上 下
3 / 4

chapter3

しおりを挟む
「よし、では行こう」

ルークが言う。

みんながルークに続いて、城内を進む。魔王軍の兵士や魔物が次々と襲ってくるが、ルークやレオンやカインがそれらを倒す。アリシアや僧侶長は、傷ついた者に回復魔法をかける。私は、ルークの後ろについて、何もできない。

やがて、魔王の間に到着する。それは、広くて暗くて重苦しい部屋だった。その中央には、魔王が待っていた。魔王は、黒いローブに身を包んだ人影だった。その顔は、影に隠れて見えなかった。

「ようこそ、英雄たちよ」

魔王の声が響く。それは、低くて冷たくて、聞いているだけで心が凍る。

「魔王よ、お前の悪行はここまでだ!今すぐこの国から去れ!」

レオンが叫ぶ。

「ふふふ……そう言っても無駄だよ。僕はこの国を滅ぼすまでやめない」

魔王が笑う。

「なぜだ!なぜこんなことをするんだ!」

アリシアが問う。

「それはね……君たちには関係ないことだよ」

魔王が答える。

「関係ないことだと!?何千人もの人々が死んでいるのに!?」

カインが怒る。

「それは仕方ないことだよ。僕の目的を達成するためには、必要な犠牲だ」

魔王が言う。

「お前の目的とは何だ!?」

僧侶長が尋ねる。

「それはね……君たちには教えられないことだよ」

魔王が言う。

「教えられないことだと!?何様だ!?」

ルークが冷笑する。

「僕は……僕は……」

魔王が言葉に詰まる。

「お前は何者なんだ!?」

ルークが迫る。

「僕は……僕は……」

魔王がつぶやく。

すると、突然、魔王のローブが燃え上がった。その下から、魔王の正体が現れた。

それは、私たちの知っている人物だった。

それは、王様だった。

「王様!?」

レオンが驚く。

「父上!?」

アリシアが呆然とする。

「陛下!?」

カインが信じられないという表情で言う。

「閣下!?」

僧侶長が悲鳴を上げる。

「……」

私は無言で見る。

「そうだよ。僕は、この国の王だ。そして、魔王だ」

王様はそう言って、みんなに冷たく笑う。

「なぜだ!なぜこんなことをするんだ!」

レオンが叫ぶ。

「それはね……君たちには教えられないことだよ」

王様はそう言って、ルークに目を向ける。

「ルーク・アスター。君は、僕の息子だ」

王様はそう言って、ルークに微笑みかける。

「……」

ルークは無言で見る。

「そうだよ。君は、僕と亡き妃との間に生まれた子だ。君は、本当の王子だ」

王様はそう言って、ルークに語りかける。

「嘘だ……」

ルークはそう言って、王様を否定する。

「嘘じゃないよ。君は、僕にそっくりだ。君は、僕と同じ銀髪紫眼だ。君は、僕と同じ特殊な魔力を持っている」

王様はそう言って、ルークを説得しようとする。

「特殊な魔力?」

レオンが尋ねる。

「そうだよ。僕とルークは、他人の魔力を奪って自分のものにすることができるんだ。それは、魔王の魔力も例外ではない」

王様はそう言って、ルークに目を向ける。

「ルーク。君は気づいているだろう。君がエリザベスから魔力をもらったとき、その魔力は本当に魔王のものだったか?」

王様はそう言って、私に目を向ける。

「……」

私は無言で見る。

「エリザベスからもらった魔力は、本当は僕のものだったんだ。僕はエリザベスに自分の魔力を送り込んでいたんだ。そして、エリザベスからルークに送られた魔力は、僕のものに戻ったんだ」

王様はそう言って、私に冷たく笑う。

「なぜ……なぜそんなことをするんですか……」

私は涙声で聞く。

「それはね……君たちには教えられないことだよ」

王様はそう言って、ルークに目を向ける。

「ルーク。君は気づいているだろう。君がエリザベスから魔力をもらったとき、その魔力がどうなったか?」

王様はそう言って、ルークに問いかける。

「……」

ルークは無言で見る。







…………………………………………………………………………

お気に入りを“ぽちっと”とお願いします(゚゚)(。。)ペコッ
“励みになります!”

…………………………………………………………………………

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

私の恋が消えた春

豆狸
恋愛
「愛しているのは、今も昔も君だけだ……」 ──え? 風が運んできた夫の声が耳朶を打ち、私は凍りつきました。 彼の前にいるのは私ではありません。 なろう様でも公開中です。

そんなにその方が気になるなら、どうぞずっと一緒にいて下さい。私は二度とあなたとは関わりませんので……。

しげむろ ゆうき
恋愛
 男爵令嬢と仲良くする婚約者に、何度注意しても聞いてくれない  そして、ある日、婚約者のある言葉を聞き、私はつい言ってしまうのだった 全五話 ※ホラー無し

仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが

ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。 定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──

断罪された公爵令嬢に手を差し伸べたのは、私の婚約者でした

カレイ
恋愛
 子爵令嬢に陥れられ第二王子から婚約破棄を告げられたアンジェリカ公爵令嬢。第二王子が断罪しようとするも、証拠を突きつけて見事彼女の冤罪を晴らす男が現れた。男は公爵令嬢に跪き…… 「この機会絶対に逃しません。ずっと前から貴方をお慕いしていましたんです。私と婚約して下さい!」     ええっ!あなた私の婚約者ですよね!?

王子好きすぎ拗らせ転生悪役令嬢は、王子の溺愛に気づかない

エヌ
恋愛
私の前世の記憶によると、どうやら私は悪役令嬢ポジションにいるらしい 最後はもしかしたら全財産を失ってどこかに飛ばされるかもしれない。 でも大好きな王子には、幸せになってほしいと思う。

【完結】 悪役令嬢は『壁』になりたい

tea
恋愛
愛読していた小説の推しが死んだ事にショックを受けていたら、おそらくなんやかんやあって、その小説で推しを殺した悪役令嬢に転生しました。 本来悪役令嬢が恋してヒロインに横恋慕していたヒーローである王太子には興味ないので、壁として推しを殺さぬよう陰から愛でたいと思っていたのですが……。 人を傷つける事に臆病で、『壁になりたい』と引いてしまう主人公と、彼女に助けられたことで強くなり主人公と共に生きたいと願う推しのお話☆ 本編ヒロイン視点は全8話でサクッと終わるハッピーエンド+番外編 第三章のイライアス編には、 『愛が重め故断罪された無罪の悪役令嬢は、助けてくれた元騎士の貧乏子爵様に勝手に楽しく尽くします』 のキャラクター、リュシアンも出てきます☆

側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります。

とうや
恋愛
「私はシャーロットを妻にしようと思う。君は側妃になってくれ」 成婚の儀を迎える半年前。王太子セオドアは、15年も婚約者だったエマにそう言った。微笑んだままのエマ・シーグローブ公爵令嬢と、驚きの余り硬直する近衛騎士ケイレブ・シェパード。幼馴染だった3人の関係は、シャーロットという少女によって崩れた。 「側妃、で御座いますか?承知いたしました、ただし条件があります」 ********************************************        ATTENTION ******************************************** *世界軸は『側近候補を外されて覚醒したら〜』あたりの、なんちゃってヨーロッパ風。魔法はあるけれど魔王もいないし神様も遠い存在。そんなご都合主義で設定うすうすの世界です。 *いつものような残酷な表現はありませんが、倫理観に難ありで軽い胸糞です。タグを良くご覧ください。 *R-15は保険です。

婚約破棄ですか???実家からちょうど帰ってこいと言われたので好都合です!!!これからは復讐をします!!!~どこにでもある普通の令嬢物語~

tartan321
恋愛
婚約破棄とはなかなか考えたものでございますね。しかしながら、私はもう帰って来いと言われてしまいました。ですから、帰ることにします。これで、あなた様の口うるさい両親や、その他の家族の皆様とも顔を合わせることがないのですね。ラッキーです!!! 壮大なストーリーで奏でる、感動的なファンタジーアドベンチャーです!!!!!最後の涙の理由とは??? 一度完結といたしました。続編は引き続き書きたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

処理中です...