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隣国でのオタノシミ
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しおりを挟む「きゃあぁぁっ!!」
突然現れた大量の男達の折り重なった姿に王子は何も言葉を出せないようで、ただ驚愕を隠せないようで口をポカンと開けていた。
リリアン嬢はやはりというかなんというか、悲鳴を上げ、王子にしがみついた。
「な、な……」
「いやぁ、睡眠の邪魔をされて、つい。まぁ、命に別状はありませんよ。ただし、別の意味では死んだも同然なんでしょうが。それこそ、命を狙われた身としては知ったこっちゃありませんけど」
「……ひ、ひっ!」
おいおいおい。そんな化け物を見るような目で見ないでくださいよ。正当防衛でしょ。
過剰防衛? んな結果論なこと知らん。
結果的に向こうが酷い目を見た。それは私の実力あったからこそ。
もし私がなんの力もない女だったら、死んでただろう?
まぁ、そもそもなんの力も持っていなかったら、この二人に目をつけられることもなかっただろうから、ここに来る事もなかっただろうけどね。
「彼らに見覚えはありますか?」
うわ、意地悪な質問。あーカワイソ。
クロード王子はブルブルと首を横に振った。
そんな脂汗だらだらな状態でそんな首振られても信憑性の欠片もないですが。
「そうですか。ならこの国の王子であるあなたがいれば問題ないでしょう。ほら、君、返しの術くらいできるんだろう?」
「承知いたしました。さて、返しの術というのは正式名称は別にあるのですが、今は省略で。どんなものかというと、彼らを使役していた主人の元へ同じ術をかけることができるというモノです。今回はそれに加えて状態置換もかけましょう。つまり、彼らと同じ状況が主人にも起こるわけでして」
「さすがにこの国の者に許しを得ておかなければ国際問題にもなりかねませんから。ほら、例えば、この国の重要人物に術が返った場合、とかね?」
ユアンは爽やかな笑顔で、真実を知っている身であればこそ知り得る容赦のない毒を吐いた。
「ちょ、ちょっとま
パチン
…………っ!!」
私がクロード王子が喋っているのも関係なく指を鳴らすと、クロード王子が椅子から転げ落ちた。
ある一点を押えながらもんどりうっている姿を見ても、私にはなんの痛みも分からないからノーコメントで。
「クロード様っ! 大丈夫ですか!?」
「大丈夫ですよ。死にはしませんから。たぶん。……にしても、おかしいですね。私は彼らを使役した主人へと同じ術がかかるようにしたはずですが。はて、一体どういうことでしょう? ちなみに、彼ら、今後子供を作るのは困難でしょうというのが私の見立てです」
「子供? え? 困難?」
リリアン嬢は何を言っているのかわからないといった感じだが、一方の王子は痛みにのたうち回っている間にも私の声は辛うじて拾えているのか、怒りと怯えの目を向けてきた。
「私を殺させて、その罪を第二王子殿下に着せようとしたのでしょうが。少々爪が甘いようですね。人選ミスです。まぁ、最初は忠誠心よろしくお黙りになってましたから、多少の及第点はあげてもいいかもしれませんけど。それに、第二王子殿下に罪を着せられるくらいの重罪ともなるならば、私ではなく、同じ王族、せめてユアン様やシーヴァ様を狙うべきでしたよ? 私の立ち位置は魔術師という肩書はあれど、所詮異世界人、平民でしかありませんからね。この世界での王族の命と引き換えにできるような高位の命ではありません」
多少は痛みが薄れてきたのか、立ち上がろうとするクロード王子に上から重力を倍にかけ、再び床とこんにちはさせた。グエッという蛙みたいな呻き声が聞こえてきたけど、気にしない気にしない。空耳だ。
さぁ、聞きたいことは山ほどあります。キリキリ吐いてもらおうか。
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○○○○○○○○○○
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