男子恐怖症の私が男子率の高い私立に入った件

白川 朔

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入学式です。

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 おはようございます。本日はセイラ高校の入学式です。この学年は女子が僕を含めて7人、一学年6クラスあるのでクラスに女子が1人か2人いる計算であるが、コースによってはいないところもあるらしい。
 で、僕のいる特進コースの女子は僕1人だそうです。もう泣きそう。クラスのうち半分以上は内部の中等部から上がってきた生徒だそうで、さらに肩身がせまい。ホントなんでセイラに入ったんだろ。あ、待遇がいいからか。
 もうやだ帰りたい。教室のざわめきから自分だけが、孤立している気がする。
「城山来てるかー」
教室のドアが開けられて男の人が僕の名前を呼んだ。僕が何かしただろうか。まだ学校に来ただけだぞ。
「はい」
さらに注目を集めている気がする。
「ちょっと来てくれ」
仕方なく立ち上がって入口へ向かう、男子のいる教室の机と机の間を通るのは怖い。体は大きいし、声も低い。体が強張って、ぶつからないように触れないように歩く。このまま帰ってもいいだろうか、軽い気持ちで入学してすみません。
「な、なんでしょうか?」
「時間になっても来ないから、呼びに来たんだ。」
時間って、もうすぐ入学式なんだが。僕は黙ってついていくことしかできない。
「ここで待機だ。」
支持された椅子に大人しく座る。連れてこられたのは舞台袖。なんか、パーティー会場みたいなところに通された。
 思い出した、入学式の新入生代表挨拶を頼まれていたのだ。家のゴタゴタで完全に忘れていたけれど、そんな手紙も届いていたような気がしなくもない。
 どうしよう、何も考えてなかった。今更、無理なんて言えないし、ていうかこういう時って何言えばいいんだっけ。周りの大人たちはせわしなく動いている。聞くに聞けない状況が続いて、ついに式が始まってしっまた。
「新入生代表挨拶。」
呼ばれてしまった。ほぼ男子しかいないし、みんながこっちをみている。深呼吸をして、壇上へ進む。極力女性の先生に意識を向けて、男子はカボチャだと思い込む。
「桜の若葉の緑が眩しく輝く、今日この日私たちは星野未来高等学校に入学式することが出来ました。」
どうにか言葉を繋げて挨拶を終わらせる。後半何を言っているかよくわからなかったけど、もうこの際どうでもいい。
「新入生代表、城山実咲」
終わった。やりきったし、もう帰りたい。


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