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第124話 光のカーテン
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戦いは膠着状態となっていた。
女神が現れた事でラグナは圧倒的な戦力を得たが、
クレアの見事な撹乱により的を絞らせなかった。
賢者は結界魔法を使用しながら距離を取っており、
そこにカートが加わった事で守りも強固になっている。
そして、ついに記憶の世界からクリスが帰ってきた。
「お待たせ、賢者」
「全く、待ちくたびれたよ
罰としてラグナ退治といこうじゃないか」
クリスが来たことで場の空気が変わった。
まだ覇王を発動していないにも関わらず、
その圧倒的な魔力から圧力が感じられる。
そして本来であればクリスに会えて、
すぐに飛び上がり喜ぶ者がいた。
それはユーリである。
しかし女神が乗り移ってしまい、面影は残しているが姿は女神そのものになっている。
「ユーリ、今すぐに助けてやるからな……」
そして、聖剣使いのクリスが到着したのを見て、
ラグナは苛立ちながら口を開く。
「これでは流石に不利ではないか…」
しかし、ふと女神の肩にかけられたスカーフを見て、
邪悪な笑みを浮かべて言葉を発した。
「それなら作戦変更だ!
女神よ、光のカーテンを出せ!」
すると女神のスカーフが、上空にカーテンのように広がり怪しく光り輝いていく。
その光が何を意味するのか賢者でも分からない。
「何も馬鹿正直に戦わなくて良い、
どうせ勝てるんだからな」
そう言い放つと同時に光のカーテンの輝きで、
儀式の間を真っ白な空間に変えてしまう。
更に白い空間の中に煙が充満して、
全員の場所が認識できなくなってしまった。
「ふふふ、仲間を守り切れるかな」
怪しく笑いながらラグナと女神は、
その煙の中に消えていった。
その頃、クリスは封印魔法を使用するが、
全く効果が感じられないでいた。
光のカーテンは、魔導具によるものだった。
「くそ!」
その時、クリスは何故忘れていたのか自分を責める。
以前にエレノアと戦った時に使った魔法があった。
「探知でみんなの位置を探す」
俺は姿を変えて覇王を発動する。
ここで全力を出さなければ、何のために記憶の世界に行ったのか分からない。
あれだけ必死になったのもマリアとユーリを守るためだ。
気づけば俺は全ての身体強化をかけて、
探知の指す方向へ駆け抜けていた。
そして同じように探知で探していた人物がいる。
「賢者!」
「来たか、被害が大きくなる前に急ぐぞ!」
俺と賢者は過去の世界と同じように、
お互いに探知の指す方向へ向かっていく。
「見えてきた…」
そして光のカーテンに身を隠していた、
ラグナ、女神、サラが見えてきた。
「ユーリ!」
俺は、女神が乗り移ったユーリを見て、
怒りが抑えきれなくなる。
その姿は転生前に見た女神そのもので、
表情だけユーリの面影を残している。
「ラグナ、お前だけは……
お前だけは許さない!」
そして、ラグナは邪悪な笑みを浮かべながら声を発した。
「隷属の首輪を付けていると、
俺が死ねばコイツら二人も死ぬんだよ!」
「な、何だと」
俺は言葉を失ってしまった。
愛する人を奪われただけでなく、
救う手段を見出せない。
しかし、どうしても諦めたくない……
「クリス、諦めるな!
まだ破壊できる術はある」
「何をしても意味はない!
これで俺は殺せない……
この首輪がある限り、
このエルフは俺の物だ…」
ラグナが嫌らしくユーリの首輪をなぞり、
更にその手は、ユーリの綺麗な顔を撫でていく。
「ユーリに……
ユーリに、触れるな!」
そして信じられないことが起きた。
隷属の首輪が付けられているが、
俺の言葉に反応してユーリの瞳から涙が落ちていく。
「ユーリ…」
表情は正気が失ったまま、
その瞳の涙は止まらずに溢れていく。
その涙を見て俺も涙が止まらなくなってしまった。
「クリス、覚悟はいいか?
救う手が一つだけある」
「賢者?」
賢者は、救う手段があると言っている。
俺はそれに全てを懸けたい。
そして俺は賢者の言葉に無言で頷いた。
すると賢者の周りに魔力が溢れていく。
「次元結界!」
すると俺とユーリを囲うように、次元の結界を呼び出した。
そして賢者は通信機で俺に話しかける。
「これで一時的にラグナの命令を遮断した
救う方法は、エレノアの時と同じさ!
従属化の上のスキルで隷属を上書きできる」
「え?」
賢者は考えた素振りを見せながら、
更に俺に問いかける。
「従属化スキルは今いくつまで成長した?」
「た、確か、レベル8ですけど」
その言葉を聞き、賢者はニヤリと笑みを浮かべる。
「カンストすると次のスキルを覚える…
後1レベル、今すぐに上げちまいな!」
「い、今すぐってどうやって?」
その時、賢者は呆れたようにため息を吐いた。
やはりその声に俺は焦ってしまう。
「馬鹿者!
お前、従属化のレベルが上がるまで、
何度も口付けするに決まってるだろ!」
「は、はい?」
俺は賢者の言葉に驚きを隠せない。
後、従属化スキルを1レベル上げれば、
スキルがカンストして新たなスキルを覚える。
そして今、ユーリと口付けを何度も繰り返して、達成させるらしい。
「ユーリ…良いよね?」
俺はユーリに一応確認を取っておこうと思い声をかけてみた。
すると先ほどのユーリと全く違う反応を感じ取った。
「ん?涙が止まってて、嬉しそう?」
気のせいかと思ったけど、
ユーリが少し笑顔になっている気がした。
賢者を信じて従属化のレベル上げに挑む。
それは新たなスキルを覚えるまで口付けを繰り返す事だった。
思わぬ展開に俺は頭が追い付かない。
そして、結界の外にいる賢者達はラグナを取り押さえようと光のカーテンの中で追いかけ回していた。
女神が現れた事でラグナは圧倒的な戦力を得たが、
クレアの見事な撹乱により的を絞らせなかった。
賢者は結界魔法を使用しながら距離を取っており、
そこにカートが加わった事で守りも強固になっている。
そして、ついに記憶の世界からクリスが帰ってきた。
「お待たせ、賢者」
「全く、待ちくたびれたよ
罰としてラグナ退治といこうじゃないか」
クリスが来たことで場の空気が変わった。
まだ覇王を発動していないにも関わらず、
その圧倒的な魔力から圧力が感じられる。
そして本来であればクリスに会えて、
すぐに飛び上がり喜ぶ者がいた。
それはユーリである。
しかし女神が乗り移ってしまい、面影は残しているが姿は女神そのものになっている。
「ユーリ、今すぐに助けてやるからな……」
そして、聖剣使いのクリスが到着したのを見て、
ラグナは苛立ちながら口を開く。
「これでは流石に不利ではないか…」
しかし、ふと女神の肩にかけられたスカーフを見て、
邪悪な笑みを浮かべて言葉を発した。
「それなら作戦変更だ!
女神よ、光のカーテンを出せ!」
すると女神のスカーフが、上空にカーテンのように広がり怪しく光り輝いていく。
その光が何を意味するのか賢者でも分からない。
「何も馬鹿正直に戦わなくて良い、
どうせ勝てるんだからな」
そう言い放つと同時に光のカーテンの輝きで、
儀式の間を真っ白な空間に変えてしまう。
更に白い空間の中に煙が充満して、
全員の場所が認識できなくなってしまった。
「ふふふ、仲間を守り切れるかな」
怪しく笑いながらラグナと女神は、
その煙の中に消えていった。
その頃、クリスは封印魔法を使用するが、
全く効果が感じられないでいた。
光のカーテンは、魔導具によるものだった。
「くそ!」
その時、クリスは何故忘れていたのか自分を責める。
以前にエレノアと戦った時に使った魔法があった。
「探知でみんなの位置を探す」
俺は姿を変えて覇王を発動する。
ここで全力を出さなければ、何のために記憶の世界に行ったのか分からない。
あれだけ必死になったのもマリアとユーリを守るためだ。
気づけば俺は全ての身体強化をかけて、
探知の指す方向へ駆け抜けていた。
そして同じように探知で探していた人物がいる。
「賢者!」
「来たか、被害が大きくなる前に急ぐぞ!」
俺と賢者は過去の世界と同じように、
お互いに探知の指す方向へ向かっていく。
「見えてきた…」
そして光のカーテンに身を隠していた、
ラグナ、女神、サラが見えてきた。
「ユーリ!」
俺は、女神が乗り移ったユーリを見て、
怒りが抑えきれなくなる。
その姿は転生前に見た女神そのもので、
表情だけユーリの面影を残している。
「ラグナ、お前だけは……
お前だけは許さない!」
そして、ラグナは邪悪な笑みを浮かべながら声を発した。
「隷属の首輪を付けていると、
俺が死ねばコイツら二人も死ぬんだよ!」
「な、何だと」
俺は言葉を失ってしまった。
愛する人を奪われただけでなく、
救う手段を見出せない。
しかし、どうしても諦めたくない……
「クリス、諦めるな!
まだ破壊できる術はある」
「何をしても意味はない!
これで俺は殺せない……
この首輪がある限り、
このエルフは俺の物だ…」
ラグナが嫌らしくユーリの首輪をなぞり、
更にその手は、ユーリの綺麗な顔を撫でていく。
「ユーリに……
ユーリに、触れるな!」
そして信じられないことが起きた。
隷属の首輪が付けられているが、
俺の言葉に反応してユーリの瞳から涙が落ちていく。
「ユーリ…」
表情は正気が失ったまま、
その瞳の涙は止まらずに溢れていく。
その涙を見て俺も涙が止まらなくなってしまった。
「クリス、覚悟はいいか?
救う手が一つだけある」
「賢者?」
賢者は、救う手段があると言っている。
俺はそれに全てを懸けたい。
そして俺は賢者の言葉に無言で頷いた。
すると賢者の周りに魔力が溢れていく。
「次元結界!」
すると俺とユーリを囲うように、次元の結界を呼び出した。
そして賢者は通信機で俺に話しかける。
「これで一時的にラグナの命令を遮断した
救う方法は、エレノアの時と同じさ!
従属化の上のスキルで隷属を上書きできる」
「え?」
賢者は考えた素振りを見せながら、
更に俺に問いかける。
「従属化スキルは今いくつまで成長した?」
「た、確か、レベル8ですけど」
その言葉を聞き、賢者はニヤリと笑みを浮かべる。
「カンストすると次のスキルを覚える…
後1レベル、今すぐに上げちまいな!」
「い、今すぐってどうやって?」
その時、賢者は呆れたようにため息を吐いた。
やはりその声に俺は焦ってしまう。
「馬鹿者!
お前、従属化のレベルが上がるまで、
何度も口付けするに決まってるだろ!」
「は、はい?」
俺は賢者の言葉に驚きを隠せない。
後、従属化スキルを1レベル上げれば、
スキルがカンストして新たなスキルを覚える。
そして今、ユーリと口付けを何度も繰り返して、達成させるらしい。
「ユーリ…良いよね?」
俺はユーリに一応確認を取っておこうと思い声をかけてみた。
すると先ほどのユーリと全く違う反応を感じ取った。
「ん?涙が止まってて、嬉しそう?」
気のせいかと思ったけど、
ユーリが少し笑顔になっている気がした。
賢者を信じて従属化のレベル上げに挑む。
それは新たなスキルを覚えるまで口付けを繰り返す事だった。
思わぬ展開に俺は頭が追い付かない。
そして、結界の外にいる賢者達はラグナを取り押さえようと光のカーテンの中で追いかけ回していた。
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