170 / 182
第170話 研究者
しおりを挟む
魔王軍四天王アデルの陰謀により、
精霊界が襲撃されたが、精霊の協力のおかげで何とか撃破出来た。
しかし消滅する間際に放ったアデルの言葉が、俺の頭から離れない……
「サリーは、今も捕まっていて……」
研究の餌食になった可能性が高く、ミゲルに戻った後、サリーを救えるのか不安を感じていた……
「どうやら困っているようだな……
助けて貰った礼に手を貸してやろう……」
言葉を発したのは、精霊界の長老オリジンだ。
全員がアデルの言葉に動揺し、落ち込んでいる。
急な長老の一言に、誰しもが注目した……
「聞いたことがある……
人間と魔物を融合させると……」
過去の世界で遭遇した魔物も、
アデルが関係していると言っていた。
サリーが捕えられて、何かしらの人体実験を施されている可能性が高い。
それでもオリジンは、手を貸してくれると言う……
俺達全員は、藁にもすがる思いで、
長老の話に耳を傾けた……
「私の持つスキルの中に、
精霊化というスキルがある……
精霊になれば、自由に姿を変化できる」
「精霊化!」
オリジンの言う精霊化により、
存在を魔族や人間と言った枠から解き放つ。
そしてそれこそがサリーを救う、唯一の方法だと、オリジンは言った。
「そうすれば、魔族ではなくなるが、
サリーを救えるということか……」
母上の表情に明るさが戻るが、
オリジンは精霊化に必要な条件を伝えた。
「魔物との融合により、
人格が支配されていなければな……」
過去の変異種と呼ばれた魔物のように、
理性を失い、手当たり次第に人を襲うようだと救えない。
オリジンは、精霊化するのに、
自我が残っているのが条件だと伝えた。
「サリーは、ミゲルにいるんだよね?」
「あぁ、ここからまた戻るのは、
あまりに時間がかかりすぎる……」
精霊界に来た道を戻るのに、相応の時間が必要だと途方に暮れていると、長老が声をかけてきた。
「それなら精霊の森につながる近道がある」
「へ?」
過去の世界でもイフリートが精霊界に戻るのに使った道がある。
その手段を使い、ミゲルまですぐに向かえると言った。
「よし、決まりだな!
ミゲルまで行き、サリーを救うぞ」
そして賢者の声かけにより、
翌日にはミゲルに戻ると決まる。
俺達は明日の戦いに備えるために、
ゆっくりと休んだ……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝を迎えるとすぐに、精霊達と共に近道を通り、精霊の森へ移動を開始する。
普通の森を歩いているように思えたが、
気付けば精霊の森に着いていた。
魔界から人間界への転移も終えていたのだ。
そして今は精霊の森で、作戦の打ち合わせをしている。
「もう精霊達を、テレサの扉に隠さなくても良いですね?」
「あぁ、もう大丈夫だと思うぞ!
あの時は……」
母上が攻めてきた時は、
精霊達を光の剣から守るために、
テレサのスキルで精霊達を扉の中に逃した。
精霊達が殺されてしまうか、人質に取られる可能性があったからだ。
「ミゲルでは、大丈夫だろう!」
既にアデルを倒しているが、
今ならまだ警戒されないと考えて、
精霊の力に頼ることにした。
「よし、精霊達にも調査してもらい、
サリーを探そう!」
そして俺達は久しぶりのミゲルに戻り、
実験施設で捕まるサリーを探す。
しばらくの間待っていると、
水の精霊ラウラが一軒の民家から、
異常な魔力の乱れを感知した。
「警戒するぞ!
大掛かりな実験だ!
まだ他の実力者がいるとも限らない!」
その民家に入るとすぐに地下に繋がる階段があり、ゆっくりと降りていく……
すると、想像以上に広がる施設が見えてきた……
辺り一面に白い壁が広がっている。
これがまさにアデルの言う研究施設だった。
「アニキ!
森で感じた魔物の匂いがします!」
変異種と呼ばれる魔物達もこの施設にいる。
そして俺も、この施設に足を踏み入れた瞬間、スキルに反応を感じた。
「賢者、探知に反応が……」
「あぁ!サリーは、この施設にいる!」
二人の探知に反応があり、
その方向へ向かって歩いていく。
「この扉の奥に、サリーが……」
俺達は、さらに警戒を強めて部屋の扉を開ける。
そして研究室に足を踏み入れた……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
扉を開けた部屋は、奥行きが広く、
謁見の間と同じくらいの広さを感じる。
その部屋一杯にカプセルのような機械が敷き詰められていた。
「こ、これは……
魔人計画か!」
「賢者、それって……」
賢者の発した言葉の意味が分からず、
その真意を問おうとした時、
一つのカプセルが開き、中から人が出てきた。
「人?」
「いや、魔族と人間の融合体だよ」
「な、何だって!」
賢者は、その眉間に皺を寄せて、
苛立ちを隠せないでいる……
カプセルを見て、過去に知っていた知識から研究内容を推測した。
「魔物と人間の融合体は事前段階……
魔族と人間を融合させる計画だった筈……」
「何で……魔族と人間を?」
「人間だけが精霊や女神と繋がれるからだよ」
部屋の奥から、その言葉を発した人物が現れた……
その女性は、魔族のツノを持ち、
白衣を身に纏った研究者だ。
「お前は、ミューズ……
まさか、お前が絡んでいたのか……」
「ロゼ……
久しぶりだな」
突如として現れた研究者ミューズが、口を開く。
アデルが行っていた研究に、ミューズが関与していた可能性が高い。
何故人間と魔族を融合させるのか、更なる理由が判明した時、俺達は更に怒りを抑えきれなくなるのであった……
精霊界が襲撃されたが、精霊の協力のおかげで何とか撃破出来た。
しかし消滅する間際に放ったアデルの言葉が、俺の頭から離れない……
「サリーは、今も捕まっていて……」
研究の餌食になった可能性が高く、ミゲルに戻った後、サリーを救えるのか不安を感じていた……
「どうやら困っているようだな……
助けて貰った礼に手を貸してやろう……」
言葉を発したのは、精霊界の長老オリジンだ。
全員がアデルの言葉に動揺し、落ち込んでいる。
急な長老の一言に、誰しもが注目した……
「聞いたことがある……
人間と魔物を融合させると……」
過去の世界で遭遇した魔物も、
アデルが関係していると言っていた。
サリーが捕えられて、何かしらの人体実験を施されている可能性が高い。
それでもオリジンは、手を貸してくれると言う……
俺達全員は、藁にもすがる思いで、
長老の話に耳を傾けた……
「私の持つスキルの中に、
精霊化というスキルがある……
精霊になれば、自由に姿を変化できる」
「精霊化!」
オリジンの言う精霊化により、
存在を魔族や人間と言った枠から解き放つ。
そしてそれこそがサリーを救う、唯一の方法だと、オリジンは言った。
「そうすれば、魔族ではなくなるが、
サリーを救えるということか……」
母上の表情に明るさが戻るが、
オリジンは精霊化に必要な条件を伝えた。
「魔物との融合により、
人格が支配されていなければな……」
過去の変異種と呼ばれた魔物のように、
理性を失い、手当たり次第に人を襲うようだと救えない。
オリジンは、精霊化するのに、
自我が残っているのが条件だと伝えた。
「サリーは、ミゲルにいるんだよね?」
「あぁ、ここからまた戻るのは、
あまりに時間がかかりすぎる……」
精霊界に来た道を戻るのに、相応の時間が必要だと途方に暮れていると、長老が声をかけてきた。
「それなら精霊の森につながる近道がある」
「へ?」
過去の世界でもイフリートが精霊界に戻るのに使った道がある。
その手段を使い、ミゲルまですぐに向かえると言った。
「よし、決まりだな!
ミゲルまで行き、サリーを救うぞ」
そして賢者の声かけにより、
翌日にはミゲルに戻ると決まる。
俺達は明日の戦いに備えるために、
ゆっくりと休んだ……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
朝を迎えるとすぐに、精霊達と共に近道を通り、精霊の森へ移動を開始する。
普通の森を歩いているように思えたが、
気付けば精霊の森に着いていた。
魔界から人間界への転移も終えていたのだ。
そして今は精霊の森で、作戦の打ち合わせをしている。
「もう精霊達を、テレサの扉に隠さなくても良いですね?」
「あぁ、もう大丈夫だと思うぞ!
あの時は……」
母上が攻めてきた時は、
精霊達を光の剣から守るために、
テレサのスキルで精霊達を扉の中に逃した。
精霊達が殺されてしまうか、人質に取られる可能性があったからだ。
「ミゲルでは、大丈夫だろう!」
既にアデルを倒しているが、
今ならまだ警戒されないと考えて、
精霊の力に頼ることにした。
「よし、精霊達にも調査してもらい、
サリーを探そう!」
そして俺達は久しぶりのミゲルに戻り、
実験施設で捕まるサリーを探す。
しばらくの間待っていると、
水の精霊ラウラが一軒の民家から、
異常な魔力の乱れを感知した。
「警戒するぞ!
大掛かりな実験だ!
まだ他の実力者がいるとも限らない!」
その民家に入るとすぐに地下に繋がる階段があり、ゆっくりと降りていく……
すると、想像以上に広がる施設が見えてきた……
辺り一面に白い壁が広がっている。
これがまさにアデルの言う研究施設だった。
「アニキ!
森で感じた魔物の匂いがします!」
変異種と呼ばれる魔物達もこの施設にいる。
そして俺も、この施設に足を踏み入れた瞬間、スキルに反応を感じた。
「賢者、探知に反応が……」
「あぁ!サリーは、この施設にいる!」
二人の探知に反応があり、
その方向へ向かって歩いていく。
「この扉の奥に、サリーが……」
俺達は、さらに警戒を強めて部屋の扉を開ける。
そして研究室に足を踏み入れた……
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
扉を開けた部屋は、奥行きが広く、
謁見の間と同じくらいの広さを感じる。
その部屋一杯にカプセルのような機械が敷き詰められていた。
「こ、これは……
魔人計画か!」
「賢者、それって……」
賢者の発した言葉の意味が分からず、
その真意を問おうとした時、
一つのカプセルが開き、中から人が出てきた。
「人?」
「いや、魔族と人間の融合体だよ」
「な、何だって!」
賢者は、その眉間に皺を寄せて、
苛立ちを隠せないでいる……
カプセルを見て、過去に知っていた知識から研究内容を推測した。
「魔物と人間の融合体は事前段階……
魔族と人間を融合させる計画だった筈……」
「何で……魔族と人間を?」
「人間だけが精霊や女神と繋がれるからだよ」
部屋の奥から、その言葉を発した人物が現れた……
その女性は、魔族のツノを持ち、
白衣を身に纏った研究者だ。
「お前は、ミューズ……
まさか、お前が絡んでいたのか……」
「ロゼ……
久しぶりだな」
突如として現れた研究者ミューズが、口を開く。
アデルが行っていた研究に、ミューズが関与していた可能性が高い。
何故人間と魔族を融合させるのか、更なる理由が判明した時、俺達は更に怒りを抑えきれなくなるのであった……
0
お気に入りに追加
1,264
あなたにおすすめの小説
社畜から卒業したんだから異世界を自由に謳歌します
湯崎noa
ファンタジー
ブラック企業に入社して10年が経つ〈宮島〉は、当たり前の様な連続徹夜に心身ともに疲労していた。
そんな時に中高の同級生と再開し、その同級生への相談を行ったところ会社を辞める決意をした。
しかし!! その日の帰り道に全身の力が抜け、線路に倒れ込んでしまった。
そのまま呆気なく宮島の命は尽きてしまう。
この死亡は神様の手違いによるものだった!?
神様からの全力の謝罪を受けて、特殊スキル〈コピー〉を授かり第二の人生を送る事になる。
せっかくブラック企業を卒業して、異世界転生するのだから全力で謳歌してやろうじゃないか!!
※カクヨム、小説家になろう、ノベルバでも連載中
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
異世界転生した俺は平和に暮らしたいと願ったのだが
倉田 フラト
ファンタジー
「異世界に転生か再び地球に転生、
どちらが良い?……ですか。」
「異世界転生で。」
即答。
転生の際に何か能力を上げると提案された彼。強大な力を手に入れ英雄になるのも可能、勇者や英雄、ハーレムなんだって可能だったが、彼は「平和に暮らしたい」と言った。何の力も欲しない彼に神様は『コール』と言った念話の様な能力を授け、彼の願いの通り平和に生活が出来る様に転生をしたのだが……そんな彼の願いとは裏腹に家庭の事情で知らぬ間に最強になり……そんなファンタジー大好きな少年が異世界で平和に暮らして――行けたらいいな。ブラコンの姉をもったり、神様に気に入られたりして今日も一日頑張って生きていく物語です。基本的に主人公は強いです、それよりも姉の方が強いです。難しい話は書けないので書きません。軽い気持ちで呼んでくれたら幸いです。
なろうにも数話遅れてますが投稿しております。
誤字脱字など多いと思うので指摘してくれれば即直します。
自分でも見直しますが、ご協力お願いします。
感想の返信はあまりできませんが、しっかりと目を通してます。
異世界転生したら何でも出来る天才だった。
桂木 鏡夜
ファンタジー
高校入学早々に大型トラックに跳ねられ死ぬが気がつけば自分は3歳の可愛いらしい幼児に転生していた。
だが等本人は前世で特に興味がある事もなく、それは異世界に来ても同じだった。
そんな主人公アルスが何故俺が異世界?と自分の存在意義を見いだせずにいるが、10歳になり必ず受けなければならない学校の入学テストで思わぬ自分の才能に気づくのであった。
===========================
始めから強い設定ですが、徐々に強くなっていく感じになっております。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
僕の従魔は恐ろしく強いようです。
緋沙下
ファンタジー
僕は生まれつき体が弱かった。物心ついた頃から僕の世界は病院の中の一室だった。
僕は治ることなく亡くなってしまった。
心配だったのは、いつも明るく無理をして笑うお母さん達の事だった。
そんな僕に、弟と妹を授ける代わりに別の世界に行って見ないか?という提案がもたらされた。
そこで勇者になるわけでもなく、強いステータスも持たない僕が出会った従魔の女の子
処女作なのでご迷惑かける場面が多数存在するかもしれません。気になる点はご報告いただければ幸いです。
---------------------------------------------------------------------------------------
プロローグと小説の内容を一部変更いたしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる