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虹色市誕生

5話 逃亡者

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 いざ、町づくりを始めるにあたり、四人はテントのテーブルで話し合っていました。

「まず、何から始めようか?」
「まず、食料を安定して確保できるようにせねば・・・!」
「水も必要だね、でも、飲めそうな井戸はないから、新たに掘らないとダメだね」

「でも、その前に私たちも食事にしましょう?確か、南側の森にはおいしそうな実がなっていたわ」
「・・・そうじゃな、妾とすぐるは海で魚をるとしよう」
「ぼくとテイルは、森で木の実を採ってこよう、中には食べられる物もあったはずだから」

 すぐるとリリスは、竿さおを借りて、波止場はとばりをすることにしました。すぐるは竿の針にえさをつけて、海の中にたらします。

しばらくすると、竿の浮きが動いたので、引いてみると、すぐるの竿には何もかかっていませんでした。隣のリリスのバケツを見てみると、銀色に光る大きな魚が三匹もいます。

「リリス、上手だなぁ」
「すぐるの方は釣れぬのか?」しばらくすると、すぐるの竿の浮きが動き始めます。
「まだじゃぞ!浮きが完全に海に沈むまで待つのじゃ!」そして、浮きが完全に海に消えました。

「今じゃ!」すぐるが思いっきり竿を引くと、二十センチ以上の銀色に光る魚がかかっていました。
「やったの!」すぐるはじたばたする魚と格闘しつつ、なんとか針から外して、自分のバケツに入れました。

「やった!・・・あれ?なんだろ?」桟橋に、見慣れないボートが流れ着いていたので、かけよってみると、中には金髪のショートヘアーの白人少年と、縮れ毛の黒人少年が乗っており、二人とも十歳前後でぼろの服を着ていて、気を失っていました。

 すぐるとリリスはすぐさまケガをしている二人をボートから下ろし、すぐるがにじふさを持つ大きな絵筆型えふでがたの杖を使い、回復の魔法を使います。

 二人の少年をテントに運ぶと、カインがてみます。
「・・・大丈夫だ、二人とも命に別状べつじょうはない。すぐる君の回復魔法のおかげだね」
「よかった、それにしても、なんでこんな小さな子だけであんな小舟に乗っていたのかしら?」

 しばらくすると、二人の少年は目を開け、ゆっくりと起き上がりました。

「気が付いたみたいだね、よかったらどうぞ」カインは焼いた魚や木の実を二人にふるまうと、二人の少年はあっという間に平らげました。

「・・・おいしかったよ」
「お腹がすいていたんだ・・・ありがとう」しばらくして落ち着いてから、テイルが話しかけます。

「あなたたち、お名前は?なんで二人だけで小舟に乗っていたの?」
「ボクはワトソン・・・」白人の少年に続いて、黒人の少年が言いました。

「ぼくはビル・・・ぼくたち・・・逃げてきたんだ・・・やみ商人しょうにんの船から・・・!」それを聞いたテイルとカインは驚きました。

「なんですって!?闇商人!?」闇商人とは、密猟品みつりょうひん人身じんしんなどの取引が禁止されている物を高値たかねで売買する、うら家業かぎょう商人しょうにんたちです。

「あいつら、ボクとビルを捕まえて、遠くの国に売り飛ばそうとしたんだ」
「あいつらは、ぼくたちにロクな食事もくれず、物みたいに扱ったんだ!それで、スキをついて、ボートで逃げたんだ!」

「そうか、じゃあしばらくこのテントにいるといい、テイル、この子たちをかくまってあげよう」
「そうね、このままにはしておけないし」
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