49 / 81
虹色市誕生
7話 闇商人
しおりを挟む
すぐるとリリスがデモニック島に移り住んで早、一か月以上になり、港の周りには石の壁と木の屋根で出来た移民たちの家々が出来てきて、その周りを人間の移民たちが行きかっています。
「ここもだいぶ町らしくなったね」
「そうじゃな、大部分は人間の移民じゃが」昼下がり、すぐるとリリスは今日も灯台の灯火室のテーブルで話しています。そこに、ワトソンとビルの二人がやってきました。
「すぐる兄ちゃん、いる?」
「リリス姉ちゃん、遊ぼ!」
「ああ君たちは、すっかり元気になったね」
「うむ、ちょうどヒマを持て余しておったぞ」
すぐるとリリスは、ワトソンとビルを向かいの席に座らせます。
「すぐる兄ちゃん、お願いがあるんだ・・・!」
「何?ワトソン君」
「ぼくに魔法を教えて!」
「えっ!?どうして?」
「だって、自由に魔法が使えるすぐる兄ちゃんがかっこいいから・・・!」すぐるはしばらく考え込み、言いました。
「ああ、いいよ、君には才能がありそうだ」ワトソンが喜んでいると、ビルと遊んでいるリリスが、窓の向こうの海を見て言いました。
「む?こちらに船が近づいてくるぞ・・・!む?どうしたのじゃ?ビル」船を見るビルの顔は、怯えて引きつっています。
「・・・あいつらだ!」その声を聞いたワトソンも、窓の向こうの船を見て顔が凍り付きました。
「・・・こんなところまで来るなんて・・・?!」その様子を見て、すぐるはハッとします。
「もしかして、君たちをさらった闇商人の船なんじゃ!?」ワトソンとビルがうなずくと、リリスは驚きます。
「なんじゃと!?あの者たちが・・・?!」闇商人の船は桟橋に近づくと、錨を下ろして、タラップをかけます。
「・・・ぼくが様子を見てくる、リリスはビル君とワトソン君をたのむ!」
「うむ、気を付けるのだぞ!」
すぐるは絵筆の杖を持って、桟橋の方に向かうと、すでにそばにはテイルとカインの他、移民たちが集まっていました。
タラップからは、貴族的な服をまとい、口ひげを生やしたスキンヘッドの小太りの男のほか、貴族的な服を着て、顔に傷がある戦士風の目つきの悪い金髪の男や、赤いドレスをまとう、がいこつの飾りの黒い杖を持った外ハネの髪型の金髪の女性が下りてきて、意地の悪そうな笑みを浮かべています。
他にも使用人らしき黒髪の男女も降りてきましたが、全員、人相の悪い者ばかりです。
「あなたたちは?」カインがたずねると、リーダーらしき小太りの男は愛想笑いをしながら、自己紹介を始めました。
「どうもどうも初めまして、わたくし、ゴーシャより参上しました商人、キング・ゴルドン伯爵です、以後、お見知りおきを・・・!そして、長男のジャックと長女のクイーンです。我々ゴルドン一家も、この地に移民を希望し、町の発展に貢献するべく参った次第です」
ジャックとクイーンも会釈をします。人々は歓迎ムードでしたが、すぐるは、ゴルドン一家から嫌なオーラを感じずにはいられませんでした。
ゴルドン一家は、空いている土地に大きなテントを張り、そこで商売を始めました。すぐるが試しに出来上がったテントに入ってみると、貴金属で出来たネックレスや指輪、シルクの服や細かい刺繡のじゅうたんなどの高級品がずらっと並んでいたのです。カウンターの後ろにも部屋がありますが、見張りがいて、中に入れそうもありませんでした。
すぐるが塔に戻ると、リリスたちに報告をします。
「ほう、貴族らしく高級品を扱っておると・・・!」
「まぁね、テントの奥に部屋があるみたいだったけど、そこから先には行けなかったんだ」ビルとワトソンが震えている様子を見てリリスが言いました。
「二人のこの怯えよう、普通じゃないの!これは何かありそうじゃな」
ゴルドン一家は資金を出したり、食料などを売ったりして、町の発展に力を尽くしましたが、その一方で、夜になると、一家のテントからムチで叩くような音がしたり、誰かが泣き叫ぶような声がする、ガラの悪い者たちがテントの中に招かれるなどのきな臭いウワサもたっています。
「ここもだいぶ町らしくなったね」
「そうじゃな、大部分は人間の移民じゃが」昼下がり、すぐるとリリスは今日も灯台の灯火室のテーブルで話しています。そこに、ワトソンとビルの二人がやってきました。
「すぐる兄ちゃん、いる?」
「リリス姉ちゃん、遊ぼ!」
「ああ君たちは、すっかり元気になったね」
「うむ、ちょうどヒマを持て余しておったぞ」
すぐるとリリスは、ワトソンとビルを向かいの席に座らせます。
「すぐる兄ちゃん、お願いがあるんだ・・・!」
「何?ワトソン君」
「ぼくに魔法を教えて!」
「えっ!?どうして?」
「だって、自由に魔法が使えるすぐる兄ちゃんがかっこいいから・・・!」すぐるはしばらく考え込み、言いました。
「ああ、いいよ、君には才能がありそうだ」ワトソンが喜んでいると、ビルと遊んでいるリリスが、窓の向こうの海を見て言いました。
「む?こちらに船が近づいてくるぞ・・・!む?どうしたのじゃ?ビル」船を見るビルの顔は、怯えて引きつっています。
「・・・あいつらだ!」その声を聞いたワトソンも、窓の向こうの船を見て顔が凍り付きました。
「・・・こんなところまで来るなんて・・・?!」その様子を見て、すぐるはハッとします。
「もしかして、君たちをさらった闇商人の船なんじゃ!?」ワトソンとビルがうなずくと、リリスは驚きます。
「なんじゃと!?あの者たちが・・・?!」闇商人の船は桟橋に近づくと、錨を下ろして、タラップをかけます。
「・・・ぼくが様子を見てくる、リリスはビル君とワトソン君をたのむ!」
「うむ、気を付けるのだぞ!」
すぐるは絵筆の杖を持って、桟橋の方に向かうと、すでにそばにはテイルとカインの他、移民たちが集まっていました。
タラップからは、貴族的な服をまとい、口ひげを生やしたスキンヘッドの小太りの男のほか、貴族的な服を着て、顔に傷がある戦士風の目つきの悪い金髪の男や、赤いドレスをまとう、がいこつの飾りの黒い杖を持った外ハネの髪型の金髪の女性が下りてきて、意地の悪そうな笑みを浮かべています。
他にも使用人らしき黒髪の男女も降りてきましたが、全員、人相の悪い者ばかりです。
「あなたたちは?」カインがたずねると、リーダーらしき小太りの男は愛想笑いをしながら、自己紹介を始めました。
「どうもどうも初めまして、わたくし、ゴーシャより参上しました商人、キング・ゴルドン伯爵です、以後、お見知りおきを・・・!そして、長男のジャックと長女のクイーンです。我々ゴルドン一家も、この地に移民を希望し、町の発展に貢献するべく参った次第です」
ジャックとクイーンも会釈をします。人々は歓迎ムードでしたが、すぐるは、ゴルドン一家から嫌なオーラを感じずにはいられませんでした。
ゴルドン一家は、空いている土地に大きなテントを張り、そこで商売を始めました。すぐるが試しに出来上がったテントに入ってみると、貴金属で出来たネックレスや指輪、シルクの服や細かい刺繡のじゅうたんなどの高級品がずらっと並んでいたのです。カウンターの後ろにも部屋がありますが、見張りがいて、中に入れそうもありませんでした。
すぐるが塔に戻ると、リリスたちに報告をします。
「ほう、貴族らしく高級品を扱っておると・・・!」
「まぁね、テントの奥に部屋があるみたいだったけど、そこから先には行けなかったんだ」ビルとワトソンが震えている様子を見てリリスが言いました。
「二人のこの怯えよう、普通じゃないの!これは何かありそうじゃな」
ゴルドン一家は資金を出したり、食料などを売ったりして、町の発展に力を尽くしましたが、その一方で、夜になると、一家のテントからムチで叩くような音がしたり、誰かが泣き叫ぶような声がする、ガラの悪い者たちがテントの中に招かれるなどのきな臭いウワサもたっています。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
『完結』セプトクルール 勇者エルニスのワンダーランド
マイマイン
児童書・童話
これは、すぐるがやってくる前の『幻想界』の物語です。ある日突然、平和な国『スピネル王国』にやってきた謎の少年エルニスが、平和を脅かす『魔王軍』に立ち向かう王道ファンタジーです。『セプトクルール』シリーズの始まりの物語をお楽しみください。
おっとりドンの童歌
花田 一劫
児童書・童話
いつもおっとりしているドン(道明寺僚) が、通学途中で暴走車に引かれてしまった。
意識を失い気が付くと、この世では見たことのない奇妙な部屋の中。
「どこ。どこ。ここはどこ?」と自問していたら、こっちに雀が近づいて来た。
なんと、その雀は歌をうたい狂ったように踊って(跳ねて)いた。
「チュン。チュン。はあ~。らっせーら。らっせいら。らせらせ、らせーら。」と。
その雀が言うことには、ドンが死んだことを(津軽弁や古いギャグを交えて)伝えに来た者だという。
道明寺が下の世界を覗くと、テレビのドラマで観た昔話の風景のようだった。
その中には、自分と瓜二つのドン助や同級生の瓜二つのハナちゃん、ヤーミ、イート、ヨウカイ、カトッぺがいた。
みんながいる村では、ヌエという妖怪がいた。
ヌエとは、顔は鬼、身体は熊、虎の手や足をもち、何とシッポの先に大蛇の頭がついてあり、人を食べる恐ろしい妖怪のことだった。
ある時、ハナちゃんがヌエに攫われて、ドン助とヤーミがヌエを退治に行くことになるが、天界からドラマを観るように楽しんで鑑賞していた道明寺だったが、道明寺の体は消え、意識はドン助の体と同化していった。
ドン助とヤーミは、ハナちゃんを救出できたのか?恐ろしいヌエは退治できたのか?
夢の中で人狼ゲーム~負けたら存在消滅するし勝ってもなんかヤバそうなんですが~
世津路 章
児童書・童話
《蒲帆フウキ》は通信簿にも“オオカミ少年”と書かれるほどウソつきな小学生男子。
友達の《東間ホマレ》・《印路ミア》と一緒に、時々担任のこわーい本間先生に怒られつつも、おもしろおかしく暮らしていた。
ある日、駅前で配られていた不思議なカードをもらったフウキたち。それは、夢の中で行われる《バグストマック・ゲーム》への招待状だった。ルールは人狼ゲームだが、勝者はなんでも願いが叶うと聞き、フウキ・ホマレ・ミアは他の参加者と対決することに。
だが、彼らはまだ知らなかった。
ゲームの敗者は、現実から存在が跡形もなく消滅すること――そして勝者ですら、ゲームに潜む呪いから逃れられないことを。
敗退し、この世から消滅した友達を取り戻すため、フウキはゲームマスターに立ち向かう。
果たしてウソつきオオカミ少年は、勝っても負けても詰んでいる人狼ゲームに勝利することができるのだろうか?
8月中、ほぼ毎日更新予定です。
(※他小説サイトに別タイトルで投稿してます)
セプトクルール 三賢者と虹色の夜明け
マイマイン
児童書・童話
現実界に住む魔法使いのすぐるが、幻想界へと旅立ち、仲間たちと共に悪魔王カオスを倒して数年後、すぐるは幻想界で出会い、『誓い』を結んだ魔族の少女リリスと共に、現実界で平和な生活をおくっていました。
しかし、祖父から魔力を受け継いでいるすぐるは、現実界での生活にはなじめず、他の生徒たちからは好奇の目で見られたり、化け物扱いされていましたが、祖父から託された使命の事、リリスが亡き両親から託された使命の事などが忘れられず、再び幻想界へ旅立とうと決意をしたのでした。
今回は主人公が三人で、それぞれの物語を進んでいくことになります。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。

村から追い出された変わり者の僕は、なぜかみんなの人気者になりました~異種族わちゃわちゃ冒険ものがたり~
めーぷる
児童書・童話
グラム村で変わり者扱いされていた少年フィロは村長の家で小間使いとして、生まれてから10年間馬小屋で暮らしてきた。フィロには生き物たちの言葉が分かるという不思議な力があった。そのせいで同年代の子どもたちにも仲良くしてもらえず、友達は森で助けた赤い鳥のポイと馬小屋の馬と村で飼われている鶏くらいだ。
いつもと変わらない日々を送っていたフィロだったが、ある日村に黒くて大きなドラゴンがやってくる。ドラゴンは怒り村人たちでは歯が立たない。石を投げつけて何とか追い返そうとするが、必死に何かを訴えている.
気になったフィロが村長に申し出てドラゴンの話を聞くと、ドラゴンの巣を荒らした者が村にいることが分かる。ドラゴンは知らぬふりをする村人たちの態度に怒り、炎を噴いて暴れまわる。フィロの必死の説得に漸く耳を傾けて大人しくなるドラゴンだったが、フィロとドラゴンを見た村人たちは、フィロこそドラゴンを招き入れた張本人であり実は魔物の生まれ変わりだったのだと決めつけてフィロを村を追い出してしまう。
途方に暮れるフィロを見たドラゴンは、フィロに謝ってくるのだがその姿がみるみる美しい黒髪の女性へと変化して……。
「ドラゴンがお姉さんになった?」
「フィロ、これから私と一緒に旅をしよう」
変わり者の少年フィロと異種族の仲間たちが繰り広げる、自分探しと人助けの冒険ものがたり。
・毎日7時投稿予定です。間に合わない場合は別の時間や次の日になる場合もあります。

秘密
阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。
忠犬ハジッコ
SoftCareer
児童書・童話
もうすぐ天寿を全うするはずだった老犬ハジッコでしたが、飼い主である高校生・澄子の魂が、偶然出会った付喪神(つくもがみ)の「夜桜」に抜き去られてしまいます。
「夜桜」と戦い力尽きたハジッコの魂は、犬の転生神によって、抜け殻になってしまった澄子の身体に転生し、奪われた澄子の魂を取り戻すべく、仲間達の力を借りながら奮闘努力する……というお話です。
※今まで、オトナ向けの小説ばかり書いておりましたが、
今回は中学生位を読者対象と想定してチャレンジしてみました。
お楽しみいただければうれしいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる