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歪む日常
凍てつく時間
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朝の会は終わったというのに教室を立ち去ったのは担任だけで
他の誰も動かない。
どうしたんだ...?
まるでダルマさんがころんだをしているかのように
何者かに監視されているように
誰も体をピクリとも動かさない
「ねぇ」
そして急に聞こえた一声に多くの人間の肩がビクッと動いた
その黒田さんの声掛けをされた自分もその内の一人だ
「変だね、もう休憩時間に入ってるっていうのに」
...なんだって?
それを俺に聞いてどうするんだ...?
どう答えたものか、
と悩んでいると止まった時が動き出したかのように
クラスメイト達が話し合ったり席を立ったりし始めた。
しかしどことなく皆ぎこちない
「良かった~...びっくりしたね、カイリ」
驚いたのは間違いなく俺の方だ。
一体全体俺のいない間に何があったのか...?
その疑問の解決の糸口もまるで見つからないまま、
午前の授業は過ぎ去っていった。
そうして至福のお弁当タイムも
「一緒に食べようよ」
という黒田さんの一声によって教室に食べることになったが、
一旦トイレに行って帰って来ると
廊下は喧噪に溢れているというのに、
また教室は凍り付いたように静寂に包まれていた。
「こっちこっち~」
そう俺を呼ぶ黒田さんは
もう俺と彼女の席を突き合わせて待っていた。
それからも教室内で声を発して話すことを許されたのは俺と彼女だけであるように、
教室は静かなままだ。
そんな中で食べる昼食など美味いはずもなく、
「はい、あ~ん」
という夢の様なシュチュエーションも俺は恥ずかしさで熱くなることもなく、
冷めた感じで彼女に餌付けされ続けた。
その場の空気も俺の冷えた態度も彼女だけは知らん顔で嬉しそうだった。
そうして今日一日、休憩時間だけは皆がいつも通りを装い、
それ以外の時間は全員がルールでも決めたように静かだった。
俺は一番居心地が良いようで悪いようになってしまった薄気味悪い教室を、
帰りの会が終わると一目散に出ようとした
しかし
「カ~イリ、一緒に帰ろう」
伸ばされた手を握らないわけにもいかなかった。
彼女の手はやはり冷たかった
彼女に引っ張られているように帰っているのに
道は俺がいつも歩く通学路であった。
もうそこで自分は震えが、
握られた手にだけは伝わらないようにすることで必死だった。
ようやく俺の家のすぐ近くの交差点で解放され、
「バイバ~イ」
と満面の笑みで手を振る彼女に、
引きつった笑顔で俺は手を小さく振ることしか出来なかった
多分、まるで上手く笑えていなかったと思う。
そうして意識も確かでないまま
うちに帰ってからはもう何をしたかも覚えていない。
他の誰も動かない。
どうしたんだ...?
まるでダルマさんがころんだをしているかのように
何者かに監視されているように
誰も体をピクリとも動かさない
「ねぇ」
そして急に聞こえた一声に多くの人間の肩がビクッと動いた
その黒田さんの声掛けをされた自分もその内の一人だ
「変だね、もう休憩時間に入ってるっていうのに」
...なんだって?
それを俺に聞いてどうするんだ...?
どう答えたものか、
と悩んでいると止まった時が動き出したかのように
クラスメイト達が話し合ったり席を立ったりし始めた。
しかしどことなく皆ぎこちない
「良かった~...びっくりしたね、カイリ」
驚いたのは間違いなく俺の方だ。
一体全体俺のいない間に何があったのか...?
その疑問の解決の糸口もまるで見つからないまま、
午前の授業は過ぎ去っていった。
そうして至福のお弁当タイムも
「一緒に食べようよ」
という黒田さんの一声によって教室に食べることになったが、
一旦トイレに行って帰って来ると
廊下は喧噪に溢れているというのに、
また教室は凍り付いたように静寂に包まれていた。
「こっちこっち~」
そう俺を呼ぶ黒田さんは
もう俺と彼女の席を突き合わせて待っていた。
それからも教室内で声を発して話すことを許されたのは俺と彼女だけであるように、
教室は静かなままだ。
そんな中で食べる昼食など美味いはずもなく、
「はい、あ~ん」
という夢の様なシュチュエーションも俺は恥ずかしさで熱くなることもなく、
冷めた感じで彼女に餌付けされ続けた。
その場の空気も俺の冷えた態度も彼女だけは知らん顔で嬉しそうだった。
そうして今日一日、休憩時間だけは皆がいつも通りを装い、
それ以外の時間は全員がルールでも決めたように静かだった。
俺は一番居心地が良いようで悪いようになってしまった薄気味悪い教室を、
帰りの会が終わると一目散に出ようとした
しかし
「カ~イリ、一緒に帰ろう」
伸ばされた手を握らないわけにもいかなかった。
彼女の手はやはり冷たかった
彼女に引っ張られているように帰っているのに
道は俺がいつも歩く通学路であった。
もうそこで自分は震えが、
握られた手にだけは伝わらないようにすることで必死だった。
ようやく俺の家のすぐ近くの交差点で解放され、
「バイバ~イ」
と満面の笑みで手を振る彼女に、
引きつった笑顔で俺は手を小さく振ることしか出来なかった
多分、まるで上手く笑えていなかったと思う。
そうして意識も確かでないまま
うちに帰ってからはもう何をしたかも覚えていない。
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