【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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*後悔したくない

こんなの嫌だよ?

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「んっ、あ、……」
 温和はるまさの胸についたままの手のひらから、彼の力強い鼓動が伝わってきて、私はその脈打つような拍動にドキドキさせられてしまう。

 下唇をむようにされて、温和はるまさのキスから解放されたとき、私は全身から力が抜けて恍惚となってしまっていた。

 温和はるまさがそんな私の頬を指先でスーッと撫で下ろしてから、濡れたままの唇に触れてくる。
 そのまま薄く開いた唇を指先で軽くなぞって、滑るように首筋を辿って――。

「あ、――んんっ……」

 首筋に触れられることが、こんなにもエッチな気持ちになる行為だなんて、私、知らなかった。

 ゾクッと身体を震わせた私をじっと見下ろす温和はるまさの目が、どこか熱を含んで感じられるのは気のせい?

音芽おとめ……」
 低くかすれた声で温和はるまさに名前を呼ばれた途端、胸の奥がきゅん……として、頭に霞がかかったようにぼんやりしてしまう。


 ほわほわした頭で温和はるまさを見つめていたら、首筋を辿って下りてきた彼の手が、シャツワンピにかかって――とても丁寧な所作で、上から順にひとつずつボタンが外されていく。
 温和はるまさの手で、胸元が肌蹴られていくのを他人事ひとごとのような気持ちで傍観していたら、私の反応を見つめていた彼が、ゆっくりと屈み込んできて、不意に胸元へ彼の吐息がかかった。
 その感触に、視線を温和はるまさに向けて、私は今更のようにハッとする。

 やだ……! わ、私っ、ブラ……見えちゃってる!

 ここへきてやっと、私は流されかけていた自分に気付いて正気に戻った。

 いけない――。
 大好きな温和はるまさに求められたのが嬉しくて、つい流されてしまうところだった!
 まだ気持ちも伝えていないのに、なぁなぁで抱かれてしまうとか……あり得ないよ。

 私は温和はるまさとエッチしたいわけじゃない。ただ、ちゃんと好きって伝えたいだけなのに……何してるの?って思ったら、自分で自分の愚かさが、本当に嫌になった……。

 ギュッと温和はるまさの手首を掴んで彼を見つめると、小さく首を振ってイヤイヤをする。それを見て、温和はるまさがハッとしたように慌てて胸元から手を引いてくれて、私は心底ホッとする。

「……温和はるまさ、私ね、こ、んなの、嫌、だよ……? 恋人でもない相手に……こういうのは……ダメ……」
 ――こんなことをしたら……逢地おおち先生に対する裏切りだと思うし。ね?
 私はその言葉を、寸でのところでグッと飲み込んだ。それを言ってしまったら、大好きな温和はるまさと素直に触れ合えない自分が、何だか惨めになりそうで。

 私は気持ちを切り替えると、温和はるまさを見つめて、呼吸を整えながら少しずつ言葉をつむぐ。
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