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浮かび上がる真実

和気藹々

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「それで俺は言ってやったんだよ!先輩、あなたには俺がついてますって!」


「「お~」」



今朝とは打って変わって俺が雄弁に語るのは

オカルト同好会の部屋だ。

今日は待ちに待った活動日となったのだ。



それで最近あった素晴らしい青春体験を自慢している



「そ、それで何て言ったの、先輩は?」



そう急かして聞く反応の良い奴が小島、一番最初に仲良くなった缶コレの男。



「カッコつけんなって言われたんだろ?」



そう茶化すのは上田、女子なのによく小島とつるんでる男勝りな女子。



「それこそアタシのストーカーだって言われたんだろぉ?」



割って入ってきてヘラヘラ笑ってるのが天野、ノッポ野郎だ。



ちなみに全員メガネだ。



「いーや、名を告げてまた俺との再会を約束してくれたさ」



もちろん自慢話には誇張が入るものだ。



「へえ、いいなあ」


「ほんとかよ」



と、二人組



天野は自分の机に戻ってパソコンを開き、イヤホンを付け始めた。

また聞き苦しい萌えアニソンを聞きながらの萌えとは真反対のオカルトサイトを見るのだろう。



「そりゃ、上田はそういう甘酸っぱい経験無いから斜に構えるんだろ?」



「は?俺もそういうのあるし」



上田は女なのに一人称が『俺』だから尚更、目も当てられないほど男っぽい。



「いーや、渡辺の言うとおりだね」


「なんだよ、おまえもそんな経験ねえだろ!」



また二人の口喧嘩が始まりそうだ。

一学年上では喧嘩が起こるらしいが、こっちこそ小競り合い程度ならしょっちゅうだ。

だいたい上田が小島に食って掛かる。


「おまえ『も』てところでお前の負けは決まって――」


「黙れ、黙れ!」



その口喧嘩もすぐ上田が劣勢になると逆上して手を出し始める。

ポカポカ叩いている程度だが


「痛い、痛いっ」



「ほら、よせよ上田。まるでリア充だぞ」



「あ!? お前も粉砕してやる!」



小島と仲が良いので茶化すとすぐこっちに怒りが飛び火する。

そして狭い教室で追っかけっこが始まると



「や~めんか~二人とも~...」



低くゆっくりとした声が水を打ったかのように騒音を鎮める。



部屋の奥から聞こえた声の主はここの会長・和田先輩だ。

今年で3年生でありながら、真面目に今日まで同好会は無欠席らしい

というかそもそもこの同好会を立ち上げた本人という噂もある。



「ちぇ、命拾いしたな」



したっぱの様な捨て台詞を吐いて上田は自分のパソコンの方に、



「後で話、聞かせてくれよな!」



小島も俺に一声掛けて自分の席に戻ろうとした。



だいたい部長の声が聞こえると皆、自分の位置に戻っていく。

怖くはないが...

なんというか齢18とは思えない風格がそうさせるのだ。



自分も中央にある憩いのテーブルから離れて自分の席に戻ろうとする。



さて、じゃあ頼れる男の見せ方でも検索するか...



そう思った時だった。




「いや...お前たち、戻らんでいい...」



「「「え?」」」



俺たち3人は声を揃えた



「渡辺の話を皆で話し合おうではないか...」



急に俺たちの雑談に入りたくなったのだろうか...?



イヤホンをして気付かない天野以外全員がとりあえずテーブルを囲った。



方針を決める会議もしない同好会に初めてグループ活動が始まろうとしていた。

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