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鳥飼先生、大丈夫ですか?
逢地先生
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逢地先生は養護教諭の先生で、確か今年で二十八歳。
普段は保健室にいらっしゃるんだけど、朝礼の時や職員会議の時などだけ、ここ二年部の島の一角に設けられた彼女用の席に着席なさる。
普段はいらっしゃらない先生方の机も、職員室にはちゃんと配置されていて、私たち低学年の担任が集められた島には、逢地先生の他にも、図書室司書の伊佐美千鶴先生の机、音楽担当の日昔香澄先生の席など、担任以外の専科やそれに準じた先生方の机が集められている。
ちなみに通路を挟んだ向こうには中学年・高学年の先生方の机が固められていて、あちらには担任以外の教職員の席はない。
「私が怪我しちゃったんで……もしもの時には霧島先生と鶴見先生がサポートしますよっておっしゃってくださって。それにありがとうございます、よろしくお願いしますってお答えしていたところです」
何故か温和と鶴見先生が膠着状態に見えて、私はその微妙な空気を断ち切るように逢地先生に説明をする。
「あらっ、鳥飼先生、どこを負傷なさったんですか?」
さすが養護の先生。
怪我、と聞いてすぐに反応なさった。
逢地先生と私が話し始めたら、鶴見先生が脱力したようにゆっくりと着席なさって。
それに合わせたように温和も書類に目を落としてくれて、私は内心ホッとする。
「あ、怪我と言ってもそんな大したことじゃないんです。昨日ちょっと転んで膝を擦りむいてしまって。傷自体は大したことなかったんですけど、思いの外強く打ち付けてしまったみたいで……」
少し腫れちゃいまして……と言うと「それは大変です! 痛みが引かれるまでは安静になさらないと」と、先ほど温和に言われたのと同じことを言われてしまった。
「本当は冷やすのがいいんでしょうけど、傷があっては湿布なども無理ですもんね。あまり腫れが引かないようなら病院も視野にいれてくださいね」
ほわっと微笑まれて、私はその笑顔に見惚れてしまう。
逢地先生、ゆるっと編み込んで後ろで一つに束ねられた長い黒髪が、女性らしくて本当に素敵だ。
私にはない、落ち着いた大人の女性らしいしっとりとした色香があって、同性の私でもいいなぁと思ってしまう。
きっと世の男性も大多数はそちら派だろう。
少なくとも――道端で転んで色気のないショーツをさらす私なんかよりは。
そこまで考えて、温和をちらっと見ると、私はほうっと溜め息をついた。
下着、もう少し色っぽいの、買いに行こう。
見せる予定なんてないくせに、そんな風に思った。
普段は保健室にいらっしゃるんだけど、朝礼の時や職員会議の時などだけ、ここ二年部の島の一角に設けられた彼女用の席に着席なさる。
普段はいらっしゃらない先生方の机も、職員室にはちゃんと配置されていて、私たち低学年の担任が集められた島には、逢地先生の他にも、図書室司書の伊佐美千鶴先生の机、音楽担当の日昔香澄先生の席など、担任以外の専科やそれに準じた先生方の机が集められている。
ちなみに通路を挟んだ向こうには中学年・高学年の先生方の机が固められていて、あちらには担任以外の教職員の席はない。
「私が怪我しちゃったんで……もしもの時には霧島先生と鶴見先生がサポートしますよっておっしゃってくださって。それにありがとうございます、よろしくお願いしますってお答えしていたところです」
何故か温和と鶴見先生が膠着状態に見えて、私はその微妙な空気を断ち切るように逢地先生に説明をする。
「あらっ、鳥飼先生、どこを負傷なさったんですか?」
さすが養護の先生。
怪我、と聞いてすぐに反応なさった。
逢地先生と私が話し始めたら、鶴見先生が脱力したようにゆっくりと着席なさって。
それに合わせたように温和も書類に目を落としてくれて、私は内心ホッとする。
「あ、怪我と言ってもそんな大したことじゃないんです。昨日ちょっと転んで膝を擦りむいてしまって。傷自体は大したことなかったんですけど、思いの外強く打ち付けてしまったみたいで……」
少し腫れちゃいまして……と言うと「それは大変です! 痛みが引かれるまでは安静になさらないと」と、先ほど温和に言われたのと同じことを言われてしまった。
「本当は冷やすのがいいんでしょうけど、傷があっては湿布なども無理ですもんね。あまり腫れが引かないようなら病院も視野にいれてくださいね」
ほわっと微笑まれて、私はその笑顔に見惚れてしまう。
逢地先生、ゆるっと編み込んで後ろで一つに束ねられた長い黒髪が、女性らしくて本当に素敵だ。
私にはない、落ち着いた大人の女性らしいしっとりとした色香があって、同性の私でもいいなぁと思ってしまう。
きっと世の男性も大多数はそちら派だろう。
少なくとも――道端で転んで色気のないショーツをさらす私なんかよりは。
そこまで考えて、温和をちらっと見ると、私はほうっと溜め息をついた。
下着、もう少し色っぽいの、買いに行こう。
見せる予定なんてないくせに、そんな風に思った。
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