男子恐怖症の私が男子率の高い私立に入った件

白川 朔

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赤髪くん

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「ねぇ、なににするか決めた?」
なっちゃんが休憩中に出した話題は、四月末にある球技大会について。男子はバスケット、バレー、卓球、サッカーに分かれてクラス対抗で競い合う。だから女子は出なくてもいいと思っていたのに、そうもいかないらしい。
「バスケットボールにしようかな。」
去年は女子が5人しかいなかったから、審判枠になっていた。だけど今年は、1、2年合わせて12人いるから、卓球かバスケのどちらかに出ないといけないらしい。
どうせ、少ないんだから審判の方が良かった。
「へぇ、俺らと一緒だな。」
「太一が中学の時バスケ部だったから、僕も一緒のにすることにしたの。」
確かにこの長身の赤髪男にバスケをさせないのはもったいない。そうだ今日からこの人を赤髪くんと呼ぼう。あだ名にしてしまった方が少し恐怖心がましになっているようだ。それにしても、なっちゃんもバスケとは少し意外だな。
「なっちゃんは中学の時なに部だったの?」
「僕は陸上部だったよ。」
陸上部か。前から走るのは速かった気がする。
「お前は何部だったんだ。」
相変わらずの上から目線で赤髪くんは聞いてくる。
「天文部。」
「天文部って何するの?」
「大体は、学校の屋上から星を見たり、星座にまつわる神話を調べたり。夏休みには山に天体観測にも行ったよ。」
「楽しそうだね。」
セイラにも天文部はあるけれど、なっちゃんがいない以上まともに部活動に参加できる気がしないから、高校では天文部に入る気は無い。ていうか、部活に入れる気がしない。
「でも何でバスケなんだよ。」
「中学の時体育の授業で少しやった時に、バスケ何の方ができたから。」
特に深い理由はなかった。強いて言うなら、人数多いしコートも広いから、観客の視線も分散するかなってのも少しある。
「それはそうと、お前さっきから俺が話しかけてもずっと那月の方見て喋ってないか。」
気づかれてしまったか。男子が怖いどころか、声をかけてくれる赤髪くんまで、まだ怖い。目を見て話そうとすると、上手く話せないからなっちゃんのことを見ながらなんとか会話している。
「仕方ないでしょ。」
「そのまんまじゃ、なおらねぇぞ。とにかく慣れろ。なんか、会話の時に目を合わせてくれねぇと、不安になるんだよ。」
そんな直し方は嫌だし、弱気になる赤髪くんは正直面倒くさい。だって本当に怖いんだもん。
「ゆっくりなれていけばいいよ。」
いつも優しいなっちゃんがいてくれて本当に良かった。
「ありがとう。」
この優しさを赤髪くんには見習ってもらいたい。
「俺も会話に入れろよ。」
視界の端の赤髪くんはしゅんとしていた。
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