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おにはうち ふくもうち
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奏様と響様に綺麗に着付けてもらって、わたくし、ただ今ご機嫌だったりして。鼻歌なんか歌っちゃったりしてー。
「フン、フン、フンフフフンフン、フーフフンフンフーン」
皆にも見せてらっしゃいと奏様に言われ、南のお屋敷を廻ってみることにした。
もちろん一番先に見せに行ったのは、衣装とか色々準備してくれた帝様と橘さんだ。二人とも可愛い可愛いと褒めてくれて、帝様はおやつまでこっそりと袂に入れてくれた。
もうね。帝様は帝様になるべくしてなったお方だと思う。
「こんなにお菓子もらっちゃったねー」
いつの間にか合流していた蒼さんと茜さんが交通整理ならぬお菓子整理してくれたおかげで、東のママン達チェックが入りそうなお菓子はない。つまり、一日一個というルールを守りさえすれば全部私の懐に……。
「ムフフー。しあわせー」
「あ、雅ちゃん。こっち向いて」
ほっぺを両手で包んで思わずにやける顔を誤魔化していると、蒼さんが後ろから声をかけてきた。
ん?と振り向くと、パシャっとカメラのシャッター音。蒼さんが自分のスマホのカメラをこっちに向けていた。それからスイスイスーイと指を動かすと、隣にいる茜さんのポケットからピロリンと着信音がした。
あらま。不意打ちー。
にやけ面になってない? 共有しても大丈夫な顔になってる?
写真を撮られることに抵抗はないからさ。後で私のデジカメでも撮ってくれると嬉しいなぁ。それも、私だけじゃなくて、みーんなで。
「これでよし、っと」
「なに? 綾芽さんから?」
「いや、薫。なんだかんだいい兄貴分やってるよなぁ」
よく分かんないけど、薫くんはツンデレだけどとっても良いお兄ちゃんですよ?
まぁ、言っても生まれてこのかた一人っ子だし、お兄ちゃんっていうのがいまいち分かんないとこもある。
それでも、毎日美味しいご飯におやつまで作ってくれるし、気が乗れば私のワガママにも付き合ってくれる。だから、良いお兄ちゃんで合ってます。ツンデレだけど。
そんな薫くん達の到着はまだ先。
今日は当日の人出の配置やらその後の宴の料理やらを考える日らしいから、なかなかに大変な日だ。
私が東のお屋敷を出る時には既に市中見回り兼夏生さんからの逃亡という仕事なんだか私事なんだか分からない用を作って外に出かけていた綾芽ママン。
……ちゃんと会議に間に合うように帰ってくる、よねぇー?
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