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第156話 真相
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緊急事態の際は、レガードの屋敷から城に移動する手筈となっている。
マリアとユーリの情報を聞き、
クレアは即座に避難を決断した。
「防衛作戦でゲイルとアリスは既に城だ!
私たちも合流すれば、更に安全だろう」
リリスを含めて非戦闘員も一緒にいるため、
敵に遭遇する前に安全圏まで行こうと決めた。
そして、王都の中央街に来たところで、
急にリルムが立ち止まる……
何かあったのかとクレアが問いかけるが、
その瞬間、クレア、ユーリ、サリーの足元に魔法陣が生まれた。
「皆さん……ごめんなさい」
「リルム?お前何を?」
リルムは瞳を潤ませながら謝罪を口にした。
その言葉を発したと同時に、
リルムの影から1人の人物が現れる……
そしてその人物が姿を見せたことに、
全員が驚きを隠せない。
「な、何だと!
お前は……」
「そうよ、貴方達が警戒している、
ユミルとは、私のことよ」
目前の女性は影から姿を露わにした。
黒いローブに身を包んだ女性が現れ、
不敵な笑みを浮かべながら声を発する。
「調査をして分かったのよ……
注意すべき人物は限られている」
足元の魔法陣は光り輝き、
クレア達を包み込んだ。
そして瞬く間に三人の姿が消えてしまった。
「き、貴様!
一体、何をした?」
シャルロットは、目の前でクレア達に何があったのか心配で堪らない。
そして魔法陣の効果を問い詰めた。
「ふふふ、安心しなさい……
あの者達の強さは異常だった……
少し離れた場所まで転移させたわ」
「転移?」
ユミルは、最初からリルムの影に隠れて、
レガードの調査をしていた。
その中で危険人物を確認して、
自分から遠ざけようと動いたのだ。
「上手くいったわ……
これで強き者を排除出来た」
この場にいるのは、シャルロット、マリア、サラ、リリス、リーネだけだ。
「ふふふ、これで敵はいない……
ゆっくりと貴方の精霊を頂くわ」
不敵な笑みを浮かべながら魔法陣を発動し、
その中から一人の戦士が現れる。
「私の騎士が、貴方達を殺すの……
この気高き剣の前に散りなさい」
ユミルが声を発すると同時に、
剣士が突進してくる。
即座にシャルロットは、剣を装備して、
相手の剣撃を受け止めた。
「まさか!アンタは!」
「ふふふ、そうよ!
彼は……」
そして騎士とシャルロットは、真っ向から力比べになるが、急にその姿を大人に変えて身体能力を強化した。
そのスキルを使えるのは、クリスの他に一人しかいない。
「獣王ガルム、私の騎士よ」
身体能力も桁違いに向上していて、
500年の歳月で更に強くなっていた。
「獣王の手で殺されなさい」
ガルムの攻撃が早くなり、シャルロットは防戦一方だが、マリアやサラも黙っているわけではない。
防御壁を展開しようとするが、
ユミルの妨害魔法によって邪魔されてしまう。
「ふふふ、早く精霊契約をしないと、
死んじゃうわよ……」
「邪魔してくるのはアンタでしょ!」
シャルロットは、シルフィとの精霊契約に集中するが、後少しのところでガルムの攻撃に邪魔されていた。
そして防戦一方だったが、敵の足元に忍ばせた魔法陣で流れを掴めると判断する。
「インフェルノ」
強烈な火柱がガルムを包み込む。
その瞬間にガルムから距離を稼ぎ、
精霊契約を発動させた。
シャルロットとシルフィの光が、
繋がり合うように重なる。
そしてシルフィの姿が消えて、
シャルロットと一体化した。
「素晴らしい……
これが風の精霊の力……」
シルフィの魔力を目の前にして、
ユミルは興奮を抑えきれない。
その契約が終わるのを見計らって、
精霊召喚を始めた。
「現れなさい!
私の精霊……」
ユミルが精霊召喚を行うと、まるで夜になったかのように、辺り一面が暗くなる。
そして暗闇の中から、少しずつその姿が見えてきた。
「な、なんだ……
こんな精霊見たことがないぞ!」
ハイエルフで精霊に詳しいサラであっても、
目の前に佇む暗黒のオーラを纏う女の子の精霊を知り得ない。
「ふふふ、初めて見るようね……
彼女は闇の精霊テレサ」
白い髪に、黒い瞳をした女の子。
闇の精霊と呼ばれる存在に強い魔力が集まっていく。
「テレサ……
貴方の力を見せてあげなさい」
そう告げるとテレサの足元の影が伸びて、
マリアとサラを捕まえる。
「う、動けない……」
「影縛りのスキルよ……
魔力量が相手より多ければ、
敵の動きを制限できるの」
そしてシャルロット一人しか、戦闘出来る者がいなくなった状況で、テレサとガルムが迫る。
「でも残念……
精霊契約をして魔力を減らしたのが、
貴方の敗因よ」
そして影縛りを発動し、マリア達と同様に、
シャルロットも動きを制限された。
「捕まえた……」
邪悪な笑みを浮かべながら、ユミルは、
トドメを刺すようガルムに命じる。
ガルムは、シャルロットの胸に突きを繰り出した。
「お姉ちゃん!!」
マリアの悲鳴が鳴り響いた瞬間、
シャルロットの前に結界魔法が発動して、
ガルムの剣を弾き返す。
「何とか間に合った……」
ギリギリのタイミングで賢者が、
シャルロットの危機を救ってみせた。
そしてここから反撃に出たいところだが、
リルムの隣にガルムが移動する。
不敵な笑みを浮かべるユミルは、
まだ何かを企んでいるように感じられた……
マリアとユーリの情報を聞き、
クレアは即座に避難を決断した。
「防衛作戦でゲイルとアリスは既に城だ!
私たちも合流すれば、更に安全だろう」
リリスを含めて非戦闘員も一緒にいるため、
敵に遭遇する前に安全圏まで行こうと決めた。
そして、王都の中央街に来たところで、
急にリルムが立ち止まる……
何かあったのかとクレアが問いかけるが、
その瞬間、クレア、ユーリ、サリーの足元に魔法陣が生まれた。
「皆さん……ごめんなさい」
「リルム?お前何を?」
リルムは瞳を潤ませながら謝罪を口にした。
その言葉を発したと同時に、
リルムの影から1人の人物が現れる……
そしてその人物が姿を見せたことに、
全員が驚きを隠せない。
「な、何だと!
お前は……」
「そうよ、貴方達が警戒している、
ユミルとは、私のことよ」
目前の女性は影から姿を露わにした。
黒いローブに身を包んだ女性が現れ、
不敵な笑みを浮かべながら声を発する。
「調査をして分かったのよ……
注意すべき人物は限られている」
足元の魔法陣は光り輝き、
クレア達を包み込んだ。
そして瞬く間に三人の姿が消えてしまった。
「き、貴様!
一体、何をした?」
シャルロットは、目の前でクレア達に何があったのか心配で堪らない。
そして魔法陣の効果を問い詰めた。
「ふふふ、安心しなさい……
あの者達の強さは異常だった……
少し離れた場所まで転移させたわ」
「転移?」
ユミルは、最初からリルムの影に隠れて、
レガードの調査をしていた。
その中で危険人物を確認して、
自分から遠ざけようと動いたのだ。
「上手くいったわ……
これで強き者を排除出来た」
この場にいるのは、シャルロット、マリア、サラ、リリス、リーネだけだ。
「ふふふ、これで敵はいない……
ゆっくりと貴方の精霊を頂くわ」
不敵な笑みを浮かべながら魔法陣を発動し、
その中から一人の戦士が現れる。
「私の騎士が、貴方達を殺すの……
この気高き剣の前に散りなさい」
ユミルが声を発すると同時に、
剣士が突進してくる。
即座にシャルロットは、剣を装備して、
相手の剣撃を受け止めた。
「まさか!アンタは!」
「ふふふ、そうよ!
彼は……」
そして騎士とシャルロットは、真っ向から力比べになるが、急にその姿を大人に変えて身体能力を強化した。
そのスキルを使えるのは、クリスの他に一人しかいない。
「獣王ガルム、私の騎士よ」
身体能力も桁違いに向上していて、
500年の歳月で更に強くなっていた。
「獣王の手で殺されなさい」
ガルムの攻撃が早くなり、シャルロットは防戦一方だが、マリアやサラも黙っているわけではない。
防御壁を展開しようとするが、
ユミルの妨害魔法によって邪魔されてしまう。
「ふふふ、早く精霊契約をしないと、
死んじゃうわよ……」
「邪魔してくるのはアンタでしょ!」
シャルロットは、シルフィとの精霊契約に集中するが、後少しのところでガルムの攻撃に邪魔されていた。
そして防戦一方だったが、敵の足元に忍ばせた魔法陣で流れを掴めると判断する。
「インフェルノ」
強烈な火柱がガルムを包み込む。
その瞬間にガルムから距離を稼ぎ、
精霊契約を発動させた。
シャルロットとシルフィの光が、
繋がり合うように重なる。
そしてシルフィの姿が消えて、
シャルロットと一体化した。
「素晴らしい……
これが風の精霊の力……」
シルフィの魔力を目の前にして、
ユミルは興奮を抑えきれない。
その契約が終わるのを見計らって、
精霊召喚を始めた。
「現れなさい!
私の精霊……」
ユミルが精霊召喚を行うと、まるで夜になったかのように、辺り一面が暗くなる。
そして暗闇の中から、少しずつその姿が見えてきた。
「な、なんだ……
こんな精霊見たことがないぞ!」
ハイエルフで精霊に詳しいサラであっても、
目の前に佇む暗黒のオーラを纏う女の子の精霊を知り得ない。
「ふふふ、初めて見るようね……
彼女は闇の精霊テレサ」
白い髪に、黒い瞳をした女の子。
闇の精霊と呼ばれる存在に強い魔力が集まっていく。
「テレサ……
貴方の力を見せてあげなさい」
そう告げるとテレサの足元の影が伸びて、
マリアとサラを捕まえる。
「う、動けない……」
「影縛りのスキルよ……
魔力量が相手より多ければ、
敵の動きを制限できるの」
そしてシャルロット一人しか、戦闘出来る者がいなくなった状況で、テレサとガルムが迫る。
「でも残念……
精霊契約をして魔力を減らしたのが、
貴方の敗因よ」
そして影縛りを発動し、マリア達と同様に、
シャルロットも動きを制限された。
「捕まえた……」
邪悪な笑みを浮かべながら、ユミルは、
トドメを刺すようガルムに命じる。
ガルムは、シャルロットの胸に突きを繰り出した。
「お姉ちゃん!!」
マリアの悲鳴が鳴り響いた瞬間、
シャルロットの前に結界魔法が発動して、
ガルムの剣を弾き返す。
「何とか間に合った……」
ギリギリのタイミングで賢者が、
シャルロットの危機を救ってみせた。
そしてここから反撃に出たいところだが、
リルムの隣にガルムが移動する。
不敵な笑みを浮かべるユミルは、
まだ何かを企んでいるように感じられた……
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