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色付く日常
初恋と告白
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「え、えっと...」
二重で驚き、いや三重くらいの驚きで心臓はバクバクであった。
整理すると、まず通話中に話しかけられたこと。
これは誰も周りにいないと自身満々になって電話していたら
横に誰か立っていたこと。
二つ目はそのすぐ横にいる人が綺麗な女の人であったこと。
そして三つ目は...
「アタシでビックリした?」
心を読まれたかのような問いだ
「は、はい」
「ははっ、やめてよ敬語なんて」
そう言いながら隣に座ってこようとする
「ちょ、ちょっと」
思わず逃げてもう一つの公園側向きのベンチに座って
背中合わせになってしまった。
「なぁんで逃げるの~?傷つくなあ~」
そういう口調は明るかった。
全く...そういう急接近は避けて頂かないと体が持たないんですよ...
「まあ、いいや。あんまり親密になっても逆に寂しいからね」
...どういうことだろう?
表情は見えない。
それにさっきから彼女にしてはだいぶフランクだ。
「さっき話してたのはママとでしょ?」
「う、うん」
「まだ、ぎこちないじゃん」
笑って彼女は言うが、まともにくだけて話しことは未だないのだから仕方ないはずだ。
「じゃ、じゃあ聞くけど...なんで黒田さんは――」
「奈々でいいよ~」
そ、そんなぁ...いきなり名前なんて...
先ほど思い出した懐かしい子供の頃のようにモジモジと恥ずかしがってしまう。
「...妥協案で黒田、で」
「シャイだなあ~、まあOKだよ」
ボソッというと彼女は快諾してくれたようだ
「黒田は何でこんな所に...?」
「それはねぇ...家が近いから!」
そうやって家を示しているつもりの指差した先はあまりにアバウト過ぎて分からなかった
「後でそこまで送ってもらうから分かるよ」
...さっきから心が読まれているようだ。
それに、そんな簡単に女の子が男に家など教えちゃ...駄目だろ...
という古臭い考えが浮かんだ。
「まあ、本当は...君がここにいることを感じたからなんだけどね」
その声はだけはやけに沈んで聞こえた。
「それはどういう...?」
「うーん...いずれ分かるよ!」
また元気な声に戻った。
さすがに振り返って様子を伺いたかったが、
逆光に溶けるように後姿の輪郭もぼやけて見えた。
「それで話を戻すけど、ママと話してたんでしょ?」
「...そうだけど」
「だったらアタシのことは多分、ママのほうが詳しいんじゃないかな?」
自分のことではないように語るすぐそばにいる彼女は、
だったら何だと言うのか
「...君の口から聞くのはまずいの?」
「え?なになに?アタシの口から聞きたい?」
身を乗り出してこっちを覗いてくる彼女を直視出来なかった。
強気に出て聞いたらこれなのだから受け身にならざる負えない......
「へへっ、でも残念」
そう言うと彼女がベンチから立ち上がった音が聞こえた。
「思ったより時間が残されてないみたい、もう帰らなきゃ」
別れの言葉に自分も急いで立って、距離を開けて対面した。
彼女はもう沈み行きそうな夕焼けを背に輝いていた
そのため目を全開にしては見えないが、しっかりと黒田奈々の顔を初めて見た気がした。
後ろに手を組んで息を整えた。
何か告白をするかのように急に改まって落ち着かない感じだ。
その仕草に愛おしさを覚えた
「これからアタシがかなり渡辺...浬くんに、迷惑掛けると思うけど...」
その言葉を聴きつつ、意識は彼女全てに向いていた。
何故か今になって
救ってよかったと思った
こんなにも光り輝く姿が似合う女の子はそういないと今確信したのかもしれない。
「付き合ってくれると...」
そう言って恥ずかしそうに笑う君を
「嬉しいです!」
完全に好きになってしまった。
止まったような時の中で
彼女はそう残すと風のように走り去っていった。
もう追うことはしなかったが、
その背中が見えなくなるのは初めて出会った別れ際のように一瞬であった。
二重で驚き、いや三重くらいの驚きで心臓はバクバクであった。
整理すると、まず通話中に話しかけられたこと。
これは誰も周りにいないと自身満々になって電話していたら
横に誰か立っていたこと。
二つ目はそのすぐ横にいる人が綺麗な女の人であったこと。
そして三つ目は...
「アタシでビックリした?」
心を読まれたかのような問いだ
「は、はい」
「ははっ、やめてよ敬語なんて」
そう言いながら隣に座ってこようとする
「ちょ、ちょっと」
思わず逃げてもう一つの公園側向きのベンチに座って
背中合わせになってしまった。
「なぁんで逃げるの~?傷つくなあ~」
そういう口調は明るかった。
全く...そういう急接近は避けて頂かないと体が持たないんですよ...
「まあ、いいや。あんまり親密になっても逆に寂しいからね」
...どういうことだろう?
表情は見えない。
それにさっきから彼女にしてはだいぶフランクだ。
「さっき話してたのはママとでしょ?」
「う、うん」
「まだ、ぎこちないじゃん」
笑って彼女は言うが、まともにくだけて話しことは未だないのだから仕方ないはずだ。
「じゃ、じゃあ聞くけど...なんで黒田さんは――」
「奈々でいいよ~」
そ、そんなぁ...いきなり名前なんて...
先ほど思い出した懐かしい子供の頃のようにモジモジと恥ずかしがってしまう。
「...妥協案で黒田、で」
「シャイだなあ~、まあOKだよ」
ボソッというと彼女は快諾してくれたようだ
「黒田は何でこんな所に...?」
「それはねぇ...家が近いから!」
そうやって家を示しているつもりの指差した先はあまりにアバウト過ぎて分からなかった
「後でそこまで送ってもらうから分かるよ」
...さっきから心が読まれているようだ。
それに、そんな簡単に女の子が男に家など教えちゃ...駄目だろ...
という古臭い考えが浮かんだ。
「まあ、本当は...君がここにいることを感じたからなんだけどね」
その声はだけはやけに沈んで聞こえた。
「それはどういう...?」
「うーん...いずれ分かるよ!」
また元気な声に戻った。
さすがに振り返って様子を伺いたかったが、
逆光に溶けるように後姿の輪郭もぼやけて見えた。
「それで話を戻すけど、ママと話してたんでしょ?」
「...そうだけど」
「だったらアタシのことは多分、ママのほうが詳しいんじゃないかな?」
自分のことではないように語るすぐそばにいる彼女は、
だったら何だと言うのか
「...君の口から聞くのはまずいの?」
「え?なになに?アタシの口から聞きたい?」
身を乗り出してこっちを覗いてくる彼女を直視出来なかった。
強気に出て聞いたらこれなのだから受け身にならざる負えない......
「へへっ、でも残念」
そう言うと彼女がベンチから立ち上がった音が聞こえた。
「思ったより時間が残されてないみたい、もう帰らなきゃ」
別れの言葉に自分も急いで立って、距離を開けて対面した。
彼女はもう沈み行きそうな夕焼けを背に輝いていた
そのため目を全開にしては見えないが、しっかりと黒田奈々の顔を初めて見た気がした。
後ろに手を組んで息を整えた。
何か告白をするかのように急に改まって落ち着かない感じだ。
その仕草に愛おしさを覚えた
「これからアタシがかなり渡辺...浬くんに、迷惑掛けると思うけど...」
その言葉を聴きつつ、意識は彼女全てに向いていた。
何故か今になって
救ってよかったと思った
こんなにも光り輝く姿が似合う女の子はそういないと今確信したのかもしれない。
「付き合ってくれると...」
そう言って恥ずかしそうに笑う君を
「嬉しいです!」
完全に好きになってしまった。
止まったような時の中で
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もう追うことはしなかったが、
その背中が見えなくなるのは初めて出会った別れ際のように一瞬であった。
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