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第一章

第8話 初戦闘

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 勢いよく飛んでいく【雷の矢】は先頭を飛んでいた巨大蝙蝠に命中。
 すると、一瞬痙攣したかと思うと地面へと落下した。
 だがまだ生きてはいるようで、微かに地面で蠢いているのが見える。
 続けて二発目の【雷の矢】を放とうとしていた芽衣だったが、既に前衛のすぐ傍にまで接近していたのを見て、行動をキャンセルした。

「死ねぇぇぇええいっ!」

 自らを奮い立たせるように声を張り上げた龍之介が、速度を緩める様子もない巨大蝙蝠に向けて剣を振り下ろす。
 しかし両手で持っているとはいえ、金属の剣の重さは予想以上に重いのか、剣筋はよれよれだ。
 龍之介の振り下ろした剣は、斬るというよりは衝突といった形で接触し、僅かに蝙蝠の胴体部分の表皮を切り裂くにとどまった。

「チッ!」

 衝突の衝撃はそれほどでもなかったが、思い通りに斬れなかった事に舌打ちをした龍之介。そこに、今度こそ本当に衝撃が襲い掛かる。
 先ほど斬り流した蝙蝠の背後から、更に別の蝙蝠が飛んできていたのだ。
 勢いのままに龍之介にぶつかったその蝙蝠は、ただ単に衝突してきただけではなかった。

「ってぇぇぇっ!」

 龍之介から苦痛の声が漏れる。
 それは衝撃によるものだけではなく、衝突によって倒された龍之介の右腕に食い込む蝙蝠の二本の牙のせいだ。
 上半身にまともに体当たりを食らった龍之介は、地面に崩れ落ち前後不覚に陥っていた。
 その間に、蝙蝠は目前の得物を喰らおうと噛みついていたのだ。

 余りの痛みに噛みつかれた右腕を振り回す龍之介。
 数センチはあろうかという蝙蝠の二本の牙はしっかりと龍之介の腕に穿たれている。
 そのせいか、ただ振り回した程度では外れる様子もない。
 結局地面に右腕ごと何度も叩きつけるようにしてようやく外す事が出来た龍之介は、即座に落としてしまっていた剣を拾いなおす。
 噛まれた右腕には、蝙蝠に噛まれた跡が直径数ミリの穴として痛々しく残されており、そこからは血がじわじわと地下水のように湧き出している。

「ぐっ、オオオオォォッ!」

 獣のような咆哮を上げながら、龍之介は頭部をしこたま地面に叩きつけられて少しフラフラしている様子の蝙蝠を斬り捨てる。
 痛い目に合わされ逆上していたのか、事切れた後も二、三回切り付けられた蝙蝠は見るも無残な姿となり果てた。

 しかしそれでもなお動きが止まりそうになかった龍之介であったが、何度目かの剣を振り下ろそうとした時に、ずたぼろになっていた蝙蝠の死体が、無数の光の粒子へと変換するように輝く。
 数瞬後には蝙蝠の死体は綺麗さっぱり無くなっており、そこには小さな石のかけらのようなものしか残っていなかった。
 先ほどまでの狂騒が嘘のように引いた龍之介は茫然とした様子でその小石を見つめる。

「とおりゃああーーっ!」

 そんな龍之介の耳に由里香の気合の入った声が聞こえてきた。
 見ると先ほど龍之介が軽い傷を負わした蝙蝠に向かって、ナックルを打ち付けている由里香の姿があった。
 その動きは速さだけで言えば、階級が軽めのプロボクサーにも匹敵する程で、その後も追加で奥から飛んできた蝙蝠相手にも攻撃をもらう事なく回避できている。

 更に周囲を軽く見渡すと、由里香の戦っている少し奥では信也が比較的安定した立ち回りを見せている。
 どうやら防御に重きを置いた立ち回りで、徐々に蝙蝠に傷を与えていく作戦のようだ。

「まずは近くの奴から!」

 ようやく気持ちを立て直し、周囲の戦況を確認した龍之介は、由里香に接近しつつあった二匹の蝙蝠の元へと向かった。
 そして先ほどのような無様な失態を見せないよう、ちらっと見えた信也の立ち回りを参考に防御重視の立ち回りを意識する。

 確かに先ほどはたった一匹の蝙蝠相手に不覚を取ってしまったが、蝙蝠の立ち回りはさほど激しくもない。
 これが犬のような四足生物であったら厳しかったであろうが、この蝙蝠達の空中での飛行性能は高くない。
 通路の天井も三メートルちょいといった所で、上空からの奇襲もやりにくいし、そもそもこの蝙蝠達にそこまでの知能はなかった。

「これ位ならっ!」

 そう意気込む龍之介の横を紫電の矢が通り過ぎる。
 どうやら、由里香の援護をしようと近寄っていた芽衣が放った【雷の矢】のようだ。
 ひやりとはしたが、きちんと狙いを付けて出来るだけ近寄ってから放っていたようで、【雷の矢】は龍之介と対峙していた蝙蝠の一匹に当たり、地面へと落とす事に成功していた。
 龍之介は手にした剣でもう片方の蝙蝠に向かって大振りをすると、そのおおざっぱな動きに蝙蝠は距離を取って回避する動きを見せる。
 その隙を見計らい、地面に落ちた蝙蝠に剣を突き刺して止めを刺す。

「っしゃ、オラァァァアア!」

 やがてその蝙蝠も光の粒子となって消えていく。
 そこには先ほどと違い、小石の他に蝙蝠の牙のようなものも残されていた。
 気になりはした龍之介だったが、まずは戦闘を終わらせようと、残った蝙蝠に体を向けて剣を構える。
 近くにいるのは龍之介以外では蝙蝠二匹と女子中学生コンビ。
 しかし既に由里香が戦っている蝙蝠は満身創痍といった体で、すぐにでも決着がつくと思われた。
 実際三人が蝙蝠を倒しきるのにさほど時間はかからないのであった。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆


 一方時間を少し戻し、龍之介達とは逆サイド側では北条が向かい来る蝙蝠に向かって空手の状態の右腕を振りかざしていた。

「ちょ、ちょっと! 何をするつもりなんですか?」

 武器としては少し頼りないとはいえ、唯一の武器である短剣を握りもせず空手で構えはじめた北条に、メアリーは慌てて近寄ろうとする。
 だが、そんなメアリーに対して北条は焦った様子は見せず、

「あぁ、あんまり近寄ると危ないぞぉ」

 とやんわり注意され、メアリーは歩み寄っていた足を止める。
 どうも何か考えがあるようだが、不安を抑えることはできない。こうなったら、万が一北条がケガをしてもすぐに"回復魔法"で癒せるように近くで待機しよう。
 そう判断したメアリーは、邪魔にならなそうな距離まで移動する。

 そしてついに至近距離にまで迫った蝙蝠だったが、迫りくる蝙蝠に対して北条は「うわぁ!」とか「おあぁぁ!」だとか奇声を上げながら何とか身をかわしているだけで、何か手があるようには見えなかった。

「え、ちょっと北条さん。大丈夫なんですか!?」

 そのメアリーの問いに答える余裕もないのか、再び突進してきた蝙蝠を交わす北条。
 相変わらず腰元にある短剣を引き出す素振りも見せていない。
 そんな舐めプのような事をしている北条に引導を渡そうと、蝙蝠が北条の真正面から飛び込んでくる。

「良しっ……」

 その蝙蝠の様子を見た北条はそう小さく呟き、右腕を盾にするような構えで蝙蝠の突進を待ち受ける。
 しかし今度は北条は避ける動きを見せず、突進してきた蝙蝠は北条の右腕へと二本の牙を伸ばして噛みつく。

「ぐうっ!」

 突進を腕で受け止めるつもりだった北条は、右腕にかかる衝撃をそらしつつ、痛みによる小さな声を上げる。
 だが即座に噛みついていた蝙蝠へと左手を当てると、その手が薄っすらと赤く光る。その赤い光は二、三度発生したが特にこれといった変化は起きない。
 しかし、何度目か分からない光が瞬いた瞬間にようやく変化が訪れた。

 ガジガジと北条の右腕に噛みついていた蝙蝠は、途端に動きを止めて地面へとポタッと落ちたのだ。
 そして数十秒後には龍之介の倒した蝙蝠同様、こちらも小石のようなものを残して光の粒子となって消え失せる。
 その様子を驚きながら見ていたメアリーであったが、先ほど北条が腕を噛まれていたのを思い出し、慌てて北条の元に駆け寄ろうとした。
 だが北条はメアリーが倒した蝙蝠に気を取られている間に、少し離れた場所を飛んでいた蝙蝠に向かって、同じように右腕を盾のように構えながら向かっていた所だった。

「ちょ、ちょっと!」

 慌てた様子のメアリーを尻目に、先ほどよりは少しだけ流暢な動きで同じように腕を噛ませる形で蝙蝠を捕らえた北条は、先ほどと同じように左手で触れた場所を何度か赤く光らせた後に蝙蝠を倒していた。
 しかもそれだけに留まらず、最初に芽衣の放った『雷の矢』によって地面をもんどり打っていた蝙蝠にも同じように赤い光を喰らわせて止めを刺している。


「いやー、この"ライフドレイン"って奴はなかなか凶悪だねぇ」

 とまるで他人事のように話しながら三匹の蝙蝠を倒した北条がメアリーの元に戻ってくる。

「もぅ、『凶悪だねぇ』 じゃないですよ! 早くその右腕を見せてください! もう二回も噛まれてるんですから」

 少し強引に北条の右腕を手に取り、傷口を診察したメアリーだったが、すぐに異変に気付く。

「あ、あれ……? あの北条さん。さっき噛まれてたのって右腕の方ですよね?」

 そう言いながら左腕の方に視線を動かすメアリーに、視線を遮るような感じで右腕を横に振りながら、

「あぁ、この腕で合ってるぞぉ。さっきも言ったけど、俺の能力は"ライフドレイン"だぁ。カエルの時は試せなかったが、やはり奪ったHP分こちらが回復するようだな」

「え、それってどういう意味ですか?」

「あー、あんたはこっち方面の知識が余りない感じかぁ……。えーっとだな、つまり、俺のスキルは相手の生命力を奪って相手を倒すんだがぁ、その際に奪った生命力によって俺自身に"回復魔法"を掛けたような効果が出るって事だぁ」

 そういえば先ほど二匹の蝙蝠を倒した後に、地面に転がっていた蝙蝠にも赤い光を放っていた。
 二匹目を倒した時点では腕に噛みつかれた状態だったので、現在進行形の傷口までは治らなかったのだろう。
 三匹目の蝙蝠の生命力を奪った事で、現在のように傷口も見当たらない状態へと回復できたという訳だ。
 その能力の凄さに思わず、

「うわぁ……。これじゃあ私の"回復魔法"なんて凄い微妙じゃないですか」

「言っただろぉ? 極悪な能力だ! って。でも"回復魔法"もそんな悪くはないと思うぞぉ。俺の場合条件が必要な上に回復できるのは自分自身だけだしなぁ」

「んんー、確かにそう……かもしれません。物は考えようですね」

「ほら、あっちを見てみなぁ」

 うんうんと頷きながら北条が指さした方角では、二人の女子中学生と一緒に蝙蝠と戦っている龍之介の姿があった。

「あの剣術ボーイ・・・・・はどうやらケガを負ってるみたいだぁ。俺の方の傷はもう問題ないから、あっちの方に行ってみたらどうだぁ?」

「えーと……、はい。ではあっちの方に行ってきますね」

 とたたっと龍之介の方へと小走りに向かうメアリー。
 その様子を軽く見送ると、北条は周囲を見渡した後にぼそっと呟く。

「向こうはあの元気な娘が頑張ってるようだし、あとは……。和泉の方に加勢にでも行くか」

 そして北条は蝙蝠三匹を相手に一人勇戦している信也の元へと向かうのだった。
 

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