14 / 14
球技大会
しおりを挟む
勉強会ではなっちゃんとナルシストくん(田嶋くん)の仲が悪いことがよくわかった。あの2人が一緒にいるとなんだか空気が重くなってしまうからもう無理に合わせるのはやめておこうと思った。ナルシストくんとは席が隣なのでたまに話しかけてくる程度。休み時間なんかはずっとなっちゃんが近くにいてくれている。クラスに馴染むまではいかないけれど、変に浮くこともなくて少し安心していた。
なんでこんなに生徒が集まってるの⁉︎
今から僕のバスケットボールの試合なのだけれど、体育館の二階は生徒たちで埋め尽くされていた。あの人だかりの真ん中のコートで試合をすると思うと、息が詰まった。
この時間は確か男子卓球の決勝があったはず。みんなそっちに行ってよ!心臓もたないから!
「みさちゃん頑張ってね。」
肩を軽く叩かれた。振り返ると体操服姿も可愛いなっちゃんが立っていた。その隣には体操服姿がより迫力を増した赤髪くんもいる。
「大丈夫?」
小さくうなづく。正直すでに怖いけど心配はかけたくなかった。
「あんまり緊張しないでよ。女子はクラス対抗とかじゃ無いし、気楽にやればいいよ。」
「ありがとう。」
「無理はするんじゃねぇぞ。」
なっちゃんも赤髪くんも放課後の練習に何度か付き合ってくれた。それに今も応援に来てくれている。少しくらいできるようになったところを見せたいな。
「それじゃ、上で見てるから。」
手を振って2人を見送ると、ナルシストくんが近づいてくるのが見えて顔を伏せてしまった。
「城山さん、頑張ってね。」
「う,うん。」
声をかけられてもなんて返していいかわからない。ナルシストくんの方はそれだけ言うことが目的だったみたいで、それだけ言って体育館の2階の方へ行ってしまった。
みんなの視線を集めているだけでも緊張して仕方がないのに、無様なところを見せてしまったらどうしようかと考えてしまう。もう胃が痛い。もう集合の時間は来いる、体育館のコートの脇には何人かの女子がもう集まっていた。体育の時は女子は全員で受けるからみんな知っている人だし、少し落ち着いた。深呼吸をして息を整える。
「今日は頑張ろうね。」
声をかけてくれる人達に迷惑をかけたくは無い。
そんな中、僕にボールが回ってきた。
「みさきちゃんこっち。」
同じチームの声がふっと遠くに離れていった。視線が僕に集まっているのを感じる。人に囲まれている。遠くで声がする。誰かの応援する声、歓声。いくつもの目がこちらを見ていると思った時にはもう、足も手も動かなかった。
待って、こっちを見ないで。
心の中で叫んだ。怖い。
水の中に入ってしまったように、周りの音がこもって聞こえる。
「ごめんなさい。」
誰にも聞こえないような声はかすれていた。早くここから逃げ出したい。誰かの声がした。心配するような声だった。
誰?
僕の名前を読んでいる声は安心できるような声だった。
なんでこんなに生徒が集まってるの⁉︎
今から僕のバスケットボールの試合なのだけれど、体育館の二階は生徒たちで埋め尽くされていた。あの人だかりの真ん中のコートで試合をすると思うと、息が詰まった。
この時間は確か男子卓球の決勝があったはず。みんなそっちに行ってよ!心臓もたないから!
「みさちゃん頑張ってね。」
肩を軽く叩かれた。振り返ると体操服姿も可愛いなっちゃんが立っていた。その隣には体操服姿がより迫力を増した赤髪くんもいる。
「大丈夫?」
小さくうなづく。正直すでに怖いけど心配はかけたくなかった。
「あんまり緊張しないでよ。女子はクラス対抗とかじゃ無いし、気楽にやればいいよ。」
「ありがとう。」
「無理はするんじゃねぇぞ。」
なっちゃんも赤髪くんも放課後の練習に何度か付き合ってくれた。それに今も応援に来てくれている。少しくらいできるようになったところを見せたいな。
「それじゃ、上で見てるから。」
手を振って2人を見送ると、ナルシストくんが近づいてくるのが見えて顔を伏せてしまった。
「城山さん、頑張ってね。」
「う,うん。」
声をかけられてもなんて返していいかわからない。ナルシストくんの方はそれだけ言うことが目的だったみたいで、それだけ言って体育館の2階の方へ行ってしまった。
みんなの視線を集めているだけでも緊張して仕方がないのに、無様なところを見せてしまったらどうしようかと考えてしまう。もう胃が痛い。もう集合の時間は来いる、体育館のコートの脇には何人かの女子がもう集まっていた。体育の時は女子は全員で受けるからみんな知っている人だし、少し落ち着いた。深呼吸をして息を整える。
「今日は頑張ろうね。」
声をかけてくれる人達に迷惑をかけたくは無い。
そんな中、僕にボールが回ってきた。
「みさきちゃんこっち。」
同じチームの声がふっと遠くに離れていった。視線が僕に集まっているのを感じる。人に囲まれている。遠くで声がする。誰かの応援する声、歓声。いくつもの目がこちらを見ていると思った時にはもう、足も手も動かなかった。
待って、こっちを見ないで。
心の中で叫んだ。怖い。
水の中に入ってしまったように、周りの音がこもって聞こえる。
「ごめんなさい。」
誰にも聞こえないような声はかすれていた。早くここから逃げ出したい。誰かの声がした。心配するような声だった。
誰?
僕の名前を読んでいる声は安心できるような声だった。
0
お気に入りに追加
8
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。


王道学園の冷徹生徒会長、裏の顔がバレて総受けルート突入しちゃいました!え?逃げ場無しですか?
名無しのナナ氏
BL
王道学園に入学して1ヶ月でトップに君臨した冷徹生徒会長、有栖川 誠(ありすがわ まこと)。常に冷静で無表情、そして無言の誠を生徒達からは尊敬の眼差しで見られていた。
そんな彼のもう1つの姿は… どの企業にも属さないにも関わらず、VTuber界で人気を博した個人VTuber〈〈 アイリス 〉〉!? 本性は寂しがり屋の泣き虫。色々あって周りから誤解されまくってしまった結果アイリスとして素を出していた。そんなある日、生徒会の仕事を1人で黙々とやっている内に疲れてしまい__________
※
・非王道気味
・固定カプ予定は無い
・悲しい過去🐜のたまにシリアス
・話の流れが遅い

俺の義兄弟が凄いんだが
kogyoku
BL
母親の再婚で俺に兄弟ができたんだがそれがどいつもこいつもハイスペックで、その上転校することになって俺の平凡な日常はいったいどこへ・・・
初投稿です。感想などお待ちしています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる