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0-7 異世界ファンタジー

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「お前ブツリガクの事となると本当に話が長くなるな……。まあいい。そう意固地にならずに聞いてくれよ。私の世界の魔法と君の世界で学問として追求されたブツリガクは親和性があった。つまり、共通点があったんだ。魔法は自然現象の延長線上にあったに過ぎなかったと言う訳だ。魔法を発動させる下地というかその理論は、地球上の他のエネルギーを何かに変換させているだけと言う事であり、頭の中で思う想像と神と自然に対する契約により魔法が使用可能と言うカラクリの上に成り立っているわけで、その目的に対して正確に発動させるという事が目当てならばそれはまさにブツリガクの理論が必須と言う事であり、それが起こす上での真の理論構成について君は私達異世界人に流布したというわけだ。そうだな。わかりやすくその例を挙げれば熱とはミクロの視点で見てみれば物質の素の振動、つまり、力学的なふるまいの結果に過ぎなかったわけだ。その事を想像して魔法を発動させれば自分の魔法力に対してロスなくその出力を得られる。弱い熱から超高温の熱まで魔法でその『力』の表現ができうるというわけだ。よってそのブツリガクをこちらの世界でも探求して魔法を唱える為に必要な『頭の中でそれをイメージする』という過程においてブツリガクと言う概念を使うならばそれイコール魔法という分野は魔法の研究という事をしなくとも良い位の完成を見せるわけだ。まあ言ってみれば、魔法と言う『方法』はブツリガクの理論の自然哲学の真に正しいイメージによってより精巧にその自然現象を実現できるわけであり、そのイメージこそが魔法と言う自然現象に近しい現象を発生させるという成功につながり、ブツリガクの探求という概念が無かった私の昔の世界ではイメージと自然そのものの正の振る舞いとの間に差異があった為に『それなり』の現象しか魔法によって発生しなかったというわけだ。ま、私でさえ火の聖霊がファイヤーボールなどの魔法を出現させていたと思っていた位だからな。理解できたか?」

 あんたもそうとう話が長い部類だな。
 なんて話はどうでもいい。

 そんな事信じられない。あんたはただの痛い服を着たメンヘラのコスプレ野郎で妄想する事著しいただのクソガキだ。妄想の世界でしか生きられない中途半端な職業ワナビか2次元の世界に浸りきった中二病患者か何かなんだろ?
 魔法の世界のファンタジーのネタを考えついて俺に今披露しているというわけなんだろうが。
 正直に言えよ。

「手厳しい決めつけだ。では言ってやろうか。君は私達の世界の国と国との『戦争』を終わらせるに至らせた。どうやって? 第零爆裂魔法テルトウェイトで」

 テルトウェイト。核撃。
 俺が『異世界』に核の理論を持ち込んだってのか。馬鹿馬鹿しい。
 妄想もそこまで行ったらもはや狂人の類だ。

「他にも色々持ち込んだ。例えば光の粒を収縮させた光の矢、第零光撃魔法ライトニングアロー。肉体スキルでバフされた高位の戦士のオリハルコンで製造された硬すぎる鎧でさえあっけなく貫通させてしまう狂気の矢。そしてそれは音の速さよりも速く生物が持つ反射神経をはるかに凌駕してどんなに俊敏な者でさえたやすく命中させる事が出来る故、肉体至上主義の敵をせん滅するに至る。その上魔法力の消費は非常に少なく戦場での敵の絶滅という方法理論をあっけなく変容させてしまった。他にも言おうか。第零魔法クリエイトオブサン。地上に小型の太陽を作り出すと言う最悪と言える魔法だ。それは一度出現させたら原理上は消失不可能という魔法であり敵の本拠に発生させたなら永遠にその土地を焼き続けるという何とも鬼畜な魔法だ。そしてこの魔法もライトニングアローと同じように魔法力の使用はごくわずか。そしてまだまだ君のした罪過は色々あるぞ。続けて言論してやろうか」

 結局お前は何が言いたいんだ。

「私の世界は変わった。そう、変わってしまった。すべての事象が。最良の方向。そして最悪の方向へ」

 100歩譲ってそれが本当の事だとして俺にどうしろって言うんだ。

「簡単さ。とりあえず責任を取ってもらいたい」

 責任?

「そうさ。だから君は私の世界にもう一度転移し、そして今の私の世界の現状を見て、とりあえず評価してほしい」

 話はそれからだ。と、少女はそう言った。

 俺は思う。
 週5日働いて残業の毎日で今日も休日出勤。
 そしてアパートの二階のあの一人ぼっちの部屋。
 する事と言ったらスマホゲーに課金する事とたまに行く風俗。
 変わり映えしない単調な毎日。
 そしてこの世界に俺がいてもいなくても変わらないという現実。
 今勤めている会社を辞めたとしても俺の代わりが雇われるだけであり、家族もいないし友達はおろか金銭のやり取りという関係を除いて深い繋がりの知り合いは居らず、俺が明日死のうとも悲しむ人はいない。

「君はこっちの世界ではさみしい人生を送っていたようだな」

 情婦を抱いて満足しているなんてカスな人生だなと少女は言った。

 そうさ。でもそれがなんだ。
 働き、稼ぎ、その金で自分の好きな事をする。
 そうして生活に張り合いを出し、時に潰れた心を回復させてまた仕事に向かう。
 それが俺なりのこの世界の現実の生き方だ。
 俺がそう心の中で呟くと、その少女はふぅと溜息をついた。

「まあ君に選択権は与えないんだけどね。私はすこぶる我儘だし」

 少女はそう言うと、俺に向かって手をかざした。
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