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第4話
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俺と洋と七海さんは地元に帰ると同棲を始めた。親にも周りにも正式に「付き合っている」と公表した。七海さんの事を説明するのは困難なため、「洋と付き合っている」となっている。仕方がない。周りは祝福してくれた。
友だちの間では「洋はなんとなくそんな気はしたが、陽斗は意外だ」と囁かれていた。
そんな噂話は俺は全く気にしなかった。
俺と七海さんの愛の巣に洋が居候していることも、全く気にしなかった。
しかし、今の洋は坂東先生と(七海さんが)別れた事によるショックで自分の事は考えられないだろうが、その内立ち直れば愛する男を求めると思う。
そうなったらそうなったで、その時相談だな。
僕は七海さんと一生一緒に生きていくことは、既に自分を納得させていた。何しろ僕の巻き添えで七海さんの体は死んだのだ。そして七海さんが陽斗を愛するのなら、これからの人生、3人で生きていく覚悟を決めていた。帰りの飛行機の中で。
陽斗なら坂東先生のようにはならないと信じている。何しろ僕と陽斗は幼馴染であり親友だ。
陽斗といる時は七海さんに僕の体を譲るようにした。特に二人でベッドに入る時は、俺は眠るようにしている。
頭の中で「じゃあ、おやすみ」と七海さんに言って、その後はもしも起きていたとしても礼儀として寝たふりをしていた。
飛行機の中でしたように。
◇◇◇◇◇
あれから1年がたった。
僕は両親にカミングアウトをした。
陽斗も一緒に立ち会ってくれた。
「実は、女性より男性が好きなんです」
両親はポカンとして「今更何を言ってるんだ。陽斗と1年前から付き合っているじゃないか」
陽斗の方を見ながら言った。
当然の反応だった。
「いや、実は陽斗と付き合っているのは僕の中の七海さんで、僕ではないんだ」
頭の中では七海さんも僕の話を聞いている。
「僕が知らなくて、七海さんだけ知っていることはない?全部わかるから」
両親は自分の息子ながら少し憐れんだ目で僕を見ていた。
そして少し頭がおかしくなった僕に付き合うように「じゃあ、七海さんを家庭教師として来てもらうときに話した内容で、、、」
すべての質問に正確に答えた。
頭の中で七海さんが思い出しながら答えてくれ、僕がそれを両親に伝えた。
両親の知らない七海さんの高校生時代の施設での暮らしぶりも話した。
「施設の本間先生に聞いてみて」と言った。
本間先生は七海さんが死んだ時、母親が泣きすがって謝っていた施設の先生だ。
僕は「七海さんに替わるね」と言った。
「お母さん、お久しぶりです」
いつもの七海さんの言い方だ。
「洋くんの体に寄生してしまって申し訳ありません」
七海さんの仕草を見ているうちに「本当に七海さんなの?」
まず、母親が少しだけ信じ始めた。
そして「七海さん、ごめんなさい。洋を許してやって」と僕の体にすがりながら言った。
「寄生してるのは恨んでの事ではないのですが、私にもなぜだかわからないのです」
七海さんは少し困ったように説明をした。
そして僕と代わり、この1年の事を詳しく説明した。ようやく父親もこの不思議な話を信じる気になったようだ。
友だちの間では「洋はなんとなくそんな気はしたが、陽斗は意外だ」と囁かれていた。
そんな噂話は俺は全く気にしなかった。
俺と七海さんの愛の巣に洋が居候していることも、全く気にしなかった。
しかし、今の洋は坂東先生と(七海さんが)別れた事によるショックで自分の事は考えられないだろうが、その内立ち直れば愛する男を求めると思う。
そうなったらそうなったで、その時相談だな。
僕は七海さんと一生一緒に生きていくことは、既に自分を納得させていた。何しろ僕の巻き添えで七海さんの体は死んだのだ。そして七海さんが陽斗を愛するのなら、これからの人生、3人で生きていく覚悟を決めていた。帰りの飛行機の中で。
陽斗なら坂東先生のようにはならないと信じている。何しろ僕と陽斗は幼馴染であり親友だ。
陽斗といる時は七海さんに僕の体を譲るようにした。特に二人でベッドに入る時は、俺は眠るようにしている。
頭の中で「じゃあ、おやすみ」と七海さんに言って、その後はもしも起きていたとしても礼儀として寝たふりをしていた。
飛行機の中でしたように。
◇◇◇◇◇
あれから1年がたった。
僕は両親にカミングアウトをした。
陽斗も一緒に立ち会ってくれた。
「実は、女性より男性が好きなんです」
両親はポカンとして「今更何を言ってるんだ。陽斗と1年前から付き合っているじゃないか」
陽斗の方を見ながら言った。
当然の反応だった。
「いや、実は陽斗と付き合っているのは僕の中の七海さんで、僕ではないんだ」
頭の中では七海さんも僕の話を聞いている。
「僕が知らなくて、七海さんだけ知っていることはない?全部わかるから」
両親は自分の息子ながら少し憐れんだ目で僕を見ていた。
そして少し頭がおかしくなった僕に付き合うように「じゃあ、七海さんを家庭教師として来てもらうときに話した内容で、、、」
すべての質問に正確に答えた。
頭の中で七海さんが思い出しながら答えてくれ、僕がそれを両親に伝えた。
両親の知らない七海さんの高校生時代の施設での暮らしぶりも話した。
「施設の本間先生に聞いてみて」と言った。
本間先生は七海さんが死んだ時、母親が泣きすがって謝っていた施設の先生だ。
僕は「七海さんに替わるね」と言った。
「お母さん、お久しぶりです」
いつもの七海さんの言い方だ。
「洋くんの体に寄生してしまって申し訳ありません」
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まず、母親が少しだけ信じ始めた。
そして「七海さん、ごめんなさい。洋を許してやって」と僕の体にすがりながら言った。
「寄生してるのは恨んでの事ではないのですが、私にもなぜだかわからないのです」
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そして僕と代わり、この1年の事を詳しく説明した。ようやく父親もこの不思議な話を信じる気になったようだ。
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