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勘違いしちゃったお姫様
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しおりを挟む「サーヤ? どこへ行こうとしているのかな?」
天界に一人、敵前ならぬ味方?前逃亡をしおったシンを追いかけ、思わず腰が浮いた私の肩をぐっと押す圧力。もちろん座りますとも。座るしかないでしょ。
「それでね、君にやってもらいたいことは二つ」
「二つも!? ……いえ、なんでもないです続けてください」
笑顔が場をなごませる? 今まさに凍らかされてますけれども。恐怖の渦にバンジージャンプしかけてますがこれいかに?
……あぁ、もういっそ怒って欲しい。いや、怒ってください、お願いします。精神衛生的に最悪だもの、この状況。
「今、この神殿には巫女姫がいるんだけど、彼女の監視。それからこの王宮に勤める王宮魔術師および魔法使いの指導。君ならできるよね?」
「ちょっと待ってください。魔術師達の指導は分かりますが、巫女姫?の監視?」
「そう。彼女も異世界から来たんだけど、自分が何かの主人公とか言い張るんだよ? 確か乙女げぇむ?とかなんとか」
「…………げっ」
それはもしかして乙女ゲームとかだったりするんですかね?
……え? この世界が乙女ゲーム? いや、ないよ。そりゃあ200%ない。あってRPGでしょ。
だってほとんどのゲームの発売日に友達の乙女ゲームオタクに引っ張られて限定版?とかいうのを買いに連れていかされて延々とその話を聞かされてたから大抵のものはどんなんだか知ってるけど……こういうのなかったよ?
え? 自分モテません以前のここ乙女ゲームです的勘違いっ子?
「僕、そういうのダメなんだよね~。自分を中心に世界が回ってます的な子」
あ~そうですよね。目、笑ってらっしゃらないですもんね。
すっごく分かります。
「だから、よろしくね?」
「えっと……………はい」
顔がいいから笑顔になれば大抵の女の子は言うこと聞いてきたんだろう。
若き神官長様はご自分の容姿を実に良く分かってらっしゃる。私にはそれが効かないと分かっていても出してくる辺りより一層たちが悪い。
「じゃあもう今日はいいよ。彼女とは後日会ってもらうから。同じ黒髪黒目だからもしかしたら同じ所から来たのかもしれないからすぐ仲良くなれるでしょ」
「分かりました。……失礼します」
こんな魔窟に近い場所、一刻も早く出たい。
なにより、下界の空気を肺が求めてる!
ドア? 何を言ってるんだ。
瞬間移動で家にご帰宅に決まっている。私のライフポイントはほぼ0に近い。こんな状態でちんたら馬車で一時間半も揺られていたら確実に死ねる。
「あ! サーヤ! おかえりぃ」
ニコッと真性真っ当なジョシュアの笑顔に癒されたのは言うまでもない。
あぁ、我が家が一番。
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