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8 また会う日まで
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結果として、奇跡は起こった。
余命を宣告された時点で、手術をしたとしても成功する確率は10パーセントにも満たないと言われていた。それどころか、仮に成功したとしても重い障害が残ることは避けられないとまで断言されていた。
どう転んでも、俺の目の前には絶望的な未来しか示されず、希望は欠片も存在していないはずだった。だが。
具体的に手術を受ける方向で話が進みはじめると、いつのまにか親のほうが後込みする様子を見せはじめた。場合によっては、手術の最中にそのまま息を引き取ることも充分ありうる。そんな話も出ていたからだ。だが、起こりうる最悪の可能性をどれだけ示されても、俺の意思は変わらなかった。
不安も躊躇いも、いっさいなかった。どうせこのまま行けば、確実にあとわずかで終わる生命なのだ。それが手術中であったとしてもたいした違いはない。むしろ、全身麻酔が効いてなにもわからないうちにすべてが終わるなら、苦痛がなくてありがたいくらいだった。
それに、もしそこで俺の人生が終わるとしても、向こうの世界にはあいつがいる。先に行って、俺を待ってる。そう思ったら、不思議と恐怖は感じなかった。
生きたい。あいつのぶんまで生きて、この世界にしがみつきたい。そう思う気持ちと、見事に矛盾するやすらいだ思い。
『大丈夫だよ、おじちゃん。奇跡は起こるから』
神に祈るよりも、遙かにあいつのあの言葉を信じられる。そう思った。
そうして落ち着いた気持ちで手術に臨み、結果、俺は残りの人生を手に入れた。
医者が見立てた障害も、いっさい残ることなく術後の身体は回復し、予後も良好。予定よりずっと早くリハビリを終えて退院することとなった。
こんなことが実際に起こるなんて。
みずからが執刀しておきながら、担当医は信じがたい様子で呟いた。うっかり本音が漏れていることにすら気づかぬ様子で。そのぐらい、あり得ないことだったのだろう。
俺は、病院内でひそかに『奇跡の人』と噂されるようになった。そしてその噂に、内心でそのとおりだよと深く頷いては、あの小さな子供に思いを馳せた。
入院中、とくに手術前後の昏睡中に、あいつがもう一度会いに来てくれるんじゃないかと期待していた。だけど結局、あいつはあれっきり姿を見せなかった。
退院した俺は、一度アパートに戻って、それからすぐに川に向かった。
あいつとはじめて会った土手の上から河川敷を見下ろす。ブルーシートはすでに取り払われ、遺体が発見されたことはおろか、現場検証が行われた痕跡すらどこにも見当たらなかった。
あの日とおなじように、眼下に望む景色は平和そのもので、だけどたしかに、季節は移り変わっていた。
いつのまにか今年の桜はシーズンを終え、ゴールデンウィークすらも彼方に過ぎ去っていた。頭上から降りそそぐ陽射しはいっそうの目映さと熱気を帯び、空気の中に、夏の気配を漂わせはじめている。
『ねえ、なにしてるの?』
いまにもなれなれしい口調で声をかけられる気がして、その瞬間をただじっと待ち侘びた。だが、いつまで待っても、待ち望んだ瞬間は訪れなかった。
「早く、出てこいよ」
ポツリ、とだれにともなく呟いてみる。
まえを向いたまま、河川敷のグラウンドで野球をするガキどもを見下ろしながら、それでも意識だけは背後に集中する。
「なあ、いるんだろ? わかってるから出てこいって。クマ、取りにこいよ」
訪れる静寂が耐えがたくて、ややトーンをあげてみた。その自分の声が、妙に切迫して余裕がないものになっている。気づいた途端、バカみたいに狼狽えた。
病院にいるあいだは、まだ自分の存在が生と死の狭間にいるような気がして、生き延びたことを他人事のように眺めていられた。だが、こんなふうに日常を取り戻してしまったら、もうダメだった。
知らず知らずのうち、腕に抱えていたものを強く握りしめる。
「なあ、クソガキ、早く取りこいって。捨てちまうぞ、おまえの宝物!」
いいよ、とか、やっぱり返して、とか、なんでもいいから早く言いにこい。
祈るような気持ちで抱きしめた。
「なあってば、聞いてんだろ? 俺、助かったんだよ。おまえがくれたクマゴロー、ほんとに奇跡起こしやがったんだ。だから俺、おまえにちゃんとお礼が言いたいんだよ。そんでおまえに奇跡のクマ、ちゃんと返したいんだよ。おまえにももっとすごい奇跡が起こるように。なあおい、聞いてるか……? クソガキ……――律!」
声に出して名前を呼んだらもう、我慢できなくなった。
立ち上がって、一気に斜面を駆け下りる。入院生活で体力がすっかり落ちて、すぐに息が上がった。足も無様に、何度も縺れてそのたびに転げ落ちそうになった。それでも速度を落とさず、一気に駆け下りて河川敷の端まで走りきる。川岸に近い、ブルーシートが張り巡らされていたあたり。
「おいってば! 出てこい、クソガキッ! いるんだろ? 隠れてないで姿見せろっ。そんで一緒に帰るぞ! おまえが幽霊でもなんでもかまわねえ。俺がクマゴローごと引き取ってやる。面倒見てやるよ。ちゃんと育ててやる! だから遠慮しないで出てこいっ! なあクソガキ……――律っ!」
呼びかけながら、必死で探しまわる。
「頼むから返事しろっ。律っ! 律っ! どこ行っちまったんだよ、おまえ。帰ってこいってっ。俺んとこ戻ってこい! 律――律っ!!」
いい年したおっさんが、ぬいぐるみ抱えて叫びながら走りまわって、挙げ句泣き崩れてそのまま地面に座りこんで号泣とか、傍から見たら奇っ怪このうえなかっただろう。イタすぎるにもほどがある。どっからどう見たって、イッちゃった奴以外のなにものでもない。それでも俺は、諦めきれずにガキを呼びつづけた。
律、おまえに会いたいよ。
会ったのは、夢の中も含めてたったの三度。
それでもあいつは、俺の心に強烈な印象を残して刻まれた。
『ぼくね、思うんだけど、生きてるとときどき、苦しいことも悲しいこともいっぱいあるでしょ? だけど、それでもやっぱり、「ここ」にいられるのっていいなあって思ったりするの』
どういう基準であいつが俺を選んでくれたのかはわからない。だけど、あいつが生きるはずだったこれからの時間を、俺はあいつから、こんなかたちで譲り受けた。プレゼントしてもらった。そのことだけは、はっきりとわかる。
かぎりなく望み薄な確率であったにもかかわらず、俺は手術を受けることを決断し、揺らぐことのない確信をもって最後には奇跡をこの手に勝ち取った。その勇気を、医者も看護師たちも、こぞって褒め讃えてくれた。だが、真に讃えられるべきは俺なんかじゃない。あいつに出会わなければ、俺は間違いなくその辺でのたれ死んでた。だから、本当にすごいのは俺じゃない。本当の意味で強く、勇敢だったのは、最後までだれも恨まず、己の運命をただ穏やかに受け容れて、俺に希望を托していったあいつだった。
律――ちっこい奇跡で、とてつもない勇者。
いつしか陽が西に傾き、夕闇がひろがりはじめていた。
野球をしていた子供たちの姿も、すでにない。
俺のボロアパートでの生活も、今日で終わる。明日には部屋を引き払って、当面は実家に戻って親もとで療養することが決まっていた。親も知らないうちに離婚して、会社をクビになった挙げ句に生命に関わる大病を患って行方をくらまし、さんざん心配をかけたのだ。このぐらいの頼みは聞き入れなければ、親不孝が過ぎるというものだろう。
しらばくの療養も兼ねた経過観察を経て、問題がなければいずれは社会復帰をする。
あいつにもらった生命で、今度は悔いがないよう、もう一度生きなおしてみようと思う。
俺はこの世界に、勇敢な天使が起こした奇跡によって転生した。
クソガキ――……律、ありがとな。俺、おまえが救ってくれた生命で、もう一回頑張るから。だからいつかまた、必ず会おう。そのときまで、待ってろよ――
泣きすぎて腫れぼったく熱を持った目で、腕の中のぬいぐるみを見つめる。俺はそれから、ゆっくりと立ち上がった。
これは俺に起こった、本当の奇跡の物語である。
~ end ~
余命を宣告された時点で、手術をしたとしても成功する確率は10パーセントにも満たないと言われていた。それどころか、仮に成功したとしても重い障害が残ることは避けられないとまで断言されていた。
どう転んでも、俺の目の前には絶望的な未来しか示されず、希望は欠片も存在していないはずだった。だが。
具体的に手術を受ける方向で話が進みはじめると、いつのまにか親のほうが後込みする様子を見せはじめた。場合によっては、手術の最中にそのまま息を引き取ることも充分ありうる。そんな話も出ていたからだ。だが、起こりうる最悪の可能性をどれだけ示されても、俺の意思は変わらなかった。
不安も躊躇いも、いっさいなかった。どうせこのまま行けば、確実にあとわずかで終わる生命なのだ。それが手術中であったとしてもたいした違いはない。むしろ、全身麻酔が効いてなにもわからないうちにすべてが終わるなら、苦痛がなくてありがたいくらいだった。
それに、もしそこで俺の人生が終わるとしても、向こうの世界にはあいつがいる。先に行って、俺を待ってる。そう思ったら、不思議と恐怖は感じなかった。
生きたい。あいつのぶんまで生きて、この世界にしがみつきたい。そう思う気持ちと、見事に矛盾するやすらいだ思い。
『大丈夫だよ、おじちゃん。奇跡は起こるから』
神に祈るよりも、遙かにあいつのあの言葉を信じられる。そう思った。
そうして落ち着いた気持ちで手術に臨み、結果、俺は残りの人生を手に入れた。
医者が見立てた障害も、いっさい残ることなく術後の身体は回復し、予後も良好。予定よりずっと早くリハビリを終えて退院することとなった。
こんなことが実際に起こるなんて。
みずからが執刀しておきながら、担当医は信じがたい様子で呟いた。うっかり本音が漏れていることにすら気づかぬ様子で。そのぐらい、あり得ないことだったのだろう。
俺は、病院内でひそかに『奇跡の人』と噂されるようになった。そしてその噂に、内心でそのとおりだよと深く頷いては、あの小さな子供に思いを馳せた。
入院中、とくに手術前後の昏睡中に、あいつがもう一度会いに来てくれるんじゃないかと期待していた。だけど結局、あいつはあれっきり姿を見せなかった。
退院した俺は、一度アパートに戻って、それからすぐに川に向かった。
あいつとはじめて会った土手の上から河川敷を見下ろす。ブルーシートはすでに取り払われ、遺体が発見されたことはおろか、現場検証が行われた痕跡すらどこにも見当たらなかった。
あの日とおなじように、眼下に望む景色は平和そのもので、だけどたしかに、季節は移り変わっていた。
いつのまにか今年の桜はシーズンを終え、ゴールデンウィークすらも彼方に過ぎ去っていた。頭上から降りそそぐ陽射しはいっそうの目映さと熱気を帯び、空気の中に、夏の気配を漂わせはじめている。
『ねえ、なにしてるの?』
いまにもなれなれしい口調で声をかけられる気がして、その瞬間をただじっと待ち侘びた。だが、いつまで待っても、待ち望んだ瞬間は訪れなかった。
「早く、出てこいよ」
ポツリ、とだれにともなく呟いてみる。
まえを向いたまま、河川敷のグラウンドで野球をするガキどもを見下ろしながら、それでも意識だけは背後に集中する。
「なあ、いるんだろ? わかってるから出てこいって。クマ、取りにこいよ」
訪れる静寂が耐えがたくて、ややトーンをあげてみた。その自分の声が、妙に切迫して余裕がないものになっている。気づいた途端、バカみたいに狼狽えた。
病院にいるあいだは、まだ自分の存在が生と死の狭間にいるような気がして、生き延びたことを他人事のように眺めていられた。だが、こんなふうに日常を取り戻してしまったら、もうダメだった。
知らず知らずのうち、腕に抱えていたものを強く握りしめる。
「なあ、クソガキ、早く取りこいって。捨てちまうぞ、おまえの宝物!」
いいよ、とか、やっぱり返して、とか、なんでもいいから早く言いにこい。
祈るような気持ちで抱きしめた。
「なあってば、聞いてんだろ? 俺、助かったんだよ。おまえがくれたクマゴロー、ほんとに奇跡起こしやがったんだ。だから俺、おまえにちゃんとお礼が言いたいんだよ。そんでおまえに奇跡のクマ、ちゃんと返したいんだよ。おまえにももっとすごい奇跡が起こるように。なあおい、聞いてるか……? クソガキ……――律!」
声に出して名前を呼んだらもう、我慢できなくなった。
立ち上がって、一気に斜面を駆け下りる。入院生活で体力がすっかり落ちて、すぐに息が上がった。足も無様に、何度も縺れてそのたびに転げ落ちそうになった。それでも速度を落とさず、一気に駆け下りて河川敷の端まで走りきる。川岸に近い、ブルーシートが張り巡らされていたあたり。
「おいってば! 出てこい、クソガキッ! いるんだろ? 隠れてないで姿見せろっ。そんで一緒に帰るぞ! おまえが幽霊でもなんでもかまわねえ。俺がクマゴローごと引き取ってやる。面倒見てやるよ。ちゃんと育ててやる! だから遠慮しないで出てこいっ! なあクソガキ……――律っ!」
呼びかけながら、必死で探しまわる。
「頼むから返事しろっ。律っ! 律っ! どこ行っちまったんだよ、おまえ。帰ってこいってっ。俺んとこ戻ってこい! 律――律っ!!」
いい年したおっさんが、ぬいぐるみ抱えて叫びながら走りまわって、挙げ句泣き崩れてそのまま地面に座りこんで号泣とか、傍から見たら奇っ怪このうえなかっただろう。イタすぎるにもほどがある。どっからどう見たって、イッちゃった奴以外のなにものでもない。それでも俺は、諦めきれずにガキを呼びつづけた。
律、おまえに会いたいよ。
会ったのは、夢の中も含めてたったの三度。
それでもあいつは、俺の心に強烈な印象を残して刻まれた。
『ぼくね、思うんだけど、生きてるとときどき、苦しいことも悲しいこともいっぱいあるでしょ? だけど、それでもやっぱり、「ここ」にいられるのっていいなあって思ったりするの』
どういう基準であいつが俺を選んでくれたのかはわからない。だけど、あいつが生きるはずだったこれからの時間を、俺はあいつから、こんなかたちで譲り受けた。プレゼントしてもらった。そのことだけは、はっきりとわかる。
かぎりなく望み薄な確率であったにもかかわらず、俺は手術を受けることを決断し、揺らぐことのない確信をもって最後には奇跡をこの手に勝ち取った。その勇気を、医者も看護師たちも、こぞって褒め讃えてくれた。だが、真に讃えられるべきは俺なんかじゃない。あいつに出会わなければ、俺は間違いなくその辺でのたれ死んでた。だから、本当にすごいのは俺じゃない。本当の意味で強く、勇敢だったのは、最後までだれも恨まず、己の運命をただ穏やかに受け容れて、俺に希望を托していったあいつだった。
律――ちっこい奇跡で、とてつもない勇者。
いつしか陽が西に傾き、夕闇がひろがりはじめていた。
野球をしていた子供たちの姿も、すでにない。
俺のボロアパートでの生活も、今日で終わる。明日には部屋を引き払って、当面は実家に戻って親もとで療養することが決まっていた。親も知らないうちに離婚して、会社をクビになった挙げ句に生命に関わる大病を患って行方をくらまし、さんざん心配をかけたのだ。このぐらいの頼みは聞き入れなければ、親不孝が過ぎるというものだろう。
しらばくの療養も兼ねた経過観察を経て、問題がなければいずれは社会復帰をする。
あいつにもらった生命で、今度は悔いがないよう、もう一度生きなおしてみようと思う。
俺はこの世界に、勇敢な天使が起こした奇跡によって転生した。
クソガキ――……律、ありがとな。俺、おまえが救ってくれた生命で、もう一回頑張るから。だからいつかまた、必ず会おう。そのときまで、待ってろよ――
泣きすぎて腫れぼったく熱を持った目で、腕の中のぬいぐるみを見つめる。俺はそれから、ゆっくりと立ち上がった。
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