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第80話 秘密の特訓(1)
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ルミナス王国、城の訓練所。
その場所に賢者がクリス達を集めた。
賢者、クリス、マリア、ピクシーの4名だ。
秘密の特訓のため部外者が入れないように、
結界魔法により通行禁止にしている。
そして今回の特訓の先生である賢者が口を開いた。
「お前達には入れ替わってもらう」
「はい?」
賢者がいきなりクリス達へ告げた。
事前に幻惑魔法で魔族を惑わせると聞いたが
その内容まで具体的に聞いていなかった。
「どういうことですか?
賢者様、一体?」
「祭の期間、
幻惑魔法でお前達は入れ替わるのさ」
幻惑魔法を使い二人は入れ替わる。
その奇抜な作戦に二人は衝撃を受けた。
「あの…
私、魔法を使えないのですが…」
「クリスが幻惑魔法を使うから、
マリアは使えなくても大丈夫さ」
クリスがピクシーから休憩スキルを通して、幻惑魔法を覚える。
その後、お互いに幻惑魔法をかけると、
賢者は伝えた。
「そうなのですか…
じゃあ、私はなんのために?」
クリスは確かにマリアが五日間、何を修行するのかと聞かれると改めて説明できない。
その問いに賢者が答える。
「相手の魔力の波動、思考、癖、好み、
全てを通じ合わせていく」
「お互いを通じ合わせる?」
賢者は無言で頷いた。
幻惑魔法で姿を変えても中身が元のままでは相手を欺き通せない。
そのため相手を知り尽くし成りきることが
重要なのだ。
「具体的に何をすれば?」
「まずは観察から始めよう!」
第一ステップとしてはお互い見つめ合い観察することから始まった。
普段、気になる異性と面と向かい合う機会は無い。
まずは向き合うことから始まる。
「マリアいくよ…」
「う、うん」
お互い座って見つめ合う。
二人とも赤面してしまい直視できない。
クリスが見ようとするとマリアが恥ずかしくて伏せてしまい逆も然りである。
や、やばい…
恥じらうマリアが可愛すぎる…
「クリス…
み…ないで…」
「ま、マリア…」
お互いに訓練どころではない…
甘い空気が漂ってきて先に進めない様子に、
賢者は苛立ってしまう。
「お前達、しっかりしなさい!」
賢者は恥じらう二人に苛立ち喝を入れる。
しかし二人とも体勢を変えようとするが、
同じ方向に動いてしまい手が触れる。
また元の位置に戻り二人とも恥じらう。
結局振り出しに戻ってしまったのだ。
賢者はジト目で見ている。
五日間でモノになるのか不安で仕方ない。
いっそのこと次のステップに進めようと決めた。
「二人ともお互いに見つめ合って、
手を握るんだ…」
「え?」
いきなりのことで動揺する二人。
まだ観察を続けるとばかり思っていた。
ただ手を繋ぐだけであれば問題はない。
一緒に魔法訓練をした経験があるからだ。
しかし先程、お互いを意識してしまったため二人は余計に緊張してしまう。
「さあ、早くしなさい!
時間がないんだ」
久しぶりに繋がる手と手。
思えばクリスは随分長い期間、
愛するマリアと触れ合えていなかった…
「訓練なんだけどさ…
マリアと手が繋げて嬉しいよ…」
「え?」
クリスはマリアとの訓練を思い出していた。
それは二人の共通の記憶。
クリスは冒険をしている中でも、
いつかマリアと触れ合うことを願い続けてきた。
「嬉しくて仕方ないんだよ…」
「クリス…」
マリアはその言葉に今度は愛しさが溢れ出していた。
気づけば瞳が潤んでいる。
クリスから直接愛の言葉を聞いていないが、
そうとも感じ取れる言葉に感極まっていた。
この世界で、まだマリアは告白をされていない。
「クリス、私も嬉しいよ…」
賢者は二人の様子が少し変化したことに気付いた。
しかし、今度は苛立っていない。
なぜなら先の【相手を想い好きになる】
という段階に進んでいるからだ。
急に良い方向へと進んだ二人をそのまま放置しようと決めた。
気付けばクリスのことを想うと、
マリアの心臓の高鳴りは強烈に激しくなっていた。
このような体験は過去に一度もない。
本気でクリスのことを愛し始めた瞬間だった…
「ク、クリス…
心臓が苦しい…」
「え?」
この時クリスは大きな勘違いをしてしまう。
心臓が苦しいという言葉が何かの病気なのかと勘違いをしたのだ。
「マ、マリア…」
クリスは急に心配になり肩を掴んでしまう。
マリアも至近距離にいるクリスを見て、
更に心臓の鼓動が激しくなる。
「クリス……
苦しいよ…」
「ど、どうしよう…」
回復魔法を使えば良いのか、
俺は何をすれば良いのか分からない…
ふと賢者を見る…
すると賢者はそっぽを向いた。
「か、回復魔法をかけようか?」
「それは良いじゃないか!
効果があるかもしれないぞ」
賢者はニヤリと笑った。
魔力の波動のステップに進めると踏んで、
この流れを利用しようと決めたのだ。
「マリアいくよ…」
回復魔法がマリアへと届いていく。
マリアもクリスの魔力の流れを感じて、
過去の記憶を思い出していた。
「クリス……」
瞳に涙が溢れていく。
半年間婚約者を待ち続けた日々。
苦しくてもクリスは帰ってこない。
そんな日々は、ようやく終わりを迎えた。
マリアはただ単に感極まっただけなのだ。
「マリア…」
クリスはマリアのその気持ちを察する事が出来ない。
心臓の痛みに苦しむマリアを救えず途方に暮れていた…
そしてその様子を見ていた賢者は、果たして上手く進んでいるのか疑問に感じていた。
しかし確かに二人の想いは通じ合ってきた。
そう信じた賢者は次のステップを二人に指示をするのであった。
その場所に賢者がクリス達を集めた。
賢者、クリス、マリア、ピクシーの4名だ。
秘密の特訓のため部外者が入れないように、
結界魔法により通行禁止にしている。
そして今回の特訓の先生である賢者が口を開いた。
「お前達には入れ替わってもらう」
「はい?」
賢者がいきなりクリス達へ告げた。
事前に幻惑魔法で魔族を惑わせると聞いたが
その内容まで具体的に聞いていなかった。
「どういうことですか?
賢者様、一体?」
「祭の期間、
幻惑魔法でお前達は入れ替わるのさ」
幻惑魔法を使い二人は入れ替わる。
その奇抜な作戦に二人は衝撃を受けた。
「あの…
私、魔法を使えないのですが…」
「クリスが幻惑魔法を使うから、
マリアは使えなくても大丈夫さ」
クリスがピクシーから休憩スキルを通して、幻惑魔法を覚える。
その後、お互いに幻惑魔法をかけると、
賢者は伝えた。
「そうなのですか…
じゃあ、私はなんのために?」
クリスは確かにマリアが五日間、何を修行するのかと聞かれると改めて説明できない。
その問いに賢者が答える。
「相手の魔力の波動、思考、癖、好み、
全てを通じ合わせていく」
「お互いを通じ合わせる?」
賢者は無言で頷いた。
幻惑魔法で姿を変えても中身が元のままでは相手を欺き通せない。
そのため相手を知り尽くし成りきることが
重要なのだ。
「具体的に何をすれば?」
「まずは観察から始めよう!」
第一ステップとしてはお互い見つめ合い観察することから始まった。
普段、気になる異性と面と向かい合う機会は無い。
まずは向き合うことから始まる。
「マリアいくよ…」
「う、うん」
お互い座って見つめ合う。
二人とも赤面してしまい直視できない。
クリスが見ようとするとマリアが恥ずかしくて伏せてしまい逆も然りである。
や、やばい…
恥じらうマリアが可愛すぎる…
「クリス…
み…ないで…」
「ま、マリア…」
お互いに訓練どころではない…
甘い空気が漂ってきて先に進めない様子に、
賢者は苛立ってしまう。
「お前達、しっかりしなさい!」
賢者は恥じらう二人に苛立ち喝を入れる。
しかし二人とも体勢を変えようとするが、
同じ方向に動いてしまい手が触れる。
また元の位置に戻り二人とも恥じらう。
結局振り出しに戻ってしまったのだ。
賢者はジト目で見ている。
五日間でモノになるのか不安で仕方ない。
いっそのこと次のステップに進めようと決めた。
「二人ともお互いに見つめ合って、
手を握るんだ…」
「え?」
いきなりのことで動揺する二人。
まだ観察を続けるとばかり思っていた。
ただ手を繋ぐだけであれば問題はない。
一緒に魔法訓練をした経験があるからだ。
しかし先程、お互いを意識してしまったため二人は余計に緊張してしまう。
「さあ、早くしなさい!
時間がないんだ」
久しぶりに繋がる手と手。
思えばクリスは随分長い期間、
愛するマリアと触れ合えていなかった…
「訓練なんだけどさ…
マリアと手が繋げて嬉しいよ…」
「え?」
クリスはマリアとの訓練を思い出していた。
それは二人の共通の記憶。
クリスは冒険をしている中でも、
いつかマリアと触れ合うことを願い続けてきた。
「嬉しくて仕方ないんだよ…」
「クリス…」
マリアはその言葉に今度は愛しさが溢れ出していた。
気づけば瞳が潤んでいる。
クリスから直接愛の言葉を聞いていないが、
そうとも感じ取れる言葉に感極まっていた。
この世界で、まだマリアは告白をされていない。
「クリス、私も嬉しいよ…」
賢者は二人の様子が少し変化したことに気付いた。
しかし、今度は苛立っていない。
なぜなら先の【相手を想い好きになる】
という段階に進んでいるからだ。
急に良い方向へと進んだ二人をそのまま放置しようと決めた。
気付けばクリスのことを想うと、
マリアの心臓の高鳴りは強烈に激しくなっていた。
このような体験は過去に一度もない。
本気でクリスのことを愛し始めた瞬間だった…
「ク、クリス…
心臓が苦しい…」
「え?」
この時クリスは大きな勘違いをしてしまう。
心臓が苦しいという言葉が何かの病気なのかと勘違いをしたのだ。
「マ、マリア…」
クリスは急に心配になり肩を掴んでしまう。
マリアも至近距離にいるクリスを見て、
更に心臓の鼓動が激しくなる。
「クリス……
苦しいよ…」
「ど、どうしよう…」
回復魔法を使えば良いのか、
俺は何をすれば良いのか分からない…
ふと賢者を見る…
すると賢者はそっぽを向いた。
「か、回復魔法をかけようか?」
「それは良いじゃないか!
効果があるかもしれないぞ」
賢者はニヤリと笑った。
魔力の波動のステップに進めると踏んで、
この流れを利用しようと決めたのだ。
「マリアいくよ…」
回復魔法がマリアへと届いていく。
マリアもクリスの魔力の流れを感じて、
過去の記憶を思い出していた。
「クリス……」
瞳に涙が溢れていく。
半年間婚約者を待ち続けた日々。
苦しくてもクリスは帰ってこない。
そんな日々は、ようやく終わりを迎えた。
マリアはただ単に感極まっただけなのだ。
「マリア…」
クリスはマリアのその気持ちを察する事が出来ない。
心臓の痛みに苦しむマリアを救えず途方に暮れていた…
そしてその様子を見ていた賢者は、果たして上手く進んでいるのか疑問に感じていた。
しかし確かに二人の想いは通じ合ってきた。
そう信じた賢者は次のステップを二人に指示をするのであった。
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