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第百五十一話 僕の婚約者になって頂けませんか?
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「あの…、フォルネーゼ伯爵。お手を煩わせてしまい申しわけありません。でも、助かりました。ありがとうございます。」
ゾフィーは結局ルイの勧めもあって馬車で家まで送ってもらう事になった。
ゾフィーは向かい合って座るルイにお礼を言った。
「構いませんよ。あそこでレディを見捨てては紳士の名折れです。」
にこり、と微笑むルイにゾフィーは好感を抱いた。
が、隣にいる従者のロジェは引き攣った笑顔を浮かべている。
それに気付かず、伯爵は噂と違うなとゾフィーは感じた。
実は、ゾフィーはルイとはあまり会ったことがない。
初めてリエルの屋敷に遊びに行った時に伯爵を紹介されたのだがその後は数回しか顔を合わせたことがないのだ。
だから、こうして二人で会うのは初めての事だった。
「…不思議ですね。こうして、僕らが二人で話すのはこれが初めてです。
いつも、姉上が一緒にいましたからね。」
「え?ええ。」
「君には感謝しているのです。姉上と仲良くしてくれて。君と出会ってから姉上はよく笑うようになりました。君の話をいつも楽しそうに話しているんですよ。」
「い、いえ!そんな…。お礼を言うのは私の方です。本来なら、下級貴族の娘である私にあそこまでよくしてくれて…、私は彼女にとても救われたのです。」
「姉上は身分で人の価値を決めたりしませんよ。身分や地位よりも君の人柄に姉上は惹かれたんです。
ですから、余計な事は気にせずに君は堂々としていればいいのです。」
「伯爵…。」
ゾフィーは目を瞠り、まじまじとルイを見つめた。
「どうしましたか?もしかして、何か気の障ることを言ってしまいましたか?」
「あ、いえ!とんでもありません。あの、ただ今の伯爵を見ていると、リエルと似ているなと思いまして…。」
「姉上に?」
「はい。そういう優しい所、リエルに似ていると思います。やっぱり、姉弟なんですね。」
ゾフィーがそう言った瞬間、ブッ、と吹き出すような音が聞こえた。
見れば、ロジェが肩を震わせ、口を手で押さえている。
「…ロジェ?」
「し、しし失礼しました!」
ルイの笑顔にロジェが何故か真っ青な顔で謝った。
「嬉しい事を言ってくれますね。周りの人間は皆、僕が姉上に似ていないというのです。
その度に僕は残念な思いをしたことか…、」
「確かに見た目は違いますけど…、性格が似ていると思いますよ。
リエルも言っていたんです。弟は社交界では影で悪く言われているけど、本当は家族思いの優しい弟で見た目も中身も天使のような子だって。それを聞いた時、リエルと同じだなって思ったんです。」
「それはそれは。光栄ですね。」
「天使?いや。お嬢様はともかく、旦那様は…、」
「ロジェ?」
「何でもないっす!」
ロジェがぽつりと呟くが、ルイがにっこりと微笑むと、慌てて首を振って口を噤んだ。
ルイはにこやかにゾフィーに微笑んだ。その笑みを見て、そういえばリエルがルイの笑顔はまるで天使のように可愛い、と褒めていたのを思い出した。
確かに今、目の前にいる伯爵はまるで無垢な天使の様だ。
「ゾフィー嬢の仰る通り…、僕は社交界では評判が悪く…、若輩者だからと侮られることも多いのです。」
ルイはフウ、と物憂げに溜息を吐いた。
「僕は立場上、皇帝派の筆頭貴族です。ですから、時には貴族の恨みを買う事が多い。その為に僕を陥れようと悪意ある噂をばら撒く貴族が多くて…、」
「それは…、随分と酷い貴族がいるものですね。」
「ええ。しかし、それは五大貴族の宿命だと受け入れています。」
「伯爵はお強いのですね。まだお若いのにご立派だと思います。」
「そんな事ありませんよ。僕はまだまだ未熟者で…、」
やっぱり、伯爵はリエルに似ている。リエルも驕った所がなく、謙虚な性格をしている。
こういった所も似ているのだなとゾフィーは思った。
そんなゾフィーはルイの隣で胡散臭そうに主人を見つめているロジェに気付かなかった。
「そういえば、僕の噂はご存知ですか?ゾフィー嬢。」
「え、ええ。噂だけなら…、でも、伯爵は噂とは全然違いますね。」
「そうですか?」
「はい。リエルを溺愛しているという噂は合っていると思いますが…、それ以外は全然噂と違うなと思います。」
フォルネーゼ伯爵の噂は有名だ。姉のリエルを崇拝しているといってもいい位に姉至上主義の持ち主。
その為、姉を馬鹿にした人間を報復すると聞いたことがある。そのあまりにも過激で容赦のない手段を用いることから伯爵の事を天使の顔をした悪魔だと呼ばれている。でも、それはきっと噂が誇大したものだろう。伯爵はただリエルを馬鹿にされたのが許せなくて姉を守る為に行動したんだ。そうゾフィーは思った。
「そう言って頂けるのなら僕も嬉しい。ゾフィー嬢も僕や姉上と同じく…、噂に苦しめられていることでしょう。そう考えると、僕らは似ていますね。」
ルイはそう言って、大らかに微笑んだ。やっぱり、噂で聞くような氷の心臓を持つ少年伯爵と同一人物とは思えない。ゾフィーもすっかり心を許して微笑み返した。
「また、屋敷にも遊びに来てください。姉上も喜びます。
…もし、機会があれば姉上や僕と一緒にお茶でもしましょう。」
「はい。是非!ありがとうございます。伯爵。」
「ルイで結構ですよ。敬語も使う必要はありません。」
「え、でも、それは…、」
「姉上の親友であるゾフィー嬢は姉上にとってとても大切な存在。
そんなあなたに気を遣わせるわけにはいきません。それに、姉上に僕が敬称で呼ばせていると思われたくありませんし。君と仲良くしたら、姉上も喜びますから。」
もしかして、伯爵がこうして、ゾフィーに親身になっているのってリエルの為だったりして…。
今の発言を聞いてゾフィーはそう思った。リエルはルイは少し過保護な所があるっていっていたし…。
「伯爵は…、あ。えっと…、ルイ様は…、」
伯爵と言うがじーとルイに視線を向けられる。慌てて名前で呼んだが視線は変わらない。
本当に呼び捨てで呼べと言っているんだ。この分だと、呼び捨てするまで解放してくれそうにない。
観念したゾフィーは
「ルイは…、本当にリエルが好きなんですね。」
「はい!勿論です!姉上は、本当に素晴らしい女性なのです!美しくて、気高くて芯があって優しくて、聡明で…、それに姉上の笑顔はとっても可愛らしいのです!特に甘いお菓子を食べた時の姉上は額縁におさめたい位に愛らしく…、」
「旦那様。旦那様。気持ちは分かりますが話が逸れてます。本題はいいのですか?」
ゾフィーの言葉に嬉々として、リエルの魅力について語り始めるルイの姿にゾフィーはたじろいだ。
いつも無表情かつまらなさそうな表情を浮かべている温度のないフォルネーゼ伯爵。
だが、今のルイは瞳を輝かせ、満面の笑顔を浮かべている。
伯爵ってこんなに熱い人だったっけ?社交界での噂を聞いた時はもっと冷たいイメージがあったけど…、そんなルイをロジェがちょいちょい、と袖を引っ張って突っ込んだ。
「ああ。そうだった。失礼。姉上の事になるとつい…、ゾフィー嬢。実は君に声をかけたのは君を自宅へ送るだけではなく、大切な話があるのです。」
「話?私にですか?」
「ゾフィー嬢。もし、君さえ良ければ…、僕の婚約者になって頂けませんか?」
「は?」
ゾフィーはぽかんと口を開いたまま固まった。
「…ええと…、婚約者ですか?私が?」
「ええ。僕と君は利害が一致している。」
「利害ですか?」
「姉上から聞きましたよ。ゾフィー嬢。君はゼリウスにしつこく口説かれているとか?」
「えと…、まあ…。でも、今はそこまで…、」
「同情しますよ。あの男は本当にどうしようもない節操なしです。
女と見れば、スカートの下しか考えられない年中盛っている発情期の犬の様な男ですから。
そんな男に目をつけられて君も大変ですね。」
「…でも、最近は…、」
「ゾフィー嬢?」
「あ、いえ。何でもありません。」
「そうですか?まあ、とにかく…、ゾフィー嬢が身分を考慮して強く断れないのをいいことにいつ、あの男が調子に乗って君に何をするか分からない。その為に僕が君の盾になりましょう。」
「それはどういう…?」
「こう見えても、僕はゼリウスの幼馴染。彼の弱味の一つや二つ知っています。
それに、僕だって五大貴族の当主。さすがのゼリウスも僕相手に下手な真似はできない。
ですから、僕の婚約者になれば君をあの女好きの魔の手から守ることができます。」
ルイはそう言い、それに…、と続けて言った。
「これは君にとってのチャンスでもあるんですよ。」
「チャンス…、ですか?」
「ええ。知っていますよ。君は以前、妹に婚約者を奪われ、婚約破棄していますよね?」
「!?」
ゾフィーは息を呑んだ。
「君の妹…、ソニア嬢がどんな女かは大体、知っていますよ。随分、いい性格をしているようで。
姉であるゾフィー嬢から色々と奪ってきたとか?ドレスに宝石…、アクセサリーに果ては男まで…。
悔しくはないのですか?あんな馬鹿で浅はかな女にここまで虚仮にされて…、
見返したいと思ったことは?」
「…私は別にそんな事は望んでいません。」
「…そうですか。まあ、君が気にしないというのなら構いません。ですが、気が変わって妹に復讐をしたいと思ったらいつでも仰って下さい。僕が力になりましょう。」
ルイの言葉にゾフィーは戸惑った表情を浮かべて疑問を口に出した。
ゾフィーは結局ルイの勧めもあって馬車で家まで送ってもらう事になった。
ゾフィーは向かい合って座るルイにお礼を言った。
「構いませんよ。あそこでレディを見捨てては紳士の名折れです。」
にこり、と微笑むルイにゾフィーは好感を抱いた。
が、隣にいる従者のロジェは引き攣った笑顔を浮かべている。
それに気付かず、伯爵は噂と違うなとゾフィーは感じた。
実は、ゾフィーはルイとはあまり会ったことがない。
初めてリエルの屋敷に遊びに行った時に伯爵を紹介されたのだがその後は数回しか顔を合わせたことがないのだ。
だから、こうして二人で会うのは初めての事だった。
「…不思議ですね。こうして、僕らが二人で話すのはこれが初めてです。
いつも、姉上が一緒にいましたからね。」
「え?ええ。」
「君には感謝しているのです。姉上と仲良くしてくれて。君と出会ってから姉上はよく笑うようになりました。君の話をいつも楽しそうに話しているんですよ。」
「い、いえ!そんな…。お礼を言うのは私の方です。本来なら、下級貴族の娘である私にあそこまでよくしてくれて…、私は彼女にとても救われたのです。」
「姉上は身分で人の価値を決めたりしませんよ。身分や地位よりも君の人柄に姉上は惹かれたんです。
ですから、余計な事は気にせずに君は堂々としていればいいのです。」
「伯爵…。」
ゾフィーは目を瞠り、まじまじとルイを見つめた。
「どうしましたか?もしかして、何か気の障ることを言ってしまいましたか?」
「あ、いえ!とんでもありません。あの、ただ今の伯爵を見ていると、リエルと似ているなと思いまして…。」
「姉上に?」
「はい。そういう優しい所、リエルに似ていると思います。やっぱり、姉弟なんですね。」
ゾフィーがそう言った瞬間、ブッ、と吹き出すような音が聞こえた。
見れば、ロジェが肩を震わせ、口を手で押さえている。
「…ロジェ?」
「し、しし失礼しました!」
ルイの笑顔にロジェが何故か真っ青な顔で謝った。
「嬉しい事を言ってくれますね。周りの人間は皆、僕が姉上に似ていないというのです。
その度に僕は残念な思いをしたことか…、」
「確かに見た目は違いますけど…、性格が似ていると思いますよ。
リエルも言っていたんです。弟は社交界では影で悪く言われているけど、本当は家族思いの優しい弟で見た目も中身も天使のような子だって。それを聞いた時、リエルと同じだなって思ったんです。」
「それはそれは。光栄ですね。」
「天使?いや。お嬢様はともかく、旦那様は…、」
「ロジェ?」
「何でもないっす!」
ロジェがぽつりと呟くが、ルイがにっこりと微笑むと、慌てて首を振って口を噤んだ。
ルイはにこやかにゾフィーに微笑んだ。その笑みを見て、そういえばリエルがルイの笑顔はまるで天使のように可愛い、と褒めていたのを思い出した。
確かに今、目の前にいる伯爵はまるで無垢な天使の様だ。
「ゾフィー嬢の仰る通り…、僕は社交界では評判が悪く…、若輩者だからと侮られることも多いのです。」
ルイはフウ、と物憂げに溜息を吐いた。
「僕は立場上、皇帝派の筆頭貴族です。ですから、時には貴族の恨みを買う事が多い。その為に僕を陥れようと悪意ある噂をばら撒く貴族が多くて…、」
「それは…、随分と酷い貴族がいるものですね。」
「ええ。しかし、それは五大貴族の宿命だと受け入れています。」
「伯爵はお強いのですね。まだお若いのにご立派だと思います。」
「そんな事ありませんよ。僕はまだまだ未熟者で…、」
やっぱり、伯爵はリエルに似ている。リエルも驕った所がなく、謙虚な性格をしている。
こういった所も似ているのだなとゾフィーは思った。
そんなゾフィーはルイの隣で胡散臭そうに主人を見つめているロジェに気付かなかった。
「そういえば、僕の噂はご存知ですか?ゾフィー嬢。」
「え、ええ。噂だけなら…、でも、伯爵は噂とは全然違いますね。」
「そうですか?」
「はい。リエルを溺愛しているという噂は合っていると思いますが…、それ以外は全然噂と違うなと思います。」
フォルネーゼ伯爵の噂は有名だ。姉のリエルを崇拝しているといってもいい位に姉至上主義の持ち主。
その為、姉を馬鹿にした人間を報復すると聞いたことがある。そのあまりにも過激で容赦のない手段を用いることから伯爵の事を天使の顔をした悪魔だと呼ばれている。でも、それはきっと噂が誇大したものだろう。伯爵はただリエルを馬鹿にされたのが許せなくて姉を守る為に行動したんだ。そうゾフィーは思った。
「そう言って頂けるのなら僕も嬉しい。ゾフィー嬢も僕や姉上と同じく…、噂に苦しめられていることでしょう。そう考えると、僕らは似ていますね。」
ルイはそう言って、大らかに微笑んだ。やっぱり、噂で聞くような氷の心臓を持つ少年伯爵と同一人物とは思えない。ゾフィーもすっかり心を許して微笑み返した。
「また、屋敷にも遊びに来てください。姉上も喜びます。
…もし、機会があれば姉上や僕と一緒にお茶でもしましょう。」
「はい。是非!ありがとうございます。伯爵。」
「ルイで結構ですよ。敬語も使う必要はありません。」
「え、でも、それは…、」
「姉上の親友であるゾフィー嬢は姉上にとってとても大切な存在。
そんなあなたに気を遣わせるわけにはいきません。それに、姉上に僕が敬称で呼ばせていると思われたくありませんし。君と仲良くしたら、姉上も喜びますから。」
もしかして、伯爵がこうして、ゾフィーに親身になっているのってリエルの為だったりして…。
今の発言を聞いてゾフィーはそう思った。リエルはルイは少し過保護な所があるっていっていたし…。
「伯爵は…、あ。えっと…、ルイ様は…、」
伯爵と言うがじーとルイに視線を向けられる。慌てて名前で呼んだが視線は変わらない。
本当に呼び捨てで呼べと言っているんだ。この分だと、呼び捨てするまで解放してくれそうにない。
観念したゾフィーは
「ルイは…、本当にリエルが好きなんですね。」
「はい!勿論です!姉上は、本当に素晴らしい女性なのです!美しくて、気高くて芯があって優しくて、聡明で…、それに姉上の笑顔はとっても可愛らしいのです!特に甘いお菓子を食べた時の姉上は額縁におさめたい位に愛らしく…、」
「旦那様。旦那様。気持ちは分かりますが話が逸れてます。本題はいいのですか?」
ゾフィーの言葉に嬉々として、リエルの魅力について語り始めるルイの姿にゾフィーはたじろいだ。
いつも無表情かつまらなさそうな表情を浮かべている温度のないフォルネーゼ伯爵。
だが、今のルイは瞳を輝かせ、満面の笑顔を浮かべている。
伯爵ってこんなに熱い人だったっけ?社交界での噂を聞いた時はもっと冷たいイメージがあったけど…、そんなルイをロジェがちょいちょい、と袖を引っ張って突っ込んだ。
「ああ。そうだった。失礼。姉上の事になるとつい…、ゾフィー嬢。実は君に声をかけたのは君を自宅へ送るだけではなく、大切な話があるのです。」
「話?私にですか?」
「ゾフィー嬢。もし、君さえ良ければ…、僕の婚約者になって頂けませんか?」
「は?」
ゾフィーはぽかんと口を開いたまま固まった。
「…ええと…、婚約者ですか?私が?」
「ええ。僕と君は利害が一致している。」
「利害ですか?」
「姉上から聞きましたよ。ゾフィー嬢。君はゼリウスにしつこく口説かれているとか?」
「えと…、まあ…。でも、今はそこまで…、」
「同情しますよ。あの男は本当にどうしようもない節操なしです。
女と見れば、スカートの下しか考えられない年中盛っている発情期の犬の様な男ですから。
そんな男に目をつけられて君も大変ですね。」
「…でも、最近は…、」
「ゾフィー嬢?」
「あ、いえ。何でもありません。」
「そうですか?まあ、とにかく…、ゾフィー嬢が身分を考慮して強く断れないのをいいことにいつ、あの男が調子に乗って君に何をするか分からない。その為に僕が君の盾になりましょう。」
「それはどういう…?」
「こう見えても、僕はゼリウスの幼馴染。彼の弱味の一つや二つ知っています。
それに、僕だって五大貴族の当主。さすがのゼリウスも僕相手に下手な真似はできない。
ですから、僕の婚約者になれば君をあの女好きの魔の手から守ることができます。」
ルイはそう言い、それに…、と続けて言った。
「これは君にとってのチャンスでもあるんですよ。」
「チャンス…、ですか?」
「ええ。知っていますよ。君は以前、妹に婚約者を奪われ、婚約破棄していますよね?」
「!?」
ゾフィーは息を呑んだ。
「君の妹…、ソニア嬢がどんな女かは大体、知っていますよ。随分、いい性格をしているようで。
姉であるゾフィー嬢から色々と奪ってきたとか?ドレスに宝石…、アクセサリーに果ては男まで…。
悔しくはないのですか?あんな馬鹿で浅はかな女にここまで虚仮にされて…、
見返したいと思ったことは?」
「…私は別にそんな事は望んでいません。」
「…そうですか。まあ、君が気にしないというのなら構いません。ですが、気が変わって妹に復讐をしたいと思ったらいつでも仰って下さい。僕が力になりましょう。」
ルイの言葉にゾフィーは戸惑った表情を浮かべて疑問を口に出した。
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