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パンケーキデート
一緒に来るんじゃなかったの?
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鶴見先生のこともしんどいけれど、一番悩みの種なのはタガが外れたみたいに私に触れてくる温和だ。
あの服を返した日以降にも、何度か温和から隣に呼びつけられて鶴見先生とのあれこれを聞かれたりしているけれど、私も馬鹿じゃない。温和の部屋に上がり込んだり、温和を家に招き入れたりするのは避けるようにして過ごした。
そもそも! 私、気持ちが通じ合った相手としかああいうエッチなこと、したくないの。
たとえ相手が大好きな温和であってもそれは譲れない。
いや、温和だからこそ、かもしれない。
男の人はみんな相手が誰であれ、ああいうこと、したいって思うものなのかしら。
さっきも同じようなことを考えたのを思い出してグルグルしているなぁと溜め息を落とす。
そこでふと奏芽兄のことを思い出した私は、危うく「お兄ちゃんに聞いてみようかな」とか魔がさしてしまいそうになってその思考回路に驚いた。
あーん、もう! 何考えてるの! そんなことしたら、絶好のからかいネタだわ。
あり得ないっ。大丈夫? しっかりして、私!
でも、じゃあ誰に聞くの?
温和本人はあり得ないし、鶴見先生に聞いたら……そういうことをして欲しいのだと変に誤解されてしまいそうで怖いし。
なにこれ。八方塞がり――?
私、温和が何を考えてあんなことをしてくるのか知りたい。
私たちは兄妹ではないのだと、私に思い知らせるための行為だと……確か最初の時に言われた。
確かに兄が妹にあんなことしたらダメでしょうよ。
でも、じゃあ他人ならしてもいいの?って考えたらやっぱりそれもダメでしょ。
なのに何で温和、あんなこと続けてくるの? 私に訴えられるかもしれない、とか思わないのは何で?
私はそんなことしないとタカを括ってるの?
その自信の根拠は何なの?
それを崩せたらあんなこと、されなくなる?
探りたい。温和の変な自信の根拠。
でも、深入りしたら返り討ちに遭ってしまいそうで怖い。
やっぱり佳乃花と一路に相談するのが一番な気がする。
そう思ったら、今すぐにでも二人に会えないのが本当辛かった。
***
家からほど近いところにある公園前にあるバス停。
そこに約束の時刻の十分前に到着した私は、鈍色の空を見上げて溜め息を落とす。
いっそザァザァ降りだったなら、それを言い訳に今日は延期しません?とか言えたのに。
パンケーキは食べたいけれど、鶴見先生と……だと思うと気が重い。
ついでに……。
あたりをキョロキョロと見回してみたけれど温和の姿はなくて。
ねぇ、温和、一緒に来るんじゃなかったの?
俺たちも、っていうのはどこから合流する話だったの?
あれこれ考えてソワソワしていたら、前方からモスグリーンのプレマシーが近付いてくるのが見えた。
前に一度乗せてもらったことがあるから分かる。
鶴見先生の愛車だ。
あの服を返した日以降にも、何度か温和から隣に呼びつけられて鶴見先生とのあれこれを聞かれたりしているけれど、私も馬鹿じゃない。温和の部屋に上がり込んだり、温和を家に招き入れたりするのは避けるようにして過ごした。
そもそも! 私、気持ちが通じ合った相手としかああいうエッチなこと、したくないの。
たとえ相手が大好きな温和であってもそれは譲れない。
いや、温和だからこそ、かもしれない。
男の人はみんな相手が誰であれ、ああいうこと、したいって思うものなのかしら。
さっきも同じようなことを考えたのを思い出してグルグルしているなぁと溜め息を落とす。
そこでふと奏芽兄のことを思い出した私は、危うく「お兄ちゃんに聞いてみようかな」とか魔がさしてしまいそうになってその思考回路に驚いた。
あーん、もう! 何考えてるの! そんなことしたら、絶好のからかいネタだわ。
あり得ないっ。大丈夫? しっかりして、私!
でも、じゃあ誰に聞くの?
温和本人はあり得ないし、鶴見先生に聞いたら……そういうことをして欲しいのだと変に誤解されてしまいそうで怖いし。
なにこれ。八方塞がり――?
私、温和が何を考えてあんなことをしてくるのか知りたい。
私たちは兄妹ではないのだと、私に思い知らせるための行為だと……確か最初の時に言われた。
確かに兄が妹にあんなことしたらダメでしょうよ。
でも、じゃあ他人ならしてもいいの?って考えたらやっぱりそれもダメでしょ。
なのに何で温和、あんなこと続けてくるの? 私に訴えられるかもしれない、とか思わないのは何で?
私はそんなことしないとタカを括ってるの?
その自信の根拠は何なの?
それを崩せたらあんなこと、されなくなる?
探りたい。温和の変な自信の根拠。
でも、深入りしたら返り討ちに遭ってしまいそうで怖い。
やっぱり佳乃花と一路に相談するのが一番な気がする。
そう思ったら、今すぐにでも二人に会えないのが本当辛かった。
***
家からほど近いところにある公園前にあるバス停。
そこに約束の時刻の十分前に到着した私は、鈍色の空を見上げて溜め息を落とす。
いっそザァザァ降りだったなら、それを言い訳に今日は延期しません?とか言えたのに。
パンケーキは食べたいけれど、鶴見先生と……だと思うと気が重い。
ついでに……。
あたりをキョロキョロと見回してみたけれど温和の姿はなくて。
ねぇ、温和、一緒に来るんじゃなかったの?
俺たちも、っていうのはどこから合流する話だったの?
あれこれ考えてソワソワしていたら、前方からモスグリーンのプレマシーが近付いてくるのが見えた。
前に一度乗せてもらったことがあるから分かる。
鶴見先生の愛車だ。
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