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第60話 反撃
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覇王の溢れる光が消えていくと、
目前にクラーケンが迫っていた…
そして大きな足が甲板へと振り払われる。
賢者はギリギリのところで結界魔法の発動に成功したが、衝撃までは抑えきれなかった。
「クレア!」
ゲイルが大声で叫ぶ。
クレアは、あまりの衝撃に見張り台から飛ばされてしまう。
船から海へ落ちる寸前でユーリがクレアを庇い、代わりにユーリが海へ落ちていく…
「ユーリ!!」
ユーリの決死の覚悟によってクレアは救われたが、クラーケンの嵐の魔法によりユーリを見失ってしまう…
悲鳴にも近いクレアの声が響く…
今にも助けに入ろうするクレアを、
ゲイルが必死に抑えている。
「ユーリ!」
クリスも条件反射に近い形で海に飛び込もうとしたが心の中で何者か分からない誰かに止められた。
姿を認識できていないが、メデューサの時と同じ呼びかけを再度体験した。
くそ……
何か無いのか…
ユーリを救う手が…
「そんなにあの子が心配?」
クリスに話しかけてきた人物は、
この船に乗る唯一の魔族、サリーだ。
サリーは、ユーリをそこまで心配する理由を見出せない。
「あの子には魔族の血が入ってる。
何故心配するの?」
「それは、ユーリが大切だからだ!」
「……………」
サリーは魔族であり、合理的な意志に基づき行動している。
敵の血を半分受け継いでいるユーリに肩入れする気持ちが全く分からない。
「裏切るかもしれない…」
「ユーリは、いつも真っ直ぐなんだ…
だから、絶対に嘘は付かない…」
「……でも、魔族の血が流れてる」
「魔族の血なんて関係ない!
俺は、ユーリを信じてる…」
真っ直ぐに目を向けて叫んでいるクリスに対して、サリーは驚いている。
魔族の血は関係ないと言い切る人を、
サリーは初めて見た。
「わ、分かったわよ…
でも、完全に信用したわけじゃない…
今はとりあえず信じてあげる…」
「え?」
「召喚よ…」
サリーはヒントを与える。
使い魔に許されたスキル、召喚。
必死に思考を張り巡らせると、そのスキルを使っていた人物を思い出した。
「早くしてあげな…」
クリスは無言で頷く…
そして、ユーリと繋がるように意識を集中させる。
ユーリをイメージして言葉を発していく。
「使い魔召喚…」
すると瞬く間に黒い渦が生まれ、
その渦からはびしょ濡れのユーリが現れた。
「「ユーリ!」」
クリスとクレアが共に叫ぶ。
そして、呼び出されると同時に激しく咳き込んで体内に入り込んだ水を吐き出している。
「ユーリ、良かった…
何とか無事だな…」
ユーリが生きていると分かり安堵した。
そしてクレアも駆け寄り、ユーリに抱きついている。
そしてクリスは、ユーリを救う事に無我夢中で忘れていた。
周りを見渡してみると、賢者が結界魔法を使ってクラーケンの攻撃を必死に凌いでいる。
「おい!そろそろ結界も限界だぞ」
結界魔法に亀裂が走る…
クリスは、結界が消えると同時に、
次こそは先手を打つと決意する。
先程は融合魔法で先手を打たれて、
全てが後手に回ってしまった…
「カートさん、ユーリを頼む…」
クリスは声を発すると同時に、
クラーケンの目前まで移動する。
そしてクリスの身体に覇王の光が溢れていく…
「くるぞ…」
賢者の声と共に結界がガラスのように割れた
その瞬間に、クリスはクラーケンに狙いを定めて最大火力の覇王の一撃を放った。
そして輝き溢れる覇王の一撃は、クラーケンに直撃して深傷を与えることに成功する。
「す、すごい…」
ゲイルは、未来からやって来た息子の実力を見て驚愕している…
「クレア!追撃しろ!」
賢者は、覇王の光が消え去るタイミングを狙い、クラーケンは再度攻撃してくると読んだ…
「分かっている…」
クレアも同じ考えだったようだ。
気づけば光の剣を上空に呼び出し、それを足場に移動する。
上空を走りながら、着地する瞬間だけ剣を呼び出した。
「ここが死角だ…」
クレアの戦い方は、神速で死角に入り光の剣で串刺しにする。
クレアの身体の周りに濃密な魔力が溢れていく…
「先程は牽制用の剣だ…
今度は存分に喰らうが良い…」
クレアは50本の光の剣を呼び出し、クラーケンの背中に向けて一斉に放つ。
クラーケンの急所に確実に入ったと誰もが実感した。
しかし、致命傷になりうる傷だったが、回復スキルを使いクラーケンの傷は回復してしまう。
「う、嘘だろ…」
カートは目の前の怪物に呆れ果てていた。
このレベルの攻撃を繰り返しても倒せないのであれば、自分の出る幕では無い。
それほどに規格外な存在だった。
そして怒り狂ったクラーケンは、
後方にいるクレアに狙いを定める。
その時賢者は、一瞬の隙を見逃さなかった。
即座に魔法の筒をクラーケンに投げたのだ。
魔法の筒の先端には針付きのアタッチメントが装着されている。
後ろを向いたクラーケンに突き刺さり、
魔法の筒は魔力を吸収していく。
「母上!」
クラーケンは、目が血走り怒り狂っている。
そしてクレアを標的にして突進をしてくるが、クレアは光の剣を呼び出し、
上空を走りながら必死に逃げていく。
「まずい、融合魔法を使われたら、
クレアが危ない…」
賢者は再度、融合魔法に警笛を鳴らす。
見ただけで一撃必殺の魔法だと理解した。
そしてクラーケンの身体の周りに濃密な魔力が溢れていく。
「クレア!」
ゲイルは、喉が切れるほどの大声で叫ぶ。
クレアに究極の危機が迫る。
その瞬間に再度、クリスを誰かが呼びかける。
そして【あるスキル】を使うように指示をされた。
ここで必ずスキルを使えと言われている?
何故か自分も使わなければ、後悔すると分かる…
「使い魔召喚…」
使い魔召喚は、自分の目の届く範囲であれば使い魔をワープさせられる。
「母上!ユーリを掴んでくれ!」
突如クレアの上空に現れるユーリ。
ユーリはクレアの元へ落下するが、
クレアは言われた通り抱き抱える。
「ユーリ!凍らせろ!」
そしてクラーケンが魔法を放ち、大きな竜巻が二人に向かってくる。
それに対して、ユーリはありったけの魔力を込めて最大威力の氷魔法を唱えた。
氷魔法Lv.6、サザンクロス。
絶対零度の冷気は、竜巻の方へ向かっていき、瞬く間にカチカチに凍らせた。
「今度はこっちの番だぞ…」
クリスの身体に覇王の光が溢れていく…
そしてクラーケンの背後めがけて放った。
油断していたのか、無防備だった背中に渾身の一撃が入る。
先程の一撃よりも感触はあったが、光が薄れていくとクラーケンは目前に迫りつつあった。
「二度同じ手は通用しないよ…」
クリスは神速スキルで助走をつけて、クラーケンめがけて飛び込んだ。
直接手で触れてクラーケンに魔力を送り込む。
そして魔力を送り終わると同時に、剣で突き刺し傷口にスキルを使用していく。
「最大火力を喰らいやがれ…」
螺旋の炎がクリスの身体の周りに現れる。
そして地獄の業火を直接クラーケンの体内に送り込むと魔物の鳴き声が海原に響く。
さらに、暴れ出す前にクラーケンを蹴り飛ばして船へと戻った。
するとクリスは魔力を使い切ったため、
子供の姿へと戻ってしまう…
「あんた達、畳み掛けるよ!」
まさに想像を絶する戦いが繰り広げられる。
海の支配者と呼ばれている通り、規格外だ。
しかし、この戦いを制さなければ未来へ帰れない。
そして海の支配者との決着をつけるのに、
一人の少女のスキルが大きく影響を及ぼしていく事になるとは誰も想像がつかなかった…
目前にクラーケンが迫っていた…
そして大きな足が甲板へと振り払われる。
賢者はギリギリのところで結界魔法の発動に成功したが、衝撃までは抑えきれなかった。
「クレア!」
ゲイルが大声で叫ぶ。
クレアは、あまりの衝撃に見張り台から飛ばされてしまう。
船から海へ落ちる寸前でユーリがクレアを庇い、代わりにユーリが海へ落ちていく…
「ユーリ!!」
ユーリの決死の覚悟によってクレアは救われたが、クラーケンの嵐の魔法によりユーリを見失ってしまう…
悲鳴にも近いクレアの声が響く…
今にも助けに入ろうするクレアを、
ゲイルが必死に抑えている。
「ユーリ!」
クリスも条件反射に近い形で海に飛び込もうとしたが心の中で何者か分からない誰かに止められた。
姿を認識できていないが、メデューサの時と同じ呼びかけを再度体験した。
くそ……
何か無いのか…
ユーリを救う手が…
「そんなにあの子が心配?」
クリスに話しかけてきた人物は、
この船に乗る唯一の魔族、サリーだ。
サリーは、ユーリをそこまで心配する理由を見出せない。
「あの子には魔族の血が入ってる。
何故心配するの?」
「それは、ユーリが大切だからだ!」
「……………」
サリーは魔族であり、合理的な意志に基づき行動している。
敵の血を半分受け継いでいるユーリに肩入れする気持ちが全く分からない。
「裏切るかもしれない…」
「ユーリは、いつも真っ直ぐなんだ…
だから、絶対に嘘は付かない…」
「……でも、魔族の血が流れてる」
「魔族の血なんて関係ない!
俺は、ユーリを信じてる…」
真っ直ぐに目を向けて叫んでいるクリスに対して、サリーは驚いている。
魔族の血は関係ないと言い切る人を、
サリーは初めて見た。
「わ、分かったわよ…
でも、完全に信用したわけじゃない…
今はとりあえず信じてあげる…」
「え?」
「召喚よ…」
サリーはヒントを与える。
使い魔に許されたスキル、召喚。
必死に思考を張り巡らせると、そのスキルを使っていた人物を思い出した。
「早くしてあげな…」
クリスは無言で頷く…
そして、ユーリと繋がるように意識を集中させる。
ユーリをイメージして言葉を発していく。
「使い魔召喚…」
すると瞬く間に黒い渦が生まれ、
その渦からはびしょ濡れのユーリが現れた。
「「ユーリ!」」
クリスとクレアが共に叫ぶ。
そして、呼び出されると同時に激しく咳き込んで体内に入り込んだ水を吐き出している。
「ユーリ、良かった…
何とか無事だな…」
ユーリが生きていると分かり安堵した。
そしてクレアも駆け寄り、ユーリに抱きついている。
そしてクリスは、ユーリを救う事に無我夢中で忘れていた。
周りを見渡してみると、賢者が結界魔法を使ってクラーケンの攻撃を必死に凌いでいる。
「おい!そろそろ結界も限界だぞ」
結界魔法に亀裂が走る…
クリスは、結界が消えると同時に、
次こそは先手を打つと決意する。
先程は融合魔法で先手を打たれて、
全てが後手に回ってしまった…
「カートさん、ユーリを頼む…」
クリスは声を発すると同時に、
クラーケンの目前まで移動する。
そしてクリスの身体に覇王の光が溢れていく…
「くるぞ…」
賢者の声と共に結界がガラスのように割れた
その瞬間に、クリスはクラーケンに狙いを定めて最大火力の覇王の一撃を放った。
そして輝き溢れる覇王の一撃は、クラーケンに直撃して深傷を与えることに成功する。
「す、すごい…」
ゲイルは、未来からやって来た息子の実力を見て驚愕している…
「クレア!追撃しろ!」
賢者は、覇王の光が消え去るタイミングを狙い、クラーケンは再度攻撃してくると読んだ…
「分かっている…」
クレアも同じ考えだったようだ。
気づけば光の剣を上空に呼び出し、それを足場に移動する。
上空を走りながら、着地する瞬間だけ剣を呼び出した。
「ここが死角だ…」
クレアの戦い方は、神速で死角に入り光の剣で串刺しにする。
クレアの身体の周りに濃密な魔力が溢れていく…
「先程は牽制用の剣だ…
今度は存分に喰らうが良い…」
クレアは50本の光の剣を呼び出し、クラーケンの背中に向けて一斉に放つ。
クラーケンの急所に確実に入ったと誰もが実感した。
しかし、致命傷になりうる傷だったが、回復スキルを使いクラーケンの傷は回復してしまう。
「う、嘘だろ…」
カートは目の前の怪物に呆れ果てていた。
このレベルの攻撃を繰り返しても倒せないのであれば、自分の出る幕では無い。
それほどに規格外な存在だった。
そして怒り狂ったクラーケンは、
後方にいるクレアに狙いを定める。
その時賢者は、一瞬の隙を見逃さなかった。
即座に魔法の筒をクラーケンに投げたのだ。
魔法の筒の先端には針付きのアタッチメントが装着されている。
後ろを向いたクラーケンに突き刺さり、
魔法の筒は魔力を吸収していく。
「母上!」
クラーケンは、目が血走り怒り狂っている。
そしてクレアを標的にして突進をしてくるが、クレアは光の剣を呼び出し、
上空を走りながら必死に逃げていく。
「まずい、融合魔法を使われたら、
クレアが危ない…」
賢者は再度、融合魔法に警笛を鳴らす。
見ただけで一撃必殺の魔法だと理解した。
そしてクラーケンの身体の周りに濃密な魔力が溢れていく。
「クレア!」
ゲイルは、喉が切れるほどの大声で叫ぶ。
クレアに究極の危機が迫る。
その瞬間に再度、クリスを誰かが呼びかける。
そして【あるスキル】を使うように指示をされた。
ここで必ずスキルを使えと言われている?
何故か自分も使わなければ、後悔すると分かる…
「使い魔召喚…」
使い魔召喚は、自分の目の届く範囲であれば使い魔をワープさせられる。
「母上!ユーリを掴んでくれ!」
突如クレアの上空に現れるユーリ。
ユーリはクレアの元へ落下するが、
クレアは言われた通り抱き抱える。
「ユーリ!凍らせろ!」
そしてクラーケンが魔法を放ち、大きな竜巻が二人に向かってくる。
それに対して、ユーリはありったけの魔力を込めて最大威力の氷魔法を唱えた。
氷魔法Lv.6、サザンクロス。
絶対零度の冷気は、竜巻の方へ向かっていき、瞬く間にカチカチに凍らせた。
「今度はこっちの番だぞ…」
クリスの身体に覇王の光が溢れていく…
そしてクラーケンの背後めがけて放った。
油断していたのか、無防備だった背中に渾身の一撃が入る。
先程の一撃よりも感触はあったが、光が薄れていくとクラーケンは目前に迫りつつあった。
「二度同じ手は通用しないよ…」
クリスは神速スキルで助走をつけて、クラーケンめがけて飛び込んだ。
直接手で触れてクラーケンに魔力を送り込む。
そして魔力を送り終わると同時に、剣で突き刺し傷口にスキルを使用していく。
「最大火力を喰らいやがれ…」
螺旋の炎がクリスの身体の周りに現れる。
そして地獄の業火を直接クラーケンの体内に送り込むと魔物の鳴き声が海原に響く。
さらに、暴れ出す前にクラーケンを蹴り飛ばして船へと戻った。
するとクリスは魔力を使い切ったため、
子供の姿へと戻ってしまう…
「あんた達、畳み掛けるよ!」
まさに想像を絶する戦いが繰り広げられる。
海の支配者と呼ばれている通り、規格外だ。
しかし、この戦いを制さなければ未来へ帰れない。
そして海の支配者との決着をつけるのに、
一人の少女のスキルが大きく影響を及ぼしていく事になるとは誰も想像がつかなかった…
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