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任天堂法務部はいつ動くか ~株式会社ポケットペアに関する私見~
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『パルワールド』が人気である。
株式会社ポケットペアより2024年1月19日にリリースされたゲームだが、リリース3日で400万本以上売れたという。
一方、世間では「パクリゲー」などと称されている本作。
自称”中級ゲーマー”である私は気になって色々調べてみた。すると・・・
○『パルワールド』だけじゃなかった話
開発元の株式会社ポケットペアの公式ホームページを見にいったら、『クラフトピア』というゲームを2020年9月4日にリリースしていると知った。
『パルワールド』と『クラフトピア』、両方の紹介動画を確認したのだが・・・まあ酷いもんで(笑)
私、あんまり人や作品に対して「酷い」は使わないがこれは酷いとしか言いようがない。
両作品に共通する類似作として挙げられるのは、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、『Pokémon LEGENDS アルセウス』、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』、『Fortnite』辺りか。他にもあると思われるが、要は既存ゲームの継ぎ接ぎである。
とくに「ポケモン」をよく知っている人ならば、「あ、プリンにルカリオにギャラドスにウールー・・・」等々、既存のポケモンに類似した”別の何か”を目の当たりにすることになる。さらに酷いのは、それら”別の何か”を捕獲するのに使う道具も、モンスターボールに類似した”別の何か”なのだ。
○『白猫プロジェクト』訴訟を例に考察する
『白猫プロジェクト』は株式会社コロプラから配信されているAndroid・iOS用ゲームアプリで、初リリースは2014年7月14日。2021年11月29日配信のバージョンより、タイトルを『白猫プロジェクト NEW WORLD'S』と改題している。
ご記憶の方もおられるかもしれないが、2017年12月22日、任天堂はコロプラに対し本作に関する特許権侵害があるとして訴訟を起こしている。結果的に2021年8月4日、コロプラが和解金33億円を支払い和解が成立した。
この時争われた特許権侵害は追加分を含めて6件。Yahoo!ニュースの過去記事(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b2b8c8845ef17803158cd59d26caba6a90aada28)および(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7bc5477c0008cd231701e58bbe207985e93b4214)で、栗原潔氏(弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授 ※当時)が、一部詳しく解説しておられましたので引用させていただきます。
「自キャラを操作して敵キャラに近づいた時に操作を解除(典型的にはタッチスクリーンから指やペンを離す)した時に、敵キャラに十分近い時には自動的に攻撃等を開始するという操作方法の特許」(UI特許)
「通信ゲームで相互に登録済のユーザーとしかゲームをしないという制限をかけるという特許」
「プレイヤーのキャラが物体の影に隠れた時の表示方法で(中略)プレイヤーが影に隠れていることを示す目印を表示するというもの」
栗原氏いわく、「任天堂の特許ポートフォリオの「キラー」ぶりは半端ないという印象」だそうです。
特許ポートフォリオとは、複数件の特許権により製品やサービスに対する参入障壁を法的に作っていく方法で、1件の特許だけならばそれを無効化、または迂回しようとする企業が現れる、それを防ぐための方法だということです。
さて、『クラフトピア』や『パルワールド』に特許権侵害があるかどうかは、任天堂が実際にプレイしてみなければわかりません。素人目にはどちらかというと、著作権侵害に該当しそうな例がある感じはしますが。
ところで、任天堂は2016年9月からコロプラに対し、特許権侵害があると指摘していましたが、コロプラは1年間にわたり侵害を否定、その後の折り合いもつかなかったため、任天堂は2017年12月22日、訴訟に踏み切ったといいます。
『白猫プロジェクト』の初リリースが2014年7月14日ですので、約2年後に「侵害してるよ」と指摘していることになる。
『クラフトピア』の初リリースが2020年9月4日ですので、同作に何らかの侵害があると任天堂が認めていた場合、すでにポケットペアに対して指摘が入っていると考えられます。
そして、『パルワールド』のリリース(2024年1月19日)です。
仮に両作に何らかの侵害があると任天堂が認めた場合、両作まとめて訴訟を起こすと考えられますので、時期としては再来年以降になるでしょうか。
○いちクリエーター、いちゲームユーザーの立場から
今回、色々調べていて一番面白いと思ったのが、転職サイトGreenに掲載されている、株式会社ポケットペア代表取締役社長に対するインタビュー記事である。少し長いが引用する。
「ゲーム作りで大事なのは「観察力」。ファミコン時代なら全く新しい創造的なゲームを生み出す余地も沢山あったでしょうが、今は数多のゲームタイトルが色んなゲーム機やデバイスで楽しめるようになっており、見たこともないゲームを作るよりも既出のゲームをしっかり観察・分析して、ヒットするための要素を抽出、それを複数組み合わせることでユーザーが満足するゲームを作ることができます。ヒット作を作るために、先人が切り開いてくれた道があります。売れたゲームをしっかり観察して、自分が作るゲームに生かす。これが売れるゲームの作り方です」
私はこれを読んだ時、「なるほど、そういうことか」と、いろいろ合点がいくとともに唸ってしまった。
ゲームと小説、媒体は違えど、いちクリエーターの立場から言わせてもらうと、『クラフトピア』にも『パルワールド』にも創造性(オリジナリティー)はなく、既存作品の継ぎ接ぎに終始している。
仮にもクリエーターならば、換骨奪胎する努力を怠ってはならない。「模倣力」ばかり磨いていても成長は見込めない。
また、いちゲームユーザーの立場から言わせてもらうと、このような”イロモノ”に手を出すことは決して賢明なことではない。
株式会社ポケットペアより2024年1月19日にリリースされたゲームだが、リリース3日で400万本以上売れたという。
一方、世間では「パクリゲー」などと称されている本作。
自称”中級ゲーマー”である私は気になって色々調べてみた。すると・・・
○『パルワールド』だけじゃなかった話
開発元の株式会社ポケットペアの公式ホームページを見にいったら、『クラフトピア』というゲームを2020年9月4日にリリースしていると知った。
『パルワールド』と『クラフトピア』、両方の紹介動画を確認したのだが・・・まあ酷いもんで(笑)
私、あんまり人や作品に対して「酷い」は使わないがこれは酷いとしか言いようがない。
両作品に共通する類似作として挙げられるのは、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』、『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』、『Pokémon LEGENDS アルセウス』、『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』、『Fortnite』辺りか。他にもあると思われるが、要は既存ゲームの継ぎ接ぎである。
とくに「ポケモン」をよく知っている人ならば、「あ、プリンにルカリオにギャラドスにウールー・・・」等々、既存のポケモンに類似した”別の何か”を目の当たりにすることになる。さらに酷いのは、それら”別の何か”を捕獲するのに使う道具も、モンスターボールに類似した”別の何か”なのだ。
○『白猫プロジェクト』訴訟を例に考察する
『白猫プロジェクト』は株式会社コロプラから配信されているAndroid・iOS用ゲームアプリで、初リリースは2014年7月14日。2021年11月29日配信のバージョンより、タイトルを『白猫プロジェクト NEW WORLD'S』と改題している。
ご記憶の方もおられるかもしれないが、2017年12月22日、任天堂はコロプラに対し本作に関する特許権侵害があるとして訴訟を起こしている。結果的に2021年8月4日、コロプラが和解金33億円を支払い和解が成立した。
この時争われた特許権侵害は追加分を含めて6件。Yahoo!ニュースの過去記事(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/b2b8c8845ef17803158cd59d26caba6a90aada28)および(https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/7bc5477c0008cd231701e58bbe207985e93b4214)で、栗原潔氏(弁理士 知財コンサルタント 金沢工業大学客員教授 ※当時)が、一部詳しく解説しておられましたので引用させていただきます。
「自キャラを操作して敵キャラに近づいた時に操作を解除(典型的にはタッチスクリーンから指やペンを離す)した時に、敵キャラに十分近い時には自動的に攻撃等を開始するという操作方法の特許」(UI特許)
「通信ゲームで相互に登録済のユーザーとしかゲームをしないという制限をかけるという特許」
「プレイヤーのキャラが物体の影に隠れた時の表示方法で(中略)プレイヤーが影に隠れていることを示す目印を表示するというもの」
栗原氏いわく、「任天堂の特許ポートフォリオの「キラー」ぶりは半端ないという印象」だそうです。
特許ポートフォリオとは、複数件の特許権により製品やサービスに対する参入障壁を法的に作っていく方法で、1件の特許だけならばそれを無効化、または迂回しようとする企業が現れる、それを防ぐための方法だということです。
さて、『クラフトピア』や『パルワールド』に特許権侵害があるかどうかは、任天堂が実際にプレイしてみなければわかりません。素人目にはどちらかというと、著作権侵害に該当しそうな例がある感じはしますが。
ところで、任天堂は2016年9月からコロプラに対し、特許権侵害があると指摘していましたが、コロプラは1年間にわたり侵害を否定、その後の折り合いもつかなかったため、任天堂は2017年12月22日、訴訟に踏み切ったといいます。
『白猫プロジェクト』の初リリースが2014年7月14日ですので、約2年後に「侵害してるよ」と指摘していることになる。
『クラフトピア』の初リリースが2020年9月4日ですので、同作に何らかの侵害があると任天堂が認めていた場合、すでにポケットペアに対して指摘が入っていると考えられます。
そして、『パルワールド』のリリース(2024年1月19日)です。
仮に両作に何らかの侵害があると任天堂が認めた場合、両作まとめて訴訟を起こすと考えられますので、時期としては再来年以降になるでしょうか。
○いちクリエーター、いちゲームユーザーの立場から
今回、色々調べていて一番面白いと思ったのが、転職サイトGreenに掲載されている、株式会社ポケットペア代表取締役社長に対するインタビュー記事である。少し長いが引用する。
「ゲーム作りで大事なのは「観察力」。ファミコン時代なら全く新しい創造的なゲームを生み出す余地も沢山あったでしょうが、今は数多のゲームタイトルが色んなゲーム機やデバイスで楽しめるようになっており、見たこともないゲームを作るよりも既出のゲームをしっかり観察・分析して、ヒットするための要素を抽出、それを複数組み合わせることでユーザーが満足するゲームを作ることができます。ヒット作を作るために、先人が切り開いてくれた道があります。売れたゲームをしっかり観察して、自分が作るゲームに生かす。これが売れるゲームの作り方です」
私はこれを読んだ時、「なるほど、そういうことか」と、いろいろ合点がいくとともに唸ってしまった。
ゲームと小説、媒体は違えど、いちクリエーターの立場から言わせてもらうと、『クラフトピア』にも『パルワールド』にも創造性(オリジナリティー)はなく、既存作品の継ぎ接ぎに終始している。
仮にもクリエーターならば、換骨奪胎する努力を怠ってはならない。「模倣力」ばかり磨いていても成長は見込めない。
また、いちゲームユーザーの立場から言わせてもらうと、このような”イロモノ”に手を出すことは決して賢明なことではない。
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