七海さん

ホットサン

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第3話

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僕は「シャワーしてきます」と言ってバスルームに行った。
(友だちが夜中に来た。僕が裸で坂東先生のベッドにいた。どういうシチュエーションだ?)バスルームで体中を確認したが、なにかされた跡はない。
(坂東先生はゲイ?これからどういう展開になるか?)
僕はよくわからなくなり、シャワーを一番強くして頭からかぶった。(でも、もしそうならば)そう考えると、口元が緩み、色々と妄想をしてドキドキしていた。
(でも、夜中に目が覚めるとき誰か女性が逃げていく気がしたんだよ、僕は!)
またわからなくなった。


その日の夜、七海さんは11時過ぎに現れた。
「洋くんは坂東先生がゲイじゃないかと疑ってるみたい。あと、逃げていく私を感じたようなの」と言った。
「あのまま七海さんが逃げずに洋くんの体の中に居続けたらどうなっていたのですか?」と聞くと、「初期の頃、私も状況が理解できずにそうなってしまったことがあったんだけど」七海さんはビールを一口飲み続けた。
「私の頭の中で“お前は誰だ”って洋くんの声が聞こえるの。昨日は洋くんの意識がボヤッて感じたから慌てて逃げたのだけど」
と言った。
「じゃあ、洋くんが目覚めても、七海さんは七海さんのままなんだ」と聞くと、「そうなの、私のほうが洋くんより優先されるみたいなの」と言った。
考えてはいけないことが俺の頭をよぎった。
そんなわがままなこと、自分勝手なことを口にするのは憚れたが、言わずにはいられなかった。
「それならば、洋くんが起きても七海さんのままでいてほしい。ずっと七海さんのままで」
俺は七海さんを抱き寄せ、ゴツゴツした胸に顔を埋めて言った。
「そんなことしたら洋くんの人生が、、」
俺は七海さんの唇に俺のを重ねた。
そして「あなたとずっと、ずっと一緒に居たいんだ」と言って七海さんを抱きしめた。「もう帰さない、このまま一緒に朝を迎えよう」
その日、俺は七海さんを抱いた。
今まで何人かの女性を抱いてきたが、体の作りが違っていた。見慣れた作りだ。しかし、それが七海さんの個性だと思い、それも含めて愛した。七海さんも俺を愛してくれた。
そして、朝まで七海さんのままでいてくれた。
「洋くんは起きたの?」と聞くと、少し悲しそうに「うん」と頷くと、涙目になって「頭の中で洋くんが騒いでいたけど、一生懸命謝ったら静かになって途方にくれているの」と答えた。
俺は七海さんを優しく抱きしめ「頼むからこのまま七海さんのままで居てくれ」と改めてお願いした。
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