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歪む日常

躁MAXの脅威

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「お、おはよう」

そう返すとにっこりしてどいてくれた。
立ち上がろうとして手まで差し出してくれた
流石に女の子の手を借りるのは...
と、ためらっているとグイっと力強く手首を引き上げられた。

さっきからあり得ない筋力を目の当たりにして、
この状態の危険度も十分レベル3~4はくだらないように思えてきた。


「紹介します!」

「え?」

何故か俺はクラスメイト全員に彼女から紹介される形を作られた。


「アタシの彼氏です」

その瞬間心臓が止まるかと思った。


「「ええっ!?」」

何十にも重なったクラスメイトの驚愕の声が校内全体に響き渡りそうな大声になった。

もう何もかもが恥ずかしくて堪らない、何も出来ない
意識まで断絶しそうなほどの衝撃に卒倒しそうだ。

その大声の余韻から段々とヒソヒソと声が聞こえてくる
ああ...悪口の嵐だぁ...

どうせ綺麗で可憐な彼女の彼氏があんな男なのか?
とか言われてるに違いない...!
ああ、もう...!!

脱兎のごとく逃げ出した


「ちょ、ちょっと!」

先輩の制止の声も振り切って全力で走った、行くあてなどないというのに...


そして結局、


「またここに来ちまった...」

孤独な男の逃げ場所、屋上だ。

弱気になってしまうから、
あの弱く虚しい日々の俺と同じになってしまうから...

ここには来ないようにしようと決めたのに...

やはり俺はどんなにかっこつけてみても
取り巻く環境が良い方向に変わっても
臆病のままだ


天邪鬼などと自身を語るのは
周りと自分が違うことを、
何かしらの言葉で説明できる
個性として認められたいから自称しているに過ぎない...

ああ...そうだ...こうやって自分が可哀相な奴だと思うと涙が止まらない


悲しいのか...?
悔しいのか...?
寂しいのか...?

答えは分からない。
ただ自分が陰口にも耐えられない


臆病者っていうことだけは確かなんだ...!!



「そんなことないよ」

驚きに動きも激しく後ろを向いた。

そこには黒田さんがいた


「君は勇敢で正しいからこそ、平凡なアイツらとは反りが合わないだけだよ」

ゆっくりと近付いてくる
何故か俺は後ずさってしまう、迫力や圧というものなのだろうか


「その孤独こそが正しさの証拠だよ」

遂にはフェンスに押し当てられるまでに後退させられてしまった。


「でも、もう独りじゃない」

俺の顔に伸ばしてくるその両手が首に掛かってくるような気がして、
さっきまでの涙が彼女への恐怖で流したもののように頬を伝った。

それを落とすまいと彼女の手が俺の涙を拭い、舐めた。


そんな所作にセクシーさなど浮ついた気分は現れず、
その舌で、その口で
丸ごと自身が呑み込まれてしまうような


極めて生命に対する危機を感じた。
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