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嘆きの館

8話 闇の謀略

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 その夜、屋敷の裏に、ランプを持ったジョンがやってきました。
「さて・・・手紙には、ここでアリスが待っているって書いてあったけど・・・?」辺りは真っ暗で、見回しても誰もいません。

「アリス、アリスはどこだい?」ジョンが何度か呼びかけますが、返事がありません。

 そうやって、ジョンが恐る恐る歩いていて、目の前に人の気配を感じ、ジョンがランプをかかげると、目の前に、野獣やじゅうの様な目つきで彼を見据みすえているゴルドンが仁王におうちしていたのです。

「だ・・・誰だい!?」
「オレはサーベル・ゴルドン!アリスの許嫁だよ!」
「なんだって!?」
「貴様!たかが平民の分際で、貴族に近づくとはな!貴様に身のほどという物をわきまえさせてやる!」

 ゴルドンは曲がった刀身のカトラス(西洋刀の一種)を抜き、おびえるジョンを切り捨てようとすると、それが振り下ろされるよりも早く、何者かが真横から飛来し、ジョンをかっさらったのです。

「貴様・・・!?あの時のメイドか!?」
「ジョンには指一本触れさせぬ!」リリスは両拳をかまえて、ゴルドンの前に立ちはだかります。

「貴様!ジャマをするなら、貴様から!?」これに、リリスはフンと鼻を鳴らしてあざ笑うように言い放ちました。
「お主、丸腰まるごしのおなごを相手に刀を使うのか?よほど妾が怖いのだな?!アハハハハッ!」

 リリスの挑発ちょうはつに、ゴルドンの頭には一気に血が上ったのです。
「なんだとゴラァ!やってやるぜ!」

 ゴルドンは刀をしまい、太い腕でリリスになぐりかかってきました。しかし、リリスはあわてることなく、軽く上体をそらしてゴルドンのパンチをかわし、間髪入れずにヤツの顔面にパンチを打ち込みました。

「うぐぅ・・・!」予想外の衝撃しょうげきにゴルドンは鼻っ柱をおさえ、うずくまります。
「なんじゃ?もう終わりかの?」
「この・・・クソアマァ!」

 ゴルドンはいきり立ってやたら腕を振り回しますが、いずれもリリスに軽くかわされては腹に何度もパンチを浴びせられ、うずくまったところで、横っ面に回しりを叩き込まれ、その場でのびてしまったのです。リリスはふーっと一息ついて、両手を払います。

「つ・・・強い!」ジョンはあっけにとられていると、リリスがかけよってきます。
「お主、ケガはないかの?」
「大丈夫だよ、ありがとう」そこに、女主人が現れました。

「リリスさん!どういうつもり!?」これに、リリスはキッと女主人を見据えて叫びました。
「それはこっちのセリフじゃ!何の罪もない者を、そっちの勝手な都合で殺すなど、人の風上にもおけぬ!」
「なんですって!使用人の分際で、私に口ごたえするなんて・・・!」そこに、アリスがやってきました。

「ジョン!お母さま、これは一体・・・!?」
「アリス!何でここにいるの!?」
「リリスさんに呼ばれてきたんです・・・!」すると、気が付いたゴルドンがゆっくりと立ち上がります。
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