七海さん

ホットサン

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第3話

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翌朝は七海さんと一緒に出勤をした。
頭の中の洋くんは諦めモードだと言う。
七海さんは洋くんでなく、俺を選んだ。
洋くんに勝ったのだ。
七海さんに聞こえない所で「道川先生、恨まないでくれ」と囁いた。
七海さんは洋くんのふりをして、周りに振る舞った。
洋くんが医大で勉強した内容も、実習した事も全て七海さんは吸収しており、器用にこなした。
病院では七海さんのことを「洋くん」と呼んでいる。
七海さんもさすがに洋くんとずっと一緒だったので、仕草や話し方など上手に真似ている。
二人になると「周りにバレてないかな?」と心配そうに聞くので「大丈夫そうだ。誰も洋くんが七海さんだとは気づいてないよ」と答えると安心していた。

◇◇◇

その日は坂東先生は学会で一泊出張だった。
久々に幼馴染で大学の友だちでもある陽斗とゴハンを食べに行った。
2人でビールを飲みながら仕事の愚痴を言ったりして楽しく過ごした。ここは陽斗が好きでよく来る店と言われ連れてこられた。
なかなか良い店だ。お通しが辛いキムチだったことを除いては、満足のいく居酒屋だ!
「そう言えば洋、同僚の可愛い先輩とはどうなった?」と聞かれた。陽斗は僕がゲイだと言うことも知っていて、LINEで頻繁に近況を報告しているのだ。
僕は坂東先生とのプライベートツーショットを見せ「今、付き合ってんだ」と言った。
「すごいじゃん、おめでとう。相手はノンケだからムリだって言ってたのに!その先生もゲイだったのか?」と聞かれたが、答えははぐらかし「ビールお代わりください」と店員に注文した。
陽斗は気がついたみたいだ。
「あれ、七海さんは相変わらず、酒強いですねぇ」と言った。

第3話 END
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