダグダでした。

 お母さんに、お父さんは音芽おとめのことが可愛くて仕方なかったから余計に緊張したんでしょうね、許してあげてねって言われたけれど……でも、だったら余計にしっかりしてよぉ~って思っちゃった。
 塩対応な娘でごめんなさい。

 とはいえ、お父さんが緊張しまくってくれたお陰で、私は逆に落ち着いて式にのぞめたの。

 お父さんから温和はるまさに、引かれていた手がバトンタッチされたとき、お父さんがあんまりにも泣いちゃって……、私もつられてウルウルきてしまったのは誤算でした。

 ヴェールアップしてくれたとき、温和はるまさから小声で、「泣くな音芽おとめ、化粧が崩れるぞ」って注意されてしまったの、多分一生忘れません。
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