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第5章
第1話(1)
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「……ああ、こっちは変わらずにやっている。……そうだ、ミスリルのホテルに1泊した。護衛からも報告がいってるだろう」
低い話し声に、眠りの底に沈んでいた意識がゆっくりと浮上した。
「送られてきた書類は、今朝方すべて目を通して決済してある。返送した内容で不備がないか、確認しておいてくれ。……ああ、わかってる。心配しなくていい。もうしばらく留守を頼むぞ、ベルンシュタイン」
目を開けたリュークは、見知らぬ内装の部屋をぼんやりと眺めた。それからゆっくりと身を起こす。窓際の一人掛け用ソファーに座っていた人物が、気配を察して振り返った。
「目が覚めたか?」
立ち上がって近づいてきた男は、ベッドの端に腰を下ろすと、手を伸ばして黄金の髪を後方に梳いた。
「シリル……」
「気分はどうだ? 頭は痛くないか?」
訊かれて、そういえばひどく頭が重いことに気づく。わずかに眉を顰めると、その様子を見たシリルが、サイドテーブルに用意してあったグラスと錠剤を差し出した。
「これは……?」
「宿酔いの薬だ。まったく無茶な飲みかたしやがって」
「宿酔い?」
いいから飲んでおけと言われて、美貌のヒューマノイドは錠剤を口に含んで水で流しこんだ。自分でも知らぬまに喉が渇いていたらしい。残りの水も一気に飲み干すと、リュークはホッと息をついた。
「大丈夫か? まだ寝ててもいいぞ」
その手からグラスを取り上げながらシリルが言った。
「あの、ここは……」
「ミスリルのホテルだ。おまえが酔いつぶれて眠っちまったあとも、しばらく飲んでたからな。明け方近くにお開きになって、近場のホテルにチェックインした」
「皆さんは?」
「それぞれ仕事や家庭があるからな。適当に引き上げていった。おまえによろしくとのことだ」
言われて、リュークは昨夜のことを思い返してみるが、その記憶は途中から完全に途切れていた。
「すみません。もしかして私は、とんでもない醜態を晒してしまったのでしょうか? ひょっとして皆さんに、とても失礼なことを?」
「楽しく飲んで酔っぱらって、気持ちよく眠った。それだけのことだ。酒の席なんてみんなハメをはずす。おまえ程度なら可愛いもんだ」
「私程度、というのは具体的にどんな……。あの、すみません。全然憶えていなくて……」
戸惑いを隠せない美貌のヒューマノイドに、シリルは低く笑った。
低い話し声に、眠りの底に沈んでいた意識がゆっくりと浮上した。
「送られてきた書類は、今朝方すべて目を通して決済してある。返送した内容で不備がないか、確認しておいてくれ。……ああ、わかってる。心配しなくていい。もうしばらく留守を頼むぞ、ベルンシュタイン」
目を開けたリュークは、見知らぬ内装の部屋をぼんやりと眺めた。それからゆっくりと身を起こす。窓際の一人掛け用ソファーに座っていた人物が、気配を察して振り返った。
「目が覚めたか?」
立ち上がって近づいてきた男は、ベッドの端に腰を下ろすと、手を伸ばして黄金の髪を後方に梳いた。
「シリル……」
「気分はどうだ? 頭は痛くないか?」
訊かれて、そういえばひどく頭が重いことに気づく。わずかに眉を顰めると、その様子を見たシリルが、サイドテーブルに用意してあったグラスと錠剤を差し出した。
「これは……?」
「宿酔いの薬だ。まったく無茶な飲みかたしやがって」
「宿酔い?」
いいから飲んでおけと言われて、美貌のヒューマノイドは錠剤を口に含んで水で流しこんだ。自分でも知らぬまに喉が渇いていたらしい。残りの水も一気に飲み干すと、リュークはホッと息をついた。
「大丈夫か? まだ寝ててもいいぞ」
その手からグラスを取り上げながらシリルが言った。
「あの、ここは……」
「ミスリルのホテルだ。おまえが酔いつぶれて眠っちまったあとも、しばらく飲んでたからな。明け方近くにお開きになって、近場のホテルにチェックインした」
「皆さんは?」
「それぞれ仕事や家庭があるからな。適当に引き上げていった。おまえによろしくとのことだ」
言われて、リュークは昨夜のことを思い返してみるが、その記憶は途中から完全に途切れていた。
「すみません。もしかして私は、とんでもない醜態を晒してしまったのでしょうか? ひょっとして皆さんに、とても失礼なことを?」
「楽しく飲んで酔っぱらって、気持ちよく眠った。それだけのことだ。酒の席なんてみんなハメをはずす。おまえ程度なら可愛いもんだ」
「私程度、というのは具体的にどんな……。あの、すみません。全然憶えていなくて……」
戸惑いを隠せない美貌のヒューマノイドに、シリルは低く笑った。
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