七海さん

ホットサン

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第2話

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俺はその日の夜、洋の家にお泊りに行った。幼稚園から一緒で家も近所なので、よくお互いの家に「お泊り」をしに行っていた。特に洋は一人っ子なので、俺がお泊りに行くと「賑やかになって嬉しい」と洋の両親も言ってくれた。
洋が俺の家に来ることはほとんどなくなったが、俺は未だに洋の家にお泊まりに行っている。特に高校生の時の(あのこと)があってからは頻度も増していた。

洋は寝るのが早い。
俺は毎日1時くらいまで起きていてオンラインゲームをやっているが、洋は11時には寝てしまう。
だから俺も洋の家へお泊りに行くときは健康的に早寝だった。
しかし、(あのこと)以後はちょっと違った。
洋のベッドの横に布団を敷いて、暗くして布団に入っていると、そのうち洋の寝息が聞こえてきた。(もうそろそろだな)と思っていると、洋はムクッと起き上がり「陽斗君、久しぶり」と七海さんが起きてきた。

俺が(あのこと)以降頻繁に洋の家へお泊りに来ているのは、当然洋が心配だったし洋の母親からも頼まれていたのだが、七海さんと話すのが楽しかった。
しかし七海さんはほとんど洋の事を話した。
洋に嫉妬することもあった。
でも仕方がないことだ。
七海さんは洋が考えることはすべて把握できるので、また洋が(あのこと)を繰り返す事が無いように、洋の気持ちを俺に伝えてくれる。そして朝方まで話し「洋を頼むわね」と言って眠りにつくのが、お泊りの日のパターンになっている。

早速、俺は七海さんに「柳川のことなんだけど」と聞いた。
七海さんは「あの子イケメンよねー」と興奮しながら言った。
俺は柳川にも嫉妬した。
「洋はアイツを好きじゃないのか、誘っても今ひとつ乗ってこないんだ。洋は人見知りだけど、今までは俺が仲良くなったやつは大抵受け入れて一緒に遊んでたんだけど」
と説明すると、七海さんは少し呆れたふうに「あんた洋君の親友なのに、そんな事もわからないの?」と聞かれた。
ショックだった。
少しだけ俺が悲しそうな顔をしたのを見て七海さんは「ハッ」として、「ゴメンゴメン冗談言い過ぎた」と謝った。
そして「嫉妬とヤキモチよ」と教えてくれた。

俺の顔に書いてある「???」を読み取り、七海さんは説明してくれた。
「まず、いつも一緒にいた陽斗君を取られたことによるヤキモチよ」
と言った。
「でも今までだって俺が仲良くなったやつは一緒に遊んでたぞ?」
と反論すると「今までは3人だったでしょ?今回は学部が違うから洋君だけ仲間外れ感があるのよ」と言った。
なるほど、「3人で」とは言っても、今までより俺とその友達(柳川)が2人で居ることが多いのだ。
「それから」
七海さんは俺を見て言った。「陽斗君に対する嫉妬よ」
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