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ネットなどの小説に出てくる『病弱を装う義妹』って
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病弱を装う妹、または義妹がヒロインの婚約者を誑かし、婚約を破棄させるというお話、よく見かけますよね。
誑かされる程度の男だからと言ってしまえばそこまでなんですが、ハイソサエティ社会において妻の立ち位置を考えると、病弱な女なんて正妻に迎えられるわけがないんですよね。
何より妻に求められるのは、子を成すことと、家政を取り仕切ること。
病弱な女では、到底務まりません。
だのに、
「ずっと守ってあげるから。」
「僕が支えてあげる。」
いやいや、無理無理無理。
仮病女に騙される奴にまともな仕事できるはずもないし、政略結婚の意味も理解できないお子ちゃまが当主として立つことは、すなわち没落の未来しかないでしょう。
「体の弱い君は守ってあげる。けれど結婚は出来ないよ、妻の務め果たせないほどか弱くては貴族社会では通用しないからね。」
強いて言うなら、政略結婚ならこれが落としどころかな。
イギリスで63年7か月の治世を行ったヴィクトリア女王と、夫君であるザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンスト1世の次男アルバート公子は王侯貴族の中でも珍しい恋愛結婚でしたが、大抵の貴族は子を成すためだけの結婚で、激しく憎み合っている夫婦などいくらでもいたと言われています。
同じくイギリスの千日女王と呼ばれるアン・ブーリンの伯父で第3代ノーフォーク公爵 ・トマス・ハワードは、再婚した妻エリザベスとの夫婦仲は最悪で、互いに蛇蝎のごとく嫌い合い、公の場でのエスコートの際は、嫌々ながらであることを隠そうともしなかったそうです。
でも子供は男女2人ずつの計4人設けているんですよね。
子供産むのも、社交に出るにも、憎しみ合うのもどれも凄まじいパワーが必要です。
病弱な女なんて自然淘汰です。
ただ貴族というの私たち日本人は、よその国のこと、または、お話の世界の人達であり、実際に接することはまずありません。
ですからまだ接する機会がある政治家の奥様に立場置き換えてみましょう。
夫の後ろに控え、優しい微笑をたたえながら、彼女たちは誰よりも苛烈です。
普段の生活においては、支持者の取りまとめ、慈善団体などへの対応、礼状書きや、後援会主催の弁士としても立ち、選挙の時は最前線で走り回ります。
家庭においても妻として采配を振るい、子供を成して育て、決して対立陣営に対し弱みは作らない。
国会議員の奥様の大半が、政治家の家の出身というのもあるのでしょうが、幼い頃からきちんと教育されているので、バイリンガルどころか人によっては数か国語を自国語のように操ります。
そして何より彼女たちの特性として求められるのは、記憶力です。
父の友人だった某国会議員さんが亡くなった時、まだ新婚だった兄嫁と共に葬儀に駆け付けました。
会場を出る時に親族の方々が見送りのため横一列に並んでおられましたので奥様にご挨拶しました。
「旧制高時代から親しくさせていただいておりました〇〇の娘でございます。ご愁傷さまでございました、どうかお気落としございませんように。」
「ああ、○○様のお嬢様、ご無沙汰しておりますね。お父様が亡くなられてからもう2年でございますね。あの少し前にお生まれになられたお嬢様はお健やかにお育ちですか?」
えっと、父が亡くなった時、確かに奥様来てくださいました。
私は娘が生まれてまだ1か月と5日。
脳卒中での突然死でしたから、受け入れがたいのに受け入れざるを得ず、兎に角、気を張っていたものの身体はつらく、何より裏方の仕事と弔問客の対応でバタバタしていたので、直接お会いしていませんし、その後何一つ連絡取り合っていません。
だのに立て板に水のように仰いました。
後に某政治家の第一秘書をしている方と知り合い、その話をしたら
「当たり前じゃん、政治家の奥さんなら何千人のデータ頭に入ってて即座に取り出せなきゃ務まらないよ。」
と、当然でしょとばかりに言われました。
甘ったれで、病弱を装うことでしか男の気を引けない女なんて『一昨日きやがれ』の世界です。
まあ大抵はあらすじの所に、『なんちゃって異世界』『これは作者の創作の貴族社会です』『独自解釈』『中世風』『ゆるふわ設定の独自の世界』とあるものがほとんどですから、目くじら立てず、純粋にその世界に浸って、作者様がどう愚か者を踊らせ、破滅させていくかを楽しめばいいだけの事なんですよね。
でもちょっと言いたくなっちゃったの。だって、おばさんだから。
(志麻友紀様の『ウサ耳おっさん剣士は狼王子の求婚から逃げられない!』風に言ってみました^^b)
誑かされる程度の男だからと言ってしまえばそこまでなんですが、ハイソサエティ社会において妻の立ち位置を考えると、病弱な女なんて正妻に迎えられるわけがないんですよね。
何より妻に求められるのは、子を成すことと、家政を取り仕切ること。
病弱な女では、到底務まりません。
だのに、
「ずっと守ってあげるから。」
「僕が支えてあげる。」
いやいや、無理無理無理。
仮病女に騙される奴にまともな仕事できるはずもないし、政略結婚の意味も理解できないお子ちゃまが当主として立つことは、すなわち没落の未来しかないでしょう。
「体の弱い君は守ってあげる。けれど結婚は出来ないよ、妻の務め果たせないほどか弱くては貴族社会では通用しないからね。」
強いて言うなら、政略結婚ならこれが落としどころかな。
イギリスで63年7か月の治世を行ったヴィクトリア女王と、夫君であるザクセン=コーブルク=ゴータ公エルンスト1世の次男アルバート公子は王侯貴族の中でも珍しい恋愛結婚でしたが、大抵の貴族は子を成すためだけの結婚で、激しく憎み合っている夫婦などいくらでもいたと言われています。
同じくイギリスの千日女王と呼ばれるアン・ブーリンの伯父で第3代ノーフォーク公爵 ・トマス・ハワードは、再婚した妻エリザベスとの夫婦仲は最悪で、互いに蛇蝎のごとく嫌い合い、公の場でのエスコートの際は、嫌々ながらであることを隠そうともしなかったそうです。
でも子供は男女2人ずつの計4人設けているんですよね。
子供産むのも、社交に出るにも、憎しみ合うのもどれも凄まじいパワーが必要です。
病弱な女なんて自然淘汰です。
ただ貴族というの私たち日本人は、よその国のこと、または、お話の世界の人達であり、実際に接することはまずありません。
ですからまだ接する機会がある政治家の奥様に立場置き換えてみましょう。
夫の後ろに控え、優しい微笑をたたえながら、彼女たちは誰よりも苛烈です。
普段の生活においては、支持者の取りまとめ、慈善団体などへの対応、礼状書きや、後援会主催の弁士としても立ち、選挙の時は最前線で走り回ります。
家庭においても妻として采配を振るい、子供を成して育て、決して対立陣営に対し弱みは作らない。
国会議員の奥様の大半が、政治家の家の出身というのもあるのでしょうが、幼い頃からきちんと教育されているので、バイリンガルどころか人によっては数か国語を自国語のように操ります。
そして何より彼女たちの特性として求められるのは、記憶力です。
父の友人だった某国会議員さんが亡くなった時、まだ新婚だった兄嫁と共に葬儀に駆け付けました。
会場を出る時に親族の方々が見送りのため横一列に並んでおられましたので奥様にご挨拶しました。
「旧制高時代から親しくさせていただいておりました〇〇の娘でございます。ご愁傷さまでございました、どうかお気落としございませんように。」
「ああ、○○様のお嬢様、ご無沙汰しておりますね。お父様が亡くなられてからもう2年でございますね。あの少し前にお生まれになられたお嬢様はお健やかにお育ちですか?」
えっと、父が亡くなった時、確かに奥様来てくださいました。
私は娘が生まれてまだ1か月と5日。
脳卒中での突然死でしたから、受け入れがたいのに受け入れざるを得ず、兎に角、気を張っていたものの身体はつらく、何より裏方の仕事と弔問客の対応でバタバタしていたので、直接お会いしていませんし、その後何一つ連絡取り合っていません。
だのに立て板に水のように仰いました。
後に某政治家の第一秘書をしている方と知り合い、その話をしたら
「当たり前じゃん、政治家の奥さんなら何千人のデータ頭に入ってて即座に取り出せなきゃ務まらないよ。」
と、当然でしょとばかりに言われました。
甘ったれで、病弱を装うことでしか男の気を引けない女なんて『一昨日きやがれ』の世界です。
まあ大抵はあらすじの所に、『なんちゃって異世界』『これは作者の創作の貴族社会です』『独自解釈』『中世風』『ゆるふわ設定の独自の世界』とあるものがほとんどですから、目くじら立てず、純粋にその世界に浸って、作者様がどう愚か者を踊らせ、破滅させていくかを楽しめばいいだけの事なんですよね。
でもちょっと言いたくなっちゃったの。だって、おばさんだから。
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