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第71話 誠実
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一般人が城を自由に立ち入る事は出来ない。
しかし俺はこの場所に見覚えがある。
城内の訓練所は、マリアとの思い出の場所だ…
そこでマリアを待っている…
マリアから初めて基本魔法を教えてもらい、
そして休憩スキルを試して回復魔法を取得した…
それがなければ母上、俺も生きて帰れなかっただろう。
そしてここは戦場の地でもあった。
セシルとの死闘。
それも思えばマリアが隣にいたから頑張れた…
そして、いよいよマリアと護衛のキャロルが現れる。
マリアは公務を終えたばかりで綺麗な装いだ。
「マリア…」
「クリス…」
久しぶりのマリアは笑顔だ。
反してキャロルは、かなり機嫌が悪い。
「おかえり、クリス
やっと会えてうれしいよ…」
「マリア…
俺もまた君に会えて嬉しい…」
婚約の後すぐに出発を余儀なくされた。
俺にしか出来ないことだとしても、本当に腹正しかった…
「クリス…
陛下から聞きましたよ…
四天王を撃退したと…」
俺は無言で頷き返事をする。
確かにそうだか俺だけの力では無い…
「クリスは、どんどん離れていっちゃうな」
「え?」
マリアは笑顔だが少し寂しい表情を見せた。
一瞬だけ見せて、すぐに笑顔に切り替わる。
「クリスは何でも出来るもの…」
「そ、そんな事ない!」
俺は必死に否定する…
マリアがいなければ俺は…
ここにはいない…
「それと他に好きな人が出来たって本当?」
「うん…
でも、言い訳はしないよ…」
ここで言い訳をしては駄目だ…
マリアにもユーリにも失礼だ…
ありのままに話そう。
「マリア…
正直に全てを話す…
だから聞いてほしい…」
一つずつありのままに話していく…
フィリアと旅をしていたこと。
そして賢者と出会い黒騎士討伐のために過去に遡った…
そして、母上とユーリを救って帰ってきた…
「ここまでが俺の物語…」
「す、凄い…
賢者様も言ってたこと、本当なのね…」
俺は無言で頷いている…
隣のキャロルも信じられない顔をしている。
「俺はこの場所に来て、
改めて思ったよ…」
「え?」
「セシルとここで戦って、君を守って、
俺は何度だって君を救いたいんだって…」
マリアとキャロルは一瞬目を見開く。
そして、マリアは俺に一言告げる…
「………クリスが分からないよ」
「え?」
「どうして嘘をつくの?」
俺はマリアが何を言っているのか全く分からない…
俺はありのままを…
真実を話しているはずだ…
「覇王がルミナスにとって、
どれだけ大事なスキルか分かってる」
「……………」
「だからクリスに好きな人が出来ても、
それでも私は構わないって思ってた…」
マリアの瞳は徐々に潤んでしまう…
声も不安定になり掠れている。
「私はクリスがユーリさんを選んでも、
私を好きじゃなくても、
それでいいって思ってた…」
「マリア、何を言ってるのさ、
俺は君のこと…」
「信じられないよ……」
マリアは瞳に溜めた涙が溢れ出てしまい、
泣き出してしまう…
「マリア…」
「どうして嘘をつくの?」
「何を?」
「どうしてセシルと戦ったって、
嘘をついたの?」
俺はマリアの言ってることが理解できない…
一緒にセシルを倒したはずだ…
「セシルは私にとって大切な人なの
小さい頃から、
辛い時に寄り添ってくれた…」
「マリア、駄目だ!
セシルだけは危険なんだ!」
「大事な人を…
そんな風に言わないで」
マリアの頬を涙が落ちていく…
そして苦しそうな声をしている。
俺は選択を間違えたのかもしれない…
誠実に話そうと思ったが、俺は自分のことばかりでマリアの状況が全く見えていなかった…
「マリア!」
「本当は、信じたいよ…」
「でも、貴方は…」
「一度も私に好きって言ってない…」
俺はようやく全てを理解した。
ここは、母上が生き残った世界。
何か理由がありセシルは襲撃を避けたのだ。
そして襲ってきた賊を倒して俺は運良く覇王を開眼した。
セシルは、まだルミナスの剣聖として城内を自由に出入りしている…
そして転移魔法を使うシンの脅威もある。
俺は、一番隣で寄り添わなければならない瞬間にマリアを守ることが出来ない…
「マリア…」
衝撃の事実を聞き俺はまだ受け入れられないでいる。
そして俺は呆然と立ち尽くすことしか出来なかった…
しかし俺はこの場所に見覚えがある。
城内の訓練所は、マリアとの思い出の場所だ…
そこでマリアを待っている…
マリアから初めて基本魔法を教えてもらい、
そして休憩スキルを試して回復魔法を取得した…
それがなければ母上、俺も生きて帰れなかっただろう。
そしてここは戦場の地でもあった。
セシルとの死闘。
それも思えばマリアが隣にいたから頑張れた…
そして、いよいよマリアと護衛のキャロルが現れる。
マリアは公務を終えたばかりで綺麗な装いだ。
「マリア…」
「クリス…」
久しぶりのマリアは笑顔だ。
反してキャロルは、かなり機嫌が悪い。
「おかえり、クリス
やっと会えてうれしいよ…」
「マリア…
俺もまた君に会えて嬉しい…」
婚約の後すぐに出発を余儀なくされた。
俺にしか出来ないことだとしても、本当に腹正しかった…
「クリス…
陛下から聞きましたよ…
四天王を撃退したと…」
俺は無言で頷き返事をする。
確かにそうだか俺だけの力では無い…
「クリスは、どんどん離れていっちゃうな」
「え?」
マリアは笑顔だが少し寂しい表情を見せた。
一瞬だけ見せて、すぐに笑顔に切り替わる。
「クリスは何でも出来るもの…」
「そ、そんな事ない!」
俺は必死に否定する…
マリアがいなければ俺は…
ここにはいない…
「それと他に好きな人が出来たって本当?」
「うん…
でも、言い訳はしないよ…」
ここで言い訳をしては駄目だ…
マリアにもユーリにも失礼だ…
ありのままに話そう。
「マリア…
正直に全てを話す…
だから聞いてほしい…」
一つずつありのままに話していく…
フィリアと旅をしていたこと。
そして賢者と出会い黒騎士討伐のために過去に遡った…
そして、母上とユーリを救って帰ってきた…
「ここまでが俺の物語…」
「す、凄い…
賢者様も言ってたこと、本当なのね…」
俺は無言で頷いている…
隣のキャロルも信じられない顔をしている。
「俺はこの場所に来て、
改めて思ったよ…」
「え?」
「セシルとここで戦って、君を守って、
俺は何度だって君を救いたいんだって…」
マリアとキャロルは一瞬目を見開く。
そして、マリアは俺に一言告げる…
「………クリスが分からないよ」
「え?」
「どうして嘘をつくの?」
俺はマリアが何を言っているのか全く分からない…
俺はありのままを…
真実を話しているはずだ…
「覇王がルミナスにとって、
どれだけ大事なスキルか分かってる」
「……………」
「だからクリスに好きな人が出来ても、
それでも私は構わないって思ってた…」
マリアの瞳は徐々に潤んでしまう…
声も不安定になり掠れている。
「私はクリスがユーリさんを選んでも、
私を好きじゃなくても、
それでいいって思ってた…」
「マリア、何を言ってるのさ、
俺は君のこと…」
「信じられないよ……」
マリアは瞳に溜めた涙が溢れ出てしまい、
泣き出してしまう…
「マリア…」
「どうして嘘をつくの?」
「何を?」
「どうしてセシルと戦ったって、
嘘をついたの?」
俺はマリアの言ってることが理解できない…
一緒にセシルを倒したはずだ…
「セシルは私にとって大切な人なの
小さい頃から、
辛い時に寄り添ってくれた…」
「マリア、駄目だ!
セシルだけは危険なんだ!」
「大事な人を…
そんな風に言わないで」
マリアの頬を涙が落ちていく…
そして苦しそうな声をしている。
俺は選択を間違えたのかもしれない…
誠実に話そうと思ったが、俺は自分のことばかりでマリアの状況が全く見えていなかった…
「マリア!」
「本当は、信じたいよ…」
「でも、貴方は…」
「一度も私に好きって言ってない…」
俺はようやく全てを理解した。
ここは、母上が生き残った世界。
何か理由がありセシルは襲撃を避けたのだ。
そして襲ってきた賊を倒して俺は運良く覇王を開眼した。
セシルは、まだルミナスの剣聖として城内を自由に出入りしている…
そして転移魔法を使うシンの脅威もある。
俺は、一番隣で寄り添わなければならない瞬間にマリアを守ることが出来ない…
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