【完結】【R18】オトメは温和に愛されたい

鷹槻れん(鷹槻うなの)

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*後悔したくない

服装の指定

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「あ、あのねっ。ちょっと身体、ベタベタして気持ち悪いから……一旦家に帰って、シャワー浴びてから温和はるまさの部屋に行くんでもいい?」
 パパッと終わらせるから30分も待たせないよ?

 すぐそばの温和はるまさを意識し過ぎて頬が熱い。多分、耳まで赤くなってしまっている気がする。
 恥ずかしさにうつむいたまま、早口でそう付け加えたら、温和はるまさが息を飲む気配がした。

「おま、それ……」

 何か言いかけて、いや、いい……と歯切れの悪い感じで語尾を濁す彼に、思わず顔をあげたら何故かそっぽを向かれてしまった。

温和はるまさ?」

 もしかして今すぐじゃないと都合悪い?って恐る恐る聞こうとしたら、「部屋着……」と窓外を向いたままつぶやかれて――。

「部屋着?」

 何の脈絡も感じられないセリフに、キョトンとして問い返したら、「お前、可愛げのない小豆色あずきいろのスウェットの上下持ってただろ? あれ、着てこい。――だったら話、聞いてやる」とか何の嫌がらせですか?

 私、温和はるまさに、積もりに積もった想いの丈を告白する予定なのに……可愛げのない服装指定とか……有り得ない!
 できれば少しでも可愛く見られるように、シフォン素材の清楚なワンピースとか…そう言うのを着て行きたいくらいなのに。

「あ、あの……イメージにないかもしれないけど……私、可愛い部屋着も持ってるんだけど、な……?」

 部屋着指定ならそっちでもいい?
 思い切り譲歩してそう問いかけたら、にべもなく却下されてしまった。

 なんなの。
 新手のいじめ?

 私はあまりの暴君発言に、段々腹が立ってくる。

「もう! なんでそんな服とか指定されなきゃいけないのよ!? どんだけ俺様なの!」

 プンスカしながら噛み付いたら、「貴重な時間、お前のために使ってやろうってんだから少しは俺を笑わせろよ」とか……本当最低っ!

「違う服で来たら話、聞かないからな」
 この話はこれで終わり。

 温和はるまさに無理矢理終止符を打たれるように車外に出られて、私は正直不完全燃焼です。
 温和はるまさが助手席のドアを開けてくれて、納得行かないままに車外に出たら、ちょうどポツポツと雨が落ち始めた。
 あーん。まるで私のモヤモヤした心みたいだわ。

 そう思って、空を見上げた。
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