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第5話 YADU
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「……八津さん? 八津さんってば!」
ハッと目を覚ますと、八津は居酒屋のカウンター席に座っていた。
「もう、みんなお座敷で飲んでるのに八津さんだけぼっちじゃないですかあ、よくないですよ、そういうの」
会社の後輩の、確か、百舌鳥という変わった名前の女の子が八津に話しかけている。
「ほっといてくれよ、一人で飲みたい気分なんだから」
「ご家族の関係が上手くいってないって聞きましたけど、みんなでワーッと飲んで騒いだら、どうでもよくなりますって」
「そんなことしたって、何も解決はしないんだから」
投げやりな八津の腕を、百舌鳥が掴んでグイっと引く。
「ダメですよ! 今日は夜通し飲んで飲んで酔い潰れちゃいましょう!」
大きな胸が手に触れた瞬間、八津は何だかどうでもよくなった。
何か大切な、重大なことをやったような、また忘れているような、妙な気持ちを抱えながら参加した忘年会の、宴酣となったその時、八津の頭と心の中からすっかり妙な気持ちは消え去ってしまって、その夜の大騒ぎは八津を中心に、いつまでもいつまでも続いていくのだった。
ハッと目を覚ますと、八津は居酒屋のカウンター席に座っていた。
「もう、みんなお座敷で飲んでるのに八津さんだけぼっちじゃないですかあ、よくないですよ、そういうの」
会社の後輩の、確か、百舌鳥という変わった名前の女の子が八津に話しかけている。
「ほっといてくれよ、一人で飲みたい気分なんだから」
「ご家族の関係が上手くいってないって聞きましたけど、みんなでワーッと飲んで騒いだら、どうでもよくなりますって」
「そんなことしたって、何も解決はしないんだから」
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大きな胸が手に触れた瞬間、八津は何だかどうでもよくなった。
何か大切な、重大なことをやったような、また忘れているような、妙な気持ちを抱えながら参加した忘年会の、宴酣となったその時、八津の頭と心の中からすっかり妙な気持ちは消え去ってしまって、その夜の大騒ぎは八津を中心に、いつまでもいつまでも続いていくのだった。
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