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虹色市誕生

9話 ゴルドン一家の正体

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 すぐるとテイルはゴルドンのテントの裏手へと回りました。よく見ると、何者かがテントをめくって潜入せんにゅうした跡があります。

「おそらく、リリスはここからテントにもぐり込んだみたいだね、行こう!」
「さすがリリスのパートナーね、そういう事もわかるのね」

 二人がテントの中を見ると、そこには、子供や獣人、魔族が閉じ込められているオリがいくつもあり、毛皮や象牙などの大量の密猟品みつりょうひん雑然ざつぜんと置かれていました。

「どうやら、アイツらが闇商人なのは本当みたいね・・・かわいそうに、こんなにやせて・・・!」テイルは涙目なみだめでオリの中にいる子供の手を取ってつぶやきました。

「・・・あっ!リリス!」すぐるはリリスが閉じ込められているオリにかけよります。
「ああ・・・!すぐる、来てくれたのか!」リリスの顔がパッと輝きます。

「今から出してあげるよ、下がって!」すぐるがオリに爆発魔法を使いますが、オリは壊れません。
「そんな!」そんな時、すぐるとテイルの周りが明るくなり、二人は振り向きます。

「やはり来ましたか・・・!」ゴルドン伯爵が、ジャックとクイーンをひきいて仁王立ちしています。

「やっぱりアンタたち闇商人ね!?さぁ、痛い目にあいたくないなら、みんなを解放しなさい!」テイルが叫びますが、ゴルドンたちはすずしい顔です。

「それはできませんな、せっかく捕らえた商品をみすみす逃がすなんて、獣人はいい見世物になりますし、魔族のどくは薬の材料として高値たかねが付きますからね」これに、テイルは怒りで体をふるわせています。

「アンタたち・・・それでも血が通っているの・・・!?」
「そちらこそ、まさか暴力で解決する気ですか?それでも文明人なのですか?」ゴルドンたちはヘラヘラ笑います。

「何が文明人よ!?こんなことをする連中がよく言うわ・・・!」テイルが拳を震わせていると、ゴルドン伯爵が言いました。

「もし私と勝負して、勝てたのなら、皆さんを解放しましょう、しかしあなた方が負ければ、あなたたちの身柄みがらと身ぐるみは私たちの物です!どうですか!?」
「勝負ですって!?」

「はい、二つのコップのどれに一枚のコインが入っているかを当てるゲームです。三回連続で当てれば、あなたたちの勝ちですよ、いかがですか?」これに、すぐるは言いました。

「わかりました、受けて立ちましょう!」これにテイルは耳をうたがいます。
「ちょっと!こんな連中にまともな手は通じないわよ!」これに、すぐるは言いました。

「大丈夫、ぼくに手がある!」これに、ゴルドン伯爵はニヤリと笑います。
「決まりですね、さぁ、こちらへどうぞ」
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