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第1章 少年期〜覚醒編〜

第4話 ぼくが得たもの

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 俯いていた顔を上げ、
 瞑っていた瞳を開ける。
 

「神官様……さっきまで目の前にあった二つの玉が消えているということは、ぼくの中に入ったということですね?」

 「あぁ……えぇ、はい。その通りでございます。
 自身と向き合って固有スキルを獲得したのですよ」

 「そっか……ぼく自身、何がどうしてこうなったのかは本当に分からないんだけど
 きっと、ぼくたちはもう一人の存在に気づいて、認め合った上で一つにならなきゃいけなかったんだと思う」


 今のぼくは、僕とボクが向き合って、新たに生まれ変わったような……そんな気分を感じている。

 固有スキルを獲得したのも、なんとなく感じられる。


 「左様でございますか。
 まぁ、何はともあれ、固有スキル獲得おめでとうございます。
 同時に、ステータスも使えるようになっているはずです。 
 確認してみてください。
 "ステータスオープン"と唱えるのです」

 「"ステータスオープン"」


 すると、前世ではSF映画などでよく見たことがある電子パネルのようなものが現れた。
 これが、ステータスなのだろう。

 ステータスには、文字やら数字やらが浮かび上がっている。


━━━━━━━━━━━━━━━━━
  ステータス
 

〔基本情報〕

名前:ファミリア・ビンドウィード
種族:人族
性別:男
年齢:6歳
職業:(未定)
属性:(不明)


〔パワ―詳細〕

体力:57
魔力:30
物攻:84 
物防:66
魔攻:91
魔防:33
俊敏:90

〔スキル情報〕

・固有スキル《強欲者》
・固有スキル《管理者》
━━━━━━━━━━━━━━━━━


 凄い!
 ぼくに関する情報が、視覚化されてる。


 〔基本情報〕にある"属性"って、使用できる魔術スキルのタイプがどんなものかを表すものだよね。
 ぼくは、まだ魔術スキルを取得していないから不明になってるけど。 

 それから〔パワー詳細〕は、いろんな力が数値化されていて分かりやすいな~。

 "魔力"ってうのは、魔術スキルを使用すると消耗するっていう力のことだよね。


 ぼくの魔力は少し少ないのかもしれない。

 魔術攻撃力が高いのに対して、魔力が少ないのは、どうにも強みを活かしづらい。
  
 物理防御力も魔術防御力も、どっちも攻撃力に比べると明らかに弱い。


 だけど、俊敏性が高いってことは、素早く立ち回って攻撃する戦闘スタイルなら、体力も多いし似合っているのかもしれない。

 それに、魔力を補強したいなら、とにかく魔術を使い続けると増えていくらしいから大きな問題ではなさそうだ。


 「ファミリア、ステータスを見させていただいても?」

 「えぇ、大丈夫ですよ」


 神官様にステータスを見せる。
 

 「おぉ~、なかなかお強いようですね。攻撃に優れておられる」

 「やはり、そうですか。
 うちで、お父さんに剣術の指南をしていただいてるので、その影響だと思います」

 「そうか……"救国の英雄"ハルス様が直々に指導なさるのですから、それは強い子に育つわけです」


 ぼくのお父さんは、しばしば"救国の英雄"と言われている。

 聞くところによると、魔物といわれる、人を襲う怪物たちが、この国"ハイドランジア"に突如現れ王都に向かって進行した際に、当時お父さんがリーダーだった冒険者クランが対抗し全滅させたという。

 その功績から、お父さんは国民から尊敬される的になったということらしい。


 「それにしても、この二つの固有スキル……詳細が気になります」

 「はい。ステータスを見て、固有スキルの欄に触れてみてください。
 初期効果が分かるはずです」

 「わかりました。やってみます」


 一体どんな能力なんだろう。
 ボクと僕の固有スキル……

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


 二つの精神が互いに混じり合い、新たな精神を獲得したその少年は、最強への道を夢見て、人差し指を前へ前へと進めていた。
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