休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう

文字の大きさ
上 下
125 / 182

第125話 愛をこめて

しおりを挟む
突如として賢者の次元結界が俺とユーリを囲った。
そして外からは何も見えない。
その中で俺達は従属化のレベルが上がるまで口付けを交わすことになった。


俺はユーリとの口付けは一度しかしていないことに気づいた。
こんなに好きと言ってくれたのに、
過去で助けた時しかしていない。


何故だろう…
確かにレベル上げのためにしなくてはならないが、
その理由のためだけに口付けをするというのは嫌だと思ってしまった。
だから、気持ちを込めたいんだ。


「ユーリ…」


こんなに可愛くて、
おちゃらけてて、
しかも食いしん坊で…



「一緒にいると、
 楽しくて仕方ないんだ」



今、無理なのは分かっていても、
やっぱり…



「ユーリの言葉も聞きたいよ…」



どうして、10年も待ってくれたんだよ…
長すぎて辛かったと思う。
寂しかったと思う。


そして……


「俺は、やっぱり
 笑っているユーリが好きなんだよ…」


いつも人を元気にさせる笑顔。
怒っている時も悲しい時も、
忘れてしまうほど綺麗な笑顔なんだ。



「最初は妹みたいな存在だった…」



頭を撫でたり、手をひいたり、
なんだか妹みたいだなって思っていた。



「たくさん辛い思いをして生きてきて、
 一見ガサツそうに見えるけど」







「ユーリは、誰よりも優しいんだ…」







俺は知っている。




だから……





「俺は、そんなユーリが好きなんだよ」





気づいたら俺も涙が溢れていた。



「ユーリ、やっぱりお前の声が聞きたいよ」



俺はそう言いながら、ユーリに口付けを交わす。



するとユーリの瞳も涙で溢れていた。
きっとユーリも本当は伝えたくて、
でも言葉にできなくて…
そんな切ない思いが溢れている気がした。


その表情を見て、
俺は気づいたらユーリを抱きしめる。



「帰ったら、たくさん出来なかったことをしよう」



お祭りもろくに二人で回れなかった。
買い物だって出来ていない。
それに二人の時間も作れていなかった。



「そうか……
 まだ伝えていなかったよね」

 

そう言いながら、ユーリの瞳の涙を拭い、
じっくりと、ユーリの瞳を見つめる。





「俺のお嫁さんになってください…」





精一杯の気持ちをこめて、
ユーリに口付けを交わす。



「ユーリ、愛してる…」



その後も俺は、ひたすら気持ちを込めて、
愛をこめて口付けを交わした。


そして、ユーリの瞳に正気が戻る。


「くり……す」


俺は嬉しくて仕方がない…
ユーリに気持ちが伝わった気がした。


「ユーリ…」


そして俺にお返しをするように、
ユーリから口付けをされる。


そしてその瞬間、奇跡が起きた。


次元の結界の中にいて、景色は変わらず、
水の神殿の床下は変わらない。


しかし、俺達の上空にオーロラのような虹色に輝くカーテンが現れる。
それはまるで女神が俺とユーリを祝福しているかのようだった。


「私も……クリスを」


その光の中でユーリが俺に言葉を告げる。



「クリスを愛しています」



そして俺達は何度も口付けを交わした。
お互いに夢中に求め合い時間を忘れていた。
今は、スキルのためなんかじゃない、
相手をただ求めて、愛を確かめ合っていた。
そう、時間を忘れてしまっていたんだ。


その時、まだかと待ち焦がれた、
賢者から連絡があった。


「おい、クリス、そろそろ大丈夫か?」


「あ、賢者、ごめん…」


忘れていたとは言えない。
通信機越しに何者かと攻防しながら連絡している様子だった……


「全く、お前達には驚かされたよ…
 まさか忠誠を獲得するとはね」


「へ?」
 

賢者が忠誠スキルについて説明した。
このスキルは、魔王の部下が忠誠を誓うように、従属させた関係ではなく自らの意思で従うスキル。


「忠誠は、魔族の契約スキルの中で頂点さ!
 魔力は直接繋がり、送れるんだよ」


まさか魔王のスキルを獲得してしまった事に俺は驚きを隠せない。
そして賢者は、女神の波動が留まっていることに気付き俺に問いかけてきた。


「忠誠スキルで隷属を上書きした筈だが、
 何故まだユーリの身体に女神がいるんだ?」


俺は通信機から聞こえた賢者の言葉に驚愕して、すぐにユーリに確認してみた。


「あの……私とクリスに感動したから、
 もう少し一緒にいたいって…」


「はい?」


よく見るとまだユーリの外見は変わっていない。
表情と人格は紛れもなくユーリだが、
まだ女神はユーリに乗り移っている。
そして通信機越しに賢者は笑みを浮かべながら言葉を発した。


「それはありがたい…
 何しろ今、こっちはかなり苦しくてね」


すると、通信機に徐々にノイズが走り、
賢者の声は聞こえなくなってしまう。


「賢者!何があったんだ?」


突如として通信が途絶えてしまった。
次元の結界の外では、恐ろしい事態になっている可能性が高い。
結界の外にはマリアもいる。
俺達も早く合流しなければならない。


「ユーリ、いこう!」


そして、俺は聖剣に魔力を集めて次元の結界を破壊する。
ユーリの手を握りしめて、みんなの待つ場所へと歩き出した……
しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

チートスキル『学習(ラーニング)』で異世界最強 ~Malice・Awaking~

さぼてん
ファンタジー
平凡な高校生、アヤツジ・ケイトは、ひょんなことから命を落としてしまう。 そんな彼の前に、『神の使い』と名乗る人物が現れた。 彼は言う。「異世界転生と言うものに興味はないか?」と。 異世界転生――その響きに惹かれたケイトは、彼の提案を受け入れる―― 「ヘイ、マリス!学習の時間だ」 『かしこまりました、マスター』 スマートフォンで全てを学習(ラーニング)!?異世界チート生活、始まります。 ※この作品は、『小説家になろう』『カクヨム』『ノベリズム』でも投稿しております。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

異世界転生!俺はここで生きていく

おとなのふりかけ紅鮭
ファンタジー
俺の名前は長瀬達也。特に特徴のない、その辺の高校生男子だ。 同じクラスの女の子に恋をしているが、告白も出来ずにいるチキン野郎である。 今日も部活の朝練に向かう為朝も早くに家を出た。 だけど、俺は朝練に向かう途中で事故にあってしまう。 意識を失った後、目覚めたらそこは俺の知らない世界だった! 魔法あり、剣あり、ドラゴンあり!のまさに小説で読んだファンタジーの世界。 俺はそんな世界で冒険者として生きて行く事になる、はずだったのだが、何やら色々と問題が起きそうな世界だったようだ。 それでも俺は楽しくこの新しい生を歩んで行くのだ! 小説家になろうでも投稿しています。 メインはあちらですが、こちらも同じように投稿していきます。 宜しくお願いします。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

異世界転生したのだけれど。〜チート隠して、目指せ! のんびり冒険者 (仮)

ひなた
ファンタジー
…どうやら私、神様のミスで死んだようです。 流行りの異世界転生?と内心(神様にモロバレしてたけど)わくわくしてたら案の定! 剣と魔法のファンタジー世界に転生することに。 せっかくだからと魔力多めにもらったら、多すぎた!? オマケに最後の最後にまたもや神様がミス! 世界で自分しかいない特殊個体の猫獣人に なっちゃって!? 規格外すぎて親に捨てられ早2年経ちました。 ……路上生活、そろそろやめたいと思います。 異世界転生わくわくしてたけど ちょっとだけ神様恨みそう。 脱路上生活!がしたかっただけなのに なんで無双してるんだ私???

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...