143 / 161
第13章 戦闘
第4話
しおりを挟む
ラーザは人質とともに王室管理局西棟の屋上へと逃れた。中央制御室のメイン・スクリーンを通じて、それを追う王室師団、シリルの様子が映し出される。
「碌でもないチンピラだが、思いのほか、執拗な粘りを見せて愉しませてくれる」
映像を眺めながら、ケネスは満足げに独語した。
近衛兵に包囲され、退路を断たれてなお、ラーザの表情から戦意が消えることはない。その目に、ただひとりを映していた。
将兵らをその場に待機させ、長身の男がまえに進み出る。
シリル・ヴァーノン。
メイン・スクリーンの向こうとこちら側。
男を見つめる眼差しの中に、ラーザとケネス、ともに狂気の色が宿った。
ケネスの傍らで、クリスタル・ブルーの双眸がおなじように映像を凝視する。陶器の人形のように硬く、冷たい無表情。だが、その指先がほんのわずか、ピクリと顫えた。
「碌でもないチンピラだが、思いのほか、執拗な粘りを見せて愉しませてくれる」
映像を眺めながら、ケネスは満足げに独語した。
近衛兵に包囲され、退路を断たれてなお、ラーザの表情から戦意が消えることはない。その目に、ただひとりを映していた。
将兵らをその場に待機させ、長身の男がまえに進み出る。
シリル・ヴァーノン。
メイン・スクリーンの向こうとこちら側。
男を見つめる眼差しの中に、ラーザとケネス、ともに狂気の色が宿った。
ケネスの傍らで、クリスタル・ブルーの双眸がおなじように映像を凝視する。陶器の人形のように硬く、冷たい無表情。だが、その指先がほんのわずか、ピクリと顫えた。
0
お気に入りに追加
21
あなたにおすすめの小説
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!
父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
その他、多数投稿しています!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
黄昏の国家
旅里 茂
SF
近未来である西暦2057年、日本国から世界で初めての、準政府組織オーイックスが誕生する。
全てにおいて、弱り切った現政府機関を持ち直し、時には時事介入する特殊な組織。
ブレーンの一人である高沢健司が、様々なプランを打ち立てて奮闘する。
海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
待ち合わせは美術館で~地上の『深海の星』~
霜條
ミステリー
怪盗稼業を引き継いだばかりの『フローライト』は、三度目の失敗でついに心が折れた。
相棒のアウィン(猫)が気分転換に提案したのは、美術館がひしめく『アシャンゴラ・ビ・アゲート』へ息抜きがてら行くことに。
連日ここに届く予告状の多さと連日逮捕される同業者に、警官になった方が張り合いのある生活が遅れるのではと本末転倒な考えに至る。
アシャンゴラ・ビ・アゲートの警官になるフローライトだったが、まさかのここに来たばかりのラミナ・クロスフィードの元に配属されてしまった。
『深海の星』の所持者の死の謎を突き止めるため捜査に加わることに。
その事件を刑事と元怪盗のコンビが追っていく――。
※コメディ要素多めの短編の予定です。
※念のため『残酷な描写あり』にチェックしていますが、第一話以上のことはないかと思います。
中山道板橋宿つばくろ屋
五十鈴りく
歴史・時代
時は天保十四年。中山道の板橋宿に「つばくろ屋」という旅籠があった。病床の主にかわり宿を守り立てるのは、看板娘の佐久と個性豊かな奉公人たち。他の旅籠とは一味違う、美味しい料理と真心尽くしのもてなしで、疲れた旅人たちを癒やしている。けれど、時には困った事件も舞い込んで――? 旅籠の四季と人の絆が鮮やかに描かれた、心温まる時代小説。
あなたは親なんですから--養育義務遂行施設--
多々島アユム
SF
『そこは子どもの人生をお金で償うための施設』
2037年、監護及び教育の権利義務について法改正が行われ、養育費未払問題の解決策として「養育義務遂行施設」が開設された。そこは子どもに対して親の責務を金で償う事実上の刑務所だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる