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第13章 戦闘
第3話(5)
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愛機から降り立つと、建物の正面部分はもちろんのこと、中央制御室に接する壁面も見事に取り払われていた。爆破に巻きこまれて倒れ伏す民間兵らの姿も散見される。その向こう側に、両腕で顔を庇うように立ち、こちらを見据えるラーザの姿をとらえた。
「兄ィ!」
シリルの登場に、部屋の奥でリズをガードしていたマティアスが嬉しそうな声をあげた。
「中央制御室の占拠がなんだって?」
悠然と対峙して言葉を発するシリルを、ラーザは怒りに燃える眼差しで射貫いた。
「き…っさま……っ!」
【なんだ情けない。あんな大言壮語を吐いておきながら、結局はこの程度か】
クリスタル合板の透過率を上げた強化シャッターの向こう側で、高処の見物を決めこんでいたケネスが嘆かわしそうに揶揄した。ただでさえささくれ立っている神経をさらに逆なでされ、ラーザは激情にまかせて振り向きざま、ケネスの顔面めがけて銃を発砲した。
「うるせえっ!!」
強化シャッターに当たった銃弾が、勢いよく弾き返される。流れ弾となったそれは、ビア・セキュリティの隊員のひとりの頭部を貫いた。己の所行で味方の生命を奪っておきながら、ラーザは運悪く犠牲となった隊員の無様な死にように、冷酷な一瞥を投げつけていまいましげに舌打ちした。
「自分じゃなんもやらねえくせしやがって、安全な場所で偉そうなことほざいてんじゃねえよっ!」
吐き捨てながらも、爛々と光る眼差しはシリルに据えられていた。その目に、不意に獰猛な光が宿った。刹那、シリルはその場にいた全員に鋭く命じた。
「伏せろっ!」
突如、部屋全体に、とてつもない明るさの閃光が弾けた。
反射的に目を固く閉じてみずからの腕でガードしたシリルでさえ瞼裏に強い刺激を受け、しばし身動きを封じられた。室内にいた他の者たちも同様で、わずかに反応が遅れた者は網膜を灼かれ、完全に視界を奪われることとなった。イーグルワンの背後に身をひそめて突入のタイミングを計っていたオクデラたちでさえ、出力を最大にした閃光弾の魔の手から逃れることはできなかった。
「兄ィ!」
シリルの登場に、部屋の奥でリズをガードしていたマティアスが嬉しそうな声をあげた。
「中央制御室の占拠がなんだって?」
悠然と対峙して言葉を発するシリルを、ラーザは怒りに燃える眼差しで射貫いた。
「き…っさま……っ!」
【なんだ情けない。あんな大言壮語を吐いておきながら、結局はこの程度か】
クリスタル合板の透過率を上げた強化シャッターの向こう側で、高処の見物を決めこんでいたケネスが嘆かわしそうに揶揄した。ただでさえささくれ立っている神経をさらに逆なでされ、ラーザは激情にまかせて振り向きざま、ケネスの顔面めがけて銃を発砲した。
「うるせえっ!!」
強化シャッターに当たった銃弾が、勢いよく弾き返される。流れ弾となったそれは、ビア・セキュリティの隊員のひとりの頭部を貫いた。己の所行で味方の生命を奪っておきながら、ラーザは運悪く犠牲となった隊員の無様な死にように、冷酷な一瞥を投げつけていまいましげに舌打ちした。
「自分じゃなんもやらねえくせしやがって、安全な場所で偉そうなことほざいてんじゃねえよっ!」
吐き捨てながらも、爛々と光る眼差しはシリルに据えられていた。その目に、不意に獰猛な光が宿った。刹那、シリルはその場にいた全員に鋭く命じた。
「伏せろっ!」
突如、部屋全体に、とてつもない明るさの閃光が弾けた。
反射的に目を固く閉じてみずからの腕でガードしたシリルでさえ瞼裏に強い刺激を受け、しばし身動きを封じられた。室内にいた他の者たちも同様で、わずかに反応が遅れた者は網膜を灼かれ、完全に視界を奪われることとなった。イーグルワンの背後に身をひそめて突入のタイミングを計っていたオクデラたちでさえ、出力を最大にした閃光弾の魔の手から逃れることはできなかった。
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