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第73話 調査隊
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これで何度目だろうか。
男爵家の息子でこんなにも陛下に呼び出される事はまずないだろう。
また俺は陛下の前で跪いている…
「あの、陛下、処刑の件ですが…」
「あぁ、それか、
お前を呼び出すための口実だ
安心して構わないぞ」
な、何だと…
呼び出すために処刑をダシに使うのを止めてほしい…
「あの…
ご用件というのは…」
「それは賢者から話してもらおう」
陛下がそう言うと奥の部屋から、
久しぶりの賢者が顔を出してきた。
「久しぶりだな、クリス」
「賢者様、お久しぶりです」
賢者はそう言うとすぐに魔法陣を生み出し、
そこに地図が浮かび上がってきた。
「探知魔法のレベルが上がると、
こんな風に地図が呼び出せる」
「賢者様、この丸のついてる場所は?」
「転移魔法が使われた場所だ」
俺は驚愕している…
何せ丸のついてある場所は街のド真ん中だ。
いつのまにか、シンはルミナスに侵入していたのか…
「かなりの脅威だ…
だが一応結界は張った、
だからこの城内は安全だろう」
「と言う事は、城の外は…」
賢者は無言で頷く。
そして悲しげな表情をしながら話し続ける。
「奴ら、魔族の目的はマリアだ」
「え?」
「正確にはマリアの心臓だよ」
そして賢者が発する敵の目的に俺は呆れ果てる。
「高位の回復魔法使いの心臓は、
魔族を更に上の存在へと引き上げる」
「な!」
「元々レベルの高い奴が使うと、
魔王になると言われてるのさ」
魔族の真の目的はマリアの心臓だったのか…
そのために襲撃していただと…
「この城内にいる限りは安全だ
しかし外は危険極まりない
クリス、お前がマリアを守るんだ」
俺はこの時心に誓う、
マリアのことは何が何でも守り切ると。
「そしたら、呼ぶかね。
おい!そろそろ入れ」
二人の人物が呼ばれ、目の前に現れる。
その人物はシャルロットとサリーだ。
「シャルロット殿下!」
「ふふふ、昨日ぶりね…」
賢者が全員集まった所で王へと目で合図し、
王も見計らった所で口を開く。
「お前たち三人は特別調査隊に任ずる」
「え?」
俺は全く聞いてない話だったので驚く。
だがそれに対して二人は全く動じていないところから事前に知らされていたと伺える。
「調査隊って具体的にはどんなことを?」
「まずは、子供が攫われる前に防ぐのが最善
だが攫われた後はクリスの探知で追う
そして格下の魔族を捉えたら」
「私の奴隷術でアジトを吐かせる」
なるほど…
サリーの奴隷術で自白させるのか…
シャルロット殿下は?
「そしてアジトを焼くのが私の役目よ」
「そうですね」
殿下は炎をちらつかせ、
俺は苦笑しながら頷いた。
みんなの役割が確認できた所で賢者が伝える。
「これからお前達二人は放課後、
BARルミナスに集合だ!」
「そこが毎回の集合場所ですか?」
「あぁ、そこにフィリアがいるからな。
雑用にでも使え」
未成年の集合場所がBARで良いのかと思ったけどそう言うことね…
「フィリアさんは知ってるんですか?」
「いや、協力するさ…
絶対にね」
賢者は不敵な笑みを浮かべて言い放った。
フィリア、何か弱みでも握られているのか。
「うむ、調査隊にフィリアも加えよう」
フィリアのいない所で陛下は調査隊加入を決めたのだった。
そしてこの後、ひとまず解散となった。
マリアへ迫る悪意は想像以上に脅威だ。
ただでさえでも転移魔法の威力は恐ろしい。
しかし待つだけでは更に状況は悪化する。
賢者の言う通りこちらから手を打つべきだ。
俺は気を引き締めて調査に臨もうと決意した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
城からの帰り道、ちょうど夕方くらいだ。
俺はカートさんに久しぶりに会いたくなった
あれからどうなっているかすごく気になっていたのだ。
「ルミナス魔宝祭の準備か…」
俺は街のポスターを見ながら、
そろそろ始まる祭について独り言を呟く。
来週始まるのか。
そういえば、ユーリと約束してたっけ。
そして、カートさんの家の前に着く。
確かここら辺が新しい家って聞いていたな。
「ママー」
そこから出てきたのは今にも笑顔溢れる子供ではなく、カートさんだ…
「ママ?」
すると現れたのはイリーナさんだ。
そこには小さな娘を連れている。
「カートさん、久しぶりです!」
「ん?おお!クリスじゃないか!」
かなり久しぶりだが、
あまり過去と変わらないカートさんだ。
さっきママと言っていたのはイリーナさんのことだな。
「もしかしてカートさん、
そのお子さんは、」
「あぁ、俺とイリーナの子だ」
俺は過去から戻って最大の衝撃を受けている
カートさんはあれからイリーナさんを射止め結婚して更に子供が出来たのだ。
「カートさん、パパになったんですね」
「まあな」
物凄く幸せそうな笑顔だ。
鼻の下が伸びきっているけど…
「イリーナさんも凄く幸せそう」
「ふふふ、すごーく幸せですよ」
し、幸せオーラが眩しすぎる…
何だか邪魔しちゃいけなくなってきたので帰ろうかな。
「妹さんにも宜しく伝えといてくださいね」
カートさんも幸せそうで良かった!
奥さんのことをママって呼ぶ人いるよね。
また今度会いに行こう。
そして俺はBARルミナスの場所を確認して家へ帰る。
明日から始まる調査隊任務。
探知魔法も磨かなければならない。
早くセシルが誘拐に関与している手がかりを掴むためにも…
男爵家の息子でこんなにも陛下に呼び出される事はまずないだろう。
また俺は陛下の前で跪いている…
「あの、陛下、処刑の件ですが…」
「あぁ、それか、
お前を呼び出すための口実だ
安心して構わないぞ」
な、何だと…
呼び出すために処刑をダシに使うのを止めてほしい…
「あの…
ご用件というのは…」
「それは賢者から話してもらおう」
陛下がそう言うと奥の部屋から、
久しぶりの賢者が顔を出してきた。
「久しぶりだな、クリス」
「賢者様、お久しぶりです」
賢者はそう言うとすぐに魔法陣を生み出し、
そこに地図が浮かび上がってきた。
「探知魔法のレベルが上がると、
こんな風に地図が呼び出せる」
「賢者様、この丸のついてる場所は?」
「転移魔法が使われた場所だ」
俺は驚愕している…
何せ丸のついてある場所は街のド真ん中だ。
いつのまにか、シンはルミナスに侵入していたのか…
「かなりの脅威だ…
だが一応結界は張った、
だからこの城内は安全だろう」
「と言う事は、城の外は…」
賢者は無言で頷く。
そして悲しげな表情をしながら話し続ける。
「奴ら、魔族の目的はマリアだ」
「え?」
「正確にはマリアの心臓だよ」
そして賢者が発する敵の目的に俺は呆れ果てる。
「高位の回復魔法使いの心臓は、
魔族を更に上の存在へと引き上げる」
「な!」
「元々レベルの高い奴が使うと、
魔王になると言われてるのさ」
魔族の真の目的はマリアの心臓だったのか…
そのために襲撃していただと…
「この城内にいる限りは安全だ
しかし外は危険極まりない
クリス、お前がマリアを守るんだ」
俺はこの時心に誓う、
マリアのことは何が何でも守り切ると。
「そしたら、呼ぶかね。
おい!そろそろ入れ」
二人の人物が呼ばれ、目の前に現れる。
その人物はシャルロットとサリーだ。
「シャルロット殿下!」
「ふふふ、昨日ぶりね…」
賢者が全員集まった所で王へと目で合図し、
王も見計らった所で口を開く。
「お前たち三人は特別調査隊に任ずる」
「え?」
俺は全く聞いてない話だったので驚く。
だがそれに対して二人は全く動じていないところから事前に知らされていたと伺える。
「調査隊って具体的にはどんなことを?」
「まずは、子供が攫われる前に防ぐのが最善
だが攫われた後はクリスの探知で追う
そして格下の魔族を捉えたら」
「私の奴隷術でアジトを吐かせる」
なるほど…
サリーの奴隷術で自白させるのか…
シャルロット殿下は?
「そしてアジトを焼くのが私の役目よ」
「そうですね」
殿下は炎をちらつかせ、
俺は苦笑しながら頷いた。
みんなの役割が確認できた所で賢者が伝える。
「これからお前達二人は放課後、
BARルミナスに集合だ!」
「そこが毎回の集合場所ですか?」
「あぁ、そこにフィリアがいるからな。
雑用にでも使え」
未成年の集合場所がBARで良いのかと思ったけどそう言うことね…
「フィリアさんは知ってるんですか?」
「いや、協力するさ…
絶対にね」
賢者は不敵な笑みを浮かべて言い放った。
フィリア、何か弱みでも握られているのか。
「うむ、調査隊にフィリアも加えよう」
フィリアのいない所で陛下は調査隊加入を決めたのだった。
そしてこの後、ひとまず解散となった。
マリアへ迫る悪意は想像以上に脅威だ。
ただでさえでも転移魔法の威力は恐ろしい。
しかし待つだけでは更に状況は悪化する。
賢者の言う通りこちらから手を打つべきだ。
俺は気を引き締めて調査に臨もうと決意した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
城からの帰り道、ちょうど夕方くらいだ。
俺はカートさんに久しぶりに会いたくなった
あれからどうなっているかすごく気になっていたのだ。
「ルミナス魔宝祭の準備か…」
俺は街のポスターを見ながら、
そろそろ始まる祭について独り言を呟く。
来週始まるのか。
そういえば、ユーリと約束してたっけ。
そして、カートさんの家の前に着く。
確かここら辺が新しい家って聞いていたな。
「ママー」
そこから出てきたのは今にも笑顔溢れる子供ではなく、カートさんだ…
「ママ?」
すると現れたのはイリーナさんだ。
そこには小さな娘を連れている。
「カートさん、久しぶりです!」
「ん?おお!クリスじゃないか!」
かなり久しぶりだが、
あまり過去と変わらないカートさんだ。
さっきママと言っていたのはイリーナさんのことだな。
「もしかしてカートさん、
そのお子さんは、」
「あぁ、俺とイリーナの子だ」
俺は過去から戻って最大の衝撃を受けている
カートさんはあれからイリーナさんを射止め結婚して更に子供が出来たのだ。
「カートさん、パパになったんですね」
「まあな」
物凄く幸せそうな笑顔だ。
鼻の下が伸びきっているけど…
「イリーナさんも凄く幸せそう」
「ふふふ、すごーく幸せですよ」
し、幸せオーラが眩しすぎる…
何だか邪魔しちゃいけなくなってきたので帰ろうかな。
「妹さんにも宜しく伝えといてくださいね」
カートさんも幸せそうで良かった!
奥さんのことをママって呼ぶ人いるよね。
また今度会いに行こう。
そして俺はBARルミナスの場所を確認して家へ帰る。
明日から始まる調査隊任務。
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