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第13章 戦闘

第2話

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 王室府の要請を受けて出動したローレンシア空陸両軍は、人型兵器の追撃に苦戦を強いられていた。
 攻撃力と身体能力が極めて高いことはもちろん、戦闘に特化したものとはいえ、判断力も侮れない。生きた人間を手当たり次第に、というプログラムが行動原理の規範となっているため、その指令に忠実に従うべく縦横に動きまわり、それら複数の動きを把握するだけでもひと苦労だった。

 第一級非常事態宣言の発令により、一般市民の外出は原則として規制されている。街中に殆ど人影は見当たらなかったが、屋内に待機しているからといって、それが安全であるという保障はどこにもなかった。運が悪ければドアや窓を破られ、殺人鬼の餌食にされる危険性は充分ひそんでいた。

 エアカーでざっと官庁街を飛行したシリルは、ローレンシア軍が要所要所で築いた機甲部隊によるバリケードの位置なども確認しつつ、7体のヒューマノイドの動きも脳内でシミュレートした。そのシリルの機体に、通信が入った。

「恐れ入ります。こちらは市街戦を指揮しております王室第2師団長、ダニエル・ブラッドリー少将であります」
「ああ、ご苦労。戦況は?」
「ヒューマノイド6体のうち、2体は始末済みです」
「6? 7体じゃないのか?」
「いえ。こちらで確認しているのは6体です」

 ということは、1体はまだ、庁舎内に残っているということである。小さく舌打ちしたシリルは、残り4体の捕捉状況を確認した。
 4体のうち、すでに1体は包囲網の内側へ追いこんでいるという。

「わかった。その1体はなにがなんでも確実に仕留めろ。残り3体は俺が引き受ける」
「ですがっ」
「問題ない。普通の道幅があれば充分飛べる。1区、5区、18区、それぞれを担当する編成部隊は、機甲部隊、装甲兵を中心に敵の建物内への侵入、潜伏を阻止しろ」
「承知しました」
「司令部で受信している各部隊の布陣データを随時イーグルに転送。まずは18区に向かう」
「イェッサッ」

 陸軍上級士官と傭兵の立場がまたしても逆転している。シリルは内心で苦笑しつつも、ひとまず受け流すことにした。

「それから、ブラッドリーといったか?」
「はっ」
「兵力の余剰がある場合は、装甲兵を王室管理局庁舎に救護班とともに向かわせろ。第1師団が一般職員を警固して避難させているが、ヒューマノイドが1体、庁舎内に潜伏している」
「かしこまりました。ただちに向かわせます」

 いったん通信を切ったシリルは、愛機に送られてくる通信司令部からの布陣データに目を走らせると、目的地に向け、機首をめぐらせた。
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